ロシアNIS調査月報
2018年3月号
特集◆北極開発に
向かうロシア
特集◆北極開発に向かうロシア
特別寄稿
北極域をとりまく国際情勢とビジネス界への期待
―北極域の持続可能な開発―
調査レポート
ロシア北極圏での石油・ガス開発の現状と意義
調査レポート
ロシア北極域経済の現状
―地域財政の分析を中心に―
ビジネス最前線
ヤマルLNGを北極海から消費地へ輸送
エネルギー産業の話題
動き出したヤマルLNGプロジェクト
ロジスティクス・ナビ
北極海航路と中欧鉄道
地域クローズアップ
北極海の海港拠点アルハンゲリスク州
記者の「取写選択」
シーボルトと北極海航路

調査レポート
閉塞感が強まるロシアの電力分野
―2017年の動きを中心に―
調査レポート
新日ロ租税条約の概要と主な変更点
データバンク
2017年の日ロ貿易(速報値)
INSIDE RUSSIA
若者と向き合うプーチン大統領
ロシア極東羅針盤
石炭に賭けるヴォストーチヌィ港
産業・技術トレンド
ロシアの世界一流技術を探す
デジタルITラボ
ロシアのサイバーセキュリティ市場
ロシアメディア最新事情
『ロシア新聞』が見る日本の存在感とは
自動車産業時評
ベラルーシ国民車は大統領の夢
ロシアと日本・
出会いの風景
ロシアの冬、日本の冬
駐在員のロシア語
居住者と非居住者
ウクライナ情報交差点
ロシア・ガスとの決別を誇示するウクライナ
中央アジア情報バザール
カザフスタンのラテン文字移行
DVDカフェ
最果ての希望の街マガダン
蹴球よもやま話
W杯開催都市のサッカー熱は?
業界トピックス
2018年1月の動き
通関統計
2017年1〜12月の輸出入通関実績


特別寄稿
北極域をとりまく国際情勢とビジネス界への期待
―北極域の持続可能な開発―

北極担当大使
井出敬二

 筆者は2017年8月に北極担当大使に就任以来、ロシア・ヤマルLNGプラント訪問、北極評議会他多くの北極関連の行事に参加し、各国の関係者と話してきた(結果は外務省ウェブサイト掲載)。北極担当大使の職責は、日本が北極評議会のオブザーバーとなった2013年に設けられた。
 北極の情勢は動いており、国際会議も頻繁に世界で開かれている。北極域の重要性は今後益々高まるだろう。本稿では北極域の海だけではなく、陸地に住む人々(約400万人と言われる)の活動にも注意を払う。北極域でロシアの存在は格別に大きい。
 以下、なぜ北極域が問題か、最近の話題、「レジーム」構築の動き、日本がすべきことを述べたい。


調査レポート
ロシア北極圏での石油・ガス開発の現状と意義

石油天然ガス・金属鉱物資源機構
本村眞澄

 2017年12月8日に、ヤマルLNGの出荷セレモニーが、プーチン大統領他をサベッタ基地に招いて挙行された。同事業は2009年に計画が発表され、外資も参加して取り組んで来たが、この第1船出航は北極での事業が軌道に乗っていることを世界に示すものであった(実際のタンカーの出航はその翌日)。
 北極への関心は、北極海の氷の融解が進み、北極海航路を使っての輸送が話題になり始めた2000年代に入って、世界的に高まって来た。しかし、石油ガス分野でのソ連・ロシアの北極圏での活動は、陸域では1960年代から既に始まっており、北極海でも1980年代から開発が始まっている。これに先行するように、ケンブリッジ大学のGonville & Caius Collegeの主宰する「ケンブリッジ北極大陸棚プログラム」が1975年からスタートし(日本は1978年参加)、この時から既に、ロシアを含む北極圏の氷の状況や石油・ガスに関しても膨大な量の研究レポートが提出されるようになった。2013年になってバレンツ海からロシア領北極海としては最初の石油生産が開始されたが、基本的なスタディは、実際のビジネスよりも30年以上先行してスタートしていたと言える。


調査レポート
ロシア北極域経済の現状
―地域財政の分析を中心に―

北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター 教授
田畑伸一郎

 本稿では、地域財政の分析を通じて、ロシア北極域経済の現状を概観する。具体的には、地域財政に関わる実績データ(歳入、歳出、移転、収支、債務など)を分析する。とくに、連邦予算との関係で、北極域は援助を受ける地域なのか、それとも貢献する地域となっているのかについて見ていきたい。
 本稿で扱うロシアの北極域は、図に示した9地域である。これは、2014年4月21日付政府決定第366号で採択された国家プログラム「ロシア北極圏地域の2020年までの社会・経済発展」で定められたものである。このプログラムは、2017年8月31日付政府決定第1064号により全面改訂されて、「ロシア北極圏地域の社会・経済発展」国家プログラムに改称され、事実上2025年までを視野に入れたものとなっている。9地域のうち、ムルマンスク州、ネネツ自治管区、ヤマロ・ネネツ自治管区、チュコト自治管区の4地域は、地域全体が北極圏地域に指定され、このほかのカレリア共和国、アルハンゲリスク州、コミ共和国、クラスノヤルスク地方、サハ共和国の5地域は、地域の一部のみが北極圏地域とされている。地域の一部だけの統計データはほとんど存在しない(あるいは入手できない)ので、本稿では、これら9地域について地域全体のデータを分析の対象とし、9地域のことを北極域と呼ぶことにする。なお、比較のための参考として、ハンティ・マンシ自治管区、サハリン州、モスクワ市のデータも示すことにする。


ビジネス最前線
ヤマルLNGを北極海から消費地へ輸送

鰹、船三井
大久保昌彦さん
作間淳児さん

 2017年12月5日、露ガス大手ノヴァテク傘下の事業会社「ヤマルLNG」が北極圏では世界初となるLNGの生産を開始しました。12月8日にはプーチン大統領の立会いの下、砕氷LNGタンカー「クリストフ・ドマルジェリ号」への積み込み開始の記念式典が行われました。(株)商船三井はヤマルLNGを世界の消費地へ届ける砕氷LNGタンカーを所有する船社の一つです。同プロジェクトの進捗状況と将来の見通しについて、同社エネルギー輸送営業本部LNG船部長の大久保昌彦さん、LNG第四グループ・グループリーダーの作間淳児さんにお話を伺いました。(辻久子)


エネルギー産業の話題
動き出したヤマルLNGプロジェクト

 ロシアの民間ガス会社「NOVATEK」が、フランスのトタルや中国のCNPCと共同で建設に取り組んでいるロシアで2番目の大規模LNGプラント「ヤマルLNG」の第1トレインがついに完成し、2017年12月初旬に出荷を開始しました。このプロジェクトは、ガス採掘税上の特典、輸出関税の免除、資産税および利潤税上の特典、設備機器輸入時の付加価値税の免除といった様々な特典を国から享受していますが、そこには、対ロ制裁下でも巨大プロジェクトを実現する力をロシアが有していることを内外に誇示するという政治的意図も見え隠れします。こうした背景もあってか、ロシアのマスコミではヤマルLNGのプラス面が強調される傾向が強くなっていますが、本稿では同プロジェクトの概要およびLNG出荷状況に加え、同プロジェクトが克服すべき課題も考察いたします。(坂口泉)


ロジスティクス・ナビ
北極海航路と中欧鉄道

 2017年のロシアの国際物流において、目を見張る成長が注目を浴びたのは、北極海航路及び中国と欧州をロシア経由で結ぶコンテナ専用列車でした。一見無縁に見える陸と海の2つの物流ルートの課題を考えます。(辻久子)


地域クローズアップ
北極海の海港拠点アルハンゲリスク州

 ロシアでは領土の中で北極圏に近い地域を「極北地域」と呼び、極寒の気候の中で生活や労働に従事する人々に対して特別な補償を与えている。本稿で紹介するアルハンゲリスク州もその1つで、セヴェロドヴィンスク市、レシュコンスキー地区、メゼンスキー地区、ピネシキー地区と白海に浮かぶソロヴェツキー諸島が「極北地域」、その他の南部の領域も「極北に等しい地域」と定められており、州全体が生活や労働にはあまり向かない地域だ。
 しかし、同州はダイヤモンドの埋蔵量でロシア国内第2位、ボーキサイトや石灰岩など鉱物資源が豊富で、造船業を中心とする機械産業も盛んな地域でもある。冬の間は凍結してしまうが、北極海沿岸の港では木材の輸送などが行われている。(中馬瑞貴)


記者の「取写選択」
シーボルトと北極海航路

 オランダのライデン市に「シーボルトハウス」という博物館がある。江戸時代、長崎のオランダ商館に滞在したドイツ人医師シーボルトが日本から持ち帰った物品を展示している。陳列棚の引き出しには樺太の地図も。間宮林蔵が作図し、最上徳内から渡されたものだという。(小熊宏尚)


調査レポート
閉塞感が強まるロシアの電力分野
―2017年の動きを中心に―

ロシアNIS経済研究所 嘱託研究員
坂口泉

 2000年代に入り、経済の好調さを背景にロシアの電力需要は顕著な伸びを示すようになり、次第に電力不足を懸念する声が高まっていった。そのような状況の中、2005年春に電力インフラの老朽化を主因とする大停電がモスクワで勃発し、ロシア政府は電力インフラの刷新と増強に真剣に取り組み始めた。発電部門では、投資義務契約と呼ばれる設備投資の回収を保証するシステムに基づく新発電ユニットの建設が積極的に行われるようになった。また、送配電部門でもRABタリフという設備投資回収分を考慮した料金体系を取り入れ設備投資が積極的に行われるようになった。しかし、投資義務契約もRABタリフも投資回収分を考慮した高い料金設定を前提としているため、電力料金がロシア政府の想定を上回るテンポで上昇した。また、投資が主に新しいインフラの建設に投下されたため、既存インフラの刷新が進まないという弊害も生んだ。そのような状況を受け政府は電力料金の抑制と既存のインフラの刷新に軸足を置いた政策を展開し始めているが、今のところ顕著な効果は出ておらず、ロシアの電力分野では閉塞感が強まりつつある。
 本稿では、閉塞感をもたらしている様々な要因に着目しながら2017年時点のロシアの電力分野の状況を紹介する。


調査レポート
新日ロ租税条約の概要と主な変更点

PwCロシア日本企業部門
糸井和光

 2017年9月7日に、日本政府とロシア連邦政府との間で「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の条約」(以下、「新条約」という)への署名がなされた。これは、1986年1月18日に署名され、同年11月27日発効した「所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約」(以下、「旧条約」という)を全面的に改正するものである。以下、旧条約からの主要な変更点を見ていく。


データバンク
2017年の日ロ貿易(速報値)

 日本財務省から、2017年の貿易統計が発表されたことを受け、当会では同年の日本とロシア間の貿易に関し、輸出入商品構成をまとめたので、早速これを紹介したい。なお、今号の巻末に、ロシア以外のNIS諸国との2017年の輸出入動向も掲載しているので、あわせてご参照いただきたい。なお、2017年のデータは速報値である。小誌の5月号に、確定値を掲載する予定だ。


INSIDE RUSSIA
若者と向き合うプーチン大統領

 ロシア中央選挙管理委員会は2月6日、現職のプーチン大統領を、3月18日に投票が行われる大統領選挙の候補者として、正式に登録した。むろん、正式登録を待つまでもなく、プーチン大統領は選挙をにらんで、積極的に動いていた。プーチン大統領は普段から仕事中毒気味で、内外を精力的に行脚したり、様々なイベントに積極的に参加したりしているが、ここに来てそれが加速している。1月のプーチン大統領の動静の中で、筆者が最も強い印象を受けたのが、25日にカザンで開かれた全ロシア学生クラブ・フォーラム「一緒に進もう!」に大統領が姿を見せた時の様子だった。(服部倫卓)


ロシア極東羅針盤
石炭に賭けるヴォストーチヌィ港

 ウラジオストクから車で4時間。ナホトカのヴランゲリ湾に面したヴォストーチヌィ港はロシア極東最大の港だ。ロシアの東の玄関口として注目されてきた。2017年12月、港を視察した。(齋藤大輔)


産業・技術トレンド
ロシアの世界一流技術を探す

 ロシアの製造業の技術力は高い評価を得ているとは言えないが、チタン鍛造技術や人工サファイアの結晶成長技術など、世界最高水準の技術を持っている分野がある。しかし、ロシアが高い技術力を持つ分野はニッチな分野が多く、探しにくい上に専門的で素人としては手に負えないことも多い。今回は、どんなものがありそうかを未確認のものを含め、考えてみる。(渡邊光太郎)


デジタルITラボ
ロシアのサイバーセキュリティ市場

 国際電気通信連合が実施したグローバルサイバーセキュリティインデックス2017において、ロシアのサイバーセキュリティレベルが世界10位と評価された(ちなみに日本は11位)。ロシア政府のサイバーセキュリティ戦略が評価されてのランキング入りとなった。特に、サイバーセキュリティに関する国家標準が整備されつつある点、研究開発、国内のサイバーセキュリティ産業の成長が評価された。今回はロシアのサイバーセキュリティ市場について論じてみたいと思う。(牧野寛)


ロシアメディア最新事情
『ロシア新聞』が見る日本の存在感とは

 『ロシア新聞』(Российская газета)は、発行部数は16万部とあまり多くないものの、ロシアの法令を公式に発表する政府の媒体として広く知られています。ロシア新聞で、日本を含むアジア各国と中東をウォッチしているコンスタンチン・ヴォルコフ解説委員に話を聞きました。ヴォルコフさんは東洋大学で日本について学び、イズヴェスチア紙などで勤務した経験豊富な記者です。(徳山あすか)


自動車産業時評
ベラルーシ国民車は大統領の夢

 2017年11月、ベラルーシと中国の合弁企業「ベルジー」が、ミンスク州で乗用車の量産を開始しました。ルカシェンコ大統領は、ベルジー社によるベラルーシ国民車の生産立ち上げを「私の夢」とまで呼んで熱心に推進してきた経緯があり、ついにその夢が実現した形です。そこで以下では、ベラルーシ自動車産業の概要、ベルジーのプロジェクト、関連してベラルーシの鉱工業生産動向などについて情報を取りまとめてお伝えします。(服部倫卓)


ロシアと日本・出会いの風景
ロシアの冬、日本の冬

 日本に観光で行くロシア人が、日本の季節の中で一番好きになるのは、きっと春、特に桜が咲いている季節だろう。そして次は秋、特に紅葉の季節だろうね。確かにきれいだが、私は、家族とも、日本の冬が大好きだ。何故なら、信じ難いかもしれないが、まずは、日本の冬は、明るいからだ。高気圧の日が多く、すっきりと晴れていて、乾燥している日本(関東地方としよう)の冬は、本当にきれい。これは、大きな、開拓されていない日本の観光資源でもあると思う。(D.ヴォロンツォフ)


駐在員のロシア語
居住者と非居住者

 日本の税法では、ビジネスパーソンについての居住者と非居住者の線引きは、1年以上の雇用契約があるかどうかだ。従って外国人が日本に赴任して来た場合、その外国人と日本の雇用主との契約が1年以上あれば、着任したその日から居住者とされる。逆に日本の会社に勤める者が、期間1年以上の海外赴任のため成田空港で出国手続きを終えた時から非居住者扱いとなる。ここでは、生計を一にする家族を帯同するかどうか、住民票を抜いたかどうか(本来的に抜くべきだが)は関係ない。このように日本の税法では、当該国での単なる滞在日数ではなく、本人の仕事・生活の本拠がどこなのかの実態が重視される。さて、ロシアではどうなっているだろうか。(新井滋)


ウクライナ情報交差点
ロシア・ガスとの決別を誇示するウクライナ

 ダヴォスで開催された世界経済フォーラムに出向いたウクライナのポロシェンコ大統領は1月26日、ポーランド大統領、リトアニア大統領らとともに、「中東欧:大陸にとっての新たなアジェンダ?」と題するセッションに出席した。この席でポロシェンコ大統領は、「ウクライナはもう2年以上も、ロシアのガスを購入していない」と語って胸を張った。(服部倫卓)


中央アジア情報バザール
カザフスタンのラテン文字移行

 キリル文字はスラヴ諸語の表記に使われる文字で特にロシア語表記の文字として知られるが、ベラルーシ語やウクライナ語、さらにはブルガリア語やセルビア語などでも使われている。また、ソ連時代にはテュルク系の言語やモルドバ語にキリル文字が使われていた。しかし、ソ連崩壊に伴い、1990年代にモルドバ、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、ウズベキスタンではキリル文字からラテン文字に移行した。キリル文字を使用する言語が減少する中、2017年にはカザフスタンでラテン文字への移行の動きが加速化し、キルギスでも話題となった。(中馬瑞貴)


DVDカフェ
最果ての希望の街マガダン

 このコーナー、実はかなり以前から、アイディアを練っていたのだ。長らく逡巡していた本コーナーの開設に今回踏み切ったのは、北極特集に合わせて、ムルマンスクのDVDを紹介したかったからだ。数年前に北極圏のムルマンスクを訪問した際に購入したドキュメンタリーDVDは、これまで筆者が出会ったロシアのご当地DVDの中では、最も素晴らしいもので、北極特集の良い彩りになると考えたわけだ。ところが、自宅にあるはずのムルマンスクのDVDが、どこを探しても見付からない。今号はページ数や記事数も不足しており、ムルマンスクは諦めるとして、どこか別の地方のDVDで本コーナーを見切り発車させるしかないと考えた。そこで選んだのがマガダンである。マガダンは北極圏に位置するわけではないにせよ、今号に通底するテーマは「北」、「冬」、「寒さ」であり、マガダンはそれに合致すると判断した。(服部倫卓)


蹴球よもやま話
W杯開催都市のサッカー熱は?

 本コーナーでは以前も、「ペテルブルグ政治基金」というシンクタンクが発表したロシア諸地域の球技ランキングというものを紹介したことがある(2016年2月号)。これは、各地域に所在するクラブの活躍度と、当該種目の各地における人気を指数化して、年に2回ランキング形式で発表しているものである。今般、最新の2018年1月1日現在のランキングが発表されたので、球技のうちサッカーに絞って、上位40地域を右の表にまとめてみた。表中で網掛けをした地域が、本年のFIFAワールドカップ(W杯)開催都市を抱える地域である。概ね、サッカーが盛んな地域が開催地に選ばれているものの、ミスマッチもある。(服部倫卓)