ロシアNIS調査月報2018年9-10月号特集◆ロシアの貿易と |
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特集◆ロシアの貿易と輸出促進の課題 |
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調査レポート |
2017年のロシアの貿易統計 |
ミニ・レポート |
ロシアの非原料・非エネルギー輸出促進策 |
データバンク |
2017年のロシアのサービス貿易統計 |
データバンク |
2018年上半期の日ロ貿易 |
調査レポート |
日系企業のロシアビジネス:概観と検証 |
調査レポート |
目まぐるしい変化を遂げるロシア医薬品市場 |
ビジネス最前線 |
稚内コルサコフ航路は3セクで存続 |
イベント・レポート |
産業総合博覧会「イノプロム2018」 ―デジタルをテーマに日ロ産業セッション開催― |
ミニ・レポート |
ロシアのクリエイティブ経済 |
INSIDE RUSSIA |
間合いを探り合った米ロ首脳会談 |
エネルギー産業の話題 |
サハリン1を訴えたロスネフチ |
ロジスティクス・ナビ |
ロシア鉄道の輸送動向 |
産業・技術トレンド |
ロシアの生産自動化はビジネスチャンスになるか |
デジタルITラボ |
「デジタル・カザフスタン」とは |
ロシアと日本 ・出会いの風景 |
世界に「ロシア」を発信したワールドカップ |
地域クローズアップ |
北オセチア共和国のマイナスイメージを払拭 |
ウクライナ情報交差点 |
2018年1〜6月のウクライナ経済 |
蹴球よもやま話 |
ワールドカップに水を差した政治的事件 |
駐在員のロシア語 |
完了体と不完了体 |
業界トピックス |
2018年7月の動き |
通関統計 |
2018年1〜6月の輸出入通関実績 |
ユーラシア珍百景 |
真夜中に「地獄の門」へと赴く |
記者の「取写選択」 |
ルムンバの名とともに |
調査レポート
2017年のロシアの貿易統計
ロシアNIS経済研究所 副所長
服部倫卓
ロシア連邦関税局が発行する『ロシア連邦外国貿易通関統計』の2017年年報が刊行され、2017年の同国の貿易動向に関する詳しいデータが明らかになった。そこで本稿では恒例により、『ロシア通関統計』およびその他の資料を利用し、同国の最新の貿易統計を図表にまとめて紹介し、あわせて解説をお届けする。
ミニ・レポート
ロシアの非原料・非エネルギー輸出促進策
ロシアのプーチン政権は、「非原料・非エネルギー輸出」を2024年までに2,500億ドルに拡大するという目標を公式に表明している。「非原料・非エネルギー輸出」とは、具体的にどのような定義なのか。その尺度に当てはめた場合、現状でロシアの輸出構造はどうなっているのか。また、ロシア政府は目標達成の道筋をどのように描いているのか。本レポートでは、それらの情報を取りまとめてお伝えする。(服部倫卓)
データバンク
2017年のロシアのサービス貿易統計
ロシア中銀発表の統計をもとに、ロシアのサービス輸出・輸入額を、図表1のとおり跡付けてみた。さらに詳しく、サービス貿易の種類別の動向を見たのが、図表2である。
調査レポート
日系企業のロシアビジネス:概観と検証
日本大学 菅沼桂子
関西大学 徳永昌弘
2013年5月、日ロ関係史上最大にのぼる約30名のCEOを含む総勢約120名の経済ミッションが同行した安倍首相の訪ロが実現したが、これは、日本の総理として実に10年ぶりのことであった。しかし、このときの日ロ経済関係活発化の期待は、翌年に生じた原油価格下落に伴うルーブル下落とクリミア併合に対する欧米からの対ロ経済制裁によるロシア経済の落ち込みとともに一旦萎んでしまったといえる。しかしその後、安倍首相は、2016年5月のソチでの首脳会談で「健康長寿の伸長」等の8項目における「協力プラン」を提示し、その具体化に向けて動いている。それに呼応する形で、現在さまざまな事業案件が進められている。
以上の状況を踏まえて、本稿では、日系企業のロシアビジネスの動向及び問題点を概観するとともに、その海外直接投資(FDI)実績の観点からロシア市場の特徴を検証する。一般公開された公式統計やデータに加えて、2006〜10年ならびに2015〜18年に筆者が行った各方面への聞き取り調査の結果を合わせて利用する。
調査レポート
目まぐるしい変化を遂げるロシア医薬品市場
ロシアNIS経済研究所 嘱託研究員
坂口泉
つい最近までロシアの医薬品市場に関しては、急成長が期待できる有望なマーケットという肯定的なイメージしかもっていなかったが、今回、2017年の同市場の動きを詳細に調べてみて結構難しい点も多いとの印象を抱くようになった。本稿では目まぐるしい変化にロシアの医薬品市場における主要プレーヤーたちがどのように対応しようとしているのかという点に留意しながら、2017年の同市場を回顧する。
ビジネス最前線
稚内コルサコフ航路は3セクで存続
北海道サハリン航路梶@専務取締役
日向寺和裕さん
北海道・稚内港とサハリン州・コルサコフ港を結ぶ夏季の旅客船航路。この8月、現体制となって3年目の運航が始まる見込みです。このルートは民間フェリー会社が不採算で撤退した航路でもあり、活性化は大きなチャレンジですが、今まさに関係者が努力を重ねているところです。稚内側の第三セクターとして、サハリン州政府などとも連携しながら航路運営にあたってきた北海道サハリン航路株式会社の日向寺和裕専務に、これまでの経緯と今年の運航について聞きました。(吉村慎司)
イベント・レポート
産業総合博覧会「イノプロム2018」
―デジタルをテーマに日ロ産業セッション開催―
2018年7月9日〜12日、ロシア・ウラル地域の中心都市エカテリンブルグにおいて産業総合博覧会「イノプロム2018」が開催された。イノプロムはロシア最大規模の産業見本市であり、今年で9回目の開催となる。日本はパートナー国を務めた2017年に続いてイノプロムに参加し、日本貿易振興機構(ジェトロ)がジャパンパビリオンを設置、同パビリオンには中小企業を中心に26社・団体が出展した。
また7月9日には、ロシアNIS貿易会がオーガナイザーとなって、日ロ産業セッション「デジタル時代の日ロ協業のポテンシャル」を開催し、デジタル化を通じて、生産性の向上をはじめとする産業分野の発展にどのように貢献できるかといった点について、日ロ双方の政府や企業の代表がそれぞれの立場から報告を行った。本稿では、同セッションを中心にイノプロムの結果を報告することとしたい。
(中居孝文)
ミニ・レポート
ロシアのクリエイティブ経済
脱工業化社会の主要概念である「クリエイティブ経済」は、様々な解釈ができ、その定義は国の状況によって同一ではない。クリエイティブ産業に属する主な分野は建築、工芸、ファッション、音楽、舞台芸術、IT、コンテンツ(映画、報道、広告、テレビ、ラジオ)である。各国は自国の優位性の高いクリエイティブ経済分野に注力している。例えば、日本は、クリエイティブ産業の輸出項目に「ライフスタイル」ですら加えた。(市野ユーリア)
INSIDE RUSSIA
間合いを探り合った米ロ首脳会談
7月の最大のトピックと言えば、16日にヘルシンキで開催されたプーチン・ロシア大統領とトランプ米大統領による首脳会談であろう。具体的な成果があったわけではないが、今後の関係構築に向け、両者が間合いを探り合うような、そんな会談になった印象である。(服部倫卓)
エネルギー産業の話題
サハリン1を訴えたロスネフチ
2018年7月下旬に、不当な収入を得たとして、「サハリン1」プロジェクトに参加している5社を相手取り、ロスネフチが総額891億ルーブルの支払いを求める訴訟を起こしたというニュースが飛び込んできました。この事件に関しては情報が不足しており、一部憶測も入りますが、今回は、その背景にある事情について説明をさせていただきます。(坂口泉)
ロジスティクス・ナビ
ロシア鉄道の輸送動向
各種年次報告書のトリを務めるのがロシア鉄道です。7月に公開された年次報告書2017(圧縮版)の核心部分を紹介します。表題 “Expanding Horizons”の意味は何でしょうか。(辻久子)
産業・技術トレンド
ロシアの生産自動化はビジネスチャンスになるか
ロシアの製造業では、生産の自動化を希望していることが多い。その背景には、経営者・管理職に、人から機械に置き換えればスピードが上がる、人の介在をなくせばミスがなくなり品質が向上するとの考えがある。日本は生産自動化に関する機器や生産ラインを得意としているため、日本企業にとってビジネスチャンスになる可能性があるように見える。今回は、ロシアで人気の生産自動化がビジネスチャンスになるかについて検討する。(渡邊光太郎)
デジタルITラボ
「デジタル・カザフスタン」とは
この度、第7回日本カザフスタン経済官民合同協議会がアスタナで開催されることに合わせ、2017年に採択された「デジタル・カザフスタン」の視察事業に調査員として招聘して頂いた。ロシア同様、資源輸出依存国であるカザフスタンで、IT産業がどういう形でフォーカスされているのか、また、国家主導のプログラムによって、IT産業がいかに国内産業として成長し、競争力をつけていくのか、今回の視察事業で得た知見を元に「デジタル・カザフスタン」戦略を取り巻く環境を考察してみたいと思う。(牧野寛)
ロシアと日本・出会いの風景
世界に「ロシア」を発信したワールドカップ
6月19日にロシアのサランスク市で行われるサッカーの日本・コロンビア戦を観戦しに行きたくて、半年前からチケットを手配しようとした。というか、翌年に来る大イベント、サッカーワールドカップの試合の中でもちろんロシア代表の方も見たったが、チケット購入段階での競争率が高くて取得が無理だろうと思い、途中で諦めた。そして、ニッポンは、私の心の中で二番目に応援するチームだから、サランスクに行こうと思い、サッカー大ファンの長男と2枚のチケットを申し込んで購入した。(D.ヴォロンツォフ)
地域クローズアップ
北オセチア共和国のマイナスイメージを払拭
テロや戦争といった国の安全保障を脅かすキーワードと深い関連を持つ北オセチア共和国だが、豊富な鉱物資源と天然水、観光資源など危険そうなイメージとは異なる魅力もたくさん持つ。そこで本稿では、マイナスイメージが強い北オセチアのイメージを払拭するような側面を紹介してみたいと思う。(中馬瑞貴)
ウクライナ情報交差点
2018年1〜6月のウクライナ経済
今回は、2018年上半期(1〜6月期)のウクライナの主要統計指標を取りまとめてお伝えする。国内総生産(GDP)に関しては、まだ上半期の実績が出ておらず、第1四半期(1〜3月期)の数字が得られるのみである。2018年第1四半期のウクライナのGDPは、前年同期比3.1%増、季節調整値の前期比で0.9%増であった。 (服部倫卓)
駐在員のロシア語
完了体と不完了体
筆者は大学に入ってからロシア語を始めたので、所詮ネイテイブにはかなわないもののそれなりにできるつもりでいたのだが、ある時、ロシア人のアシスタントから次のように言われたことを覚えている。「新井さんのロシア語、上手ですけど、時々完了体と不完了体の使い分けをお間違えになります。発音とか他の部分は正確なのに、体の用法だけ間違ったりすると、かえって耳障りです。」(新井滋)
ユーラシア珍百景
真夜中に「地獄の門」へと赴く
トルクメニスタンのダルヴァザという町には、「地獄の門」の名で知られる巨大なガスクレーターが存在する。地獄の門が形成された経緯についてはすでに本誌1月号で少し紹介されているので、ここでは筆者のミニ実見録を披露したい。(大内悠)
記者の「取写選択」
ルムンバの名とともに
日本で「ルムンバ」と聞いてピンとくる人は第一にアフリカ現代史に詳しい人、次がロシア・ソ連関係者だろう。ソ連当局がモスクワに設立したパトリス・ルムンバ名称民族友好大学、通称ルムンバ大学は、アジアやアフリカの留学生が共産主義などを学ぶ機関として知られた。「主義」とは別に、ここでロシア語を学んだ日本人も多い。(小熊宏尚)