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ロシアNIS調査月報2019年8月号特集◆日ロ経済関係は |
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特集◆日ロ経済関係は仕切り直しへ |
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イベント・レポート |
G20大阪サミットとプーチン大統領の訪日 |
イベント・レポート |
2019SPIEFでの日ロビジネス対話 |
調査レポート |
ロシア農業の発展動向と課題 ―2018年の実績を中心に― |
ビジネス最前線 |
日本の医療をモスクワ圏にも |
データバンク |
2019年版ロシア工業団地・経済特区ランキング |
ロジスティクス・ナビ |
日ロ貿易の復調と国内港湾 |
デジタルITラボ |
ロシア・リーガルテックのこれから |
エネルギー産業の話題 |
アルクチクLNG2の概要 |
自動車産業時評 |
ロシアの自動車特別投資契約をめぐる動き |
INSIDE RUSSIA |
2019プーチン・ホットライン |
ロシア極東羅針盤 |
ウラジオストク自由港の現在 |
地域クローズアップ |
ヴォログダ・ブランドで地域発展を目指す |
産業・技術トレンド |
スホーイスーパージェット事故とその影響 |
ロシアメディア最新事情 |
ロシア新体操界の層の厚さと政治力 |
ロシアと日本・ 出会いの風景 |
ロシア人の目から見た訪日観光客増 |
イベント・レポート |
第13回日本トルクメニスタン経済合同会議 |
報告 |
ロシアNIS貿易会令和元年度定時総会報告 |
ウクライナ情報交差点 |
ウクライナとベラルーシの鉄道トランジット輸送 |
中央アジア情報バザール |
本格的に始まったカザフスタンのトカエフ政権 |
ロシア音楽の世界 |
プロコフィエフ博物館 |
駐在員のロシア語 |
「退職金」をどう訳す? |
業界トピックス |
2019年6月の動き |
通関統計 |
2019年1〜5月の輸出入通関実績 |
おいしい生活 |
日本人の口にも合うアゼルバイジャン料理 |
記者の「取写選択」 |
たそがれのサハリン航路 |
イベント・レポート
G20大阪サミットとプーチン大統領の訪日
2019年6月28日(金)〜29日(土)の2日間にわたってG20大阪サミットが開催され、ロシアのプーチン大統領を含むG20メンバー国のほか、8つの招待国、9つの国際機関の代表がこれに参加した。プーチン大統領の滞在期間はわずか2日間であったものの、その間、同大統領はG20サミット全体会合やサミット関連行事へ参加するとともに、その合間を縫ってBRICS首脳会合等のマルチ会合や安倍首相との会談をはじめとする各国首脳とのバイ会談を精力的にこなした。以下では、今回のプーチン大統領の訪日の概要をレビューするとともに、同大統領訪日に合わせて日ロ4団体が共催した「日ロビジネス会合」の概要を紹介することとしたい。(中居孝文)
イベント・レポート
2019SPIEFでの日ロビジネス対話
2019年6月6〜8日、第23回サンクトペテルブルグ国際経済フォーラム(略称SPIEF)がExpo Forum Convention and Exhibition Centreにて開催され、世界145カ国から1万9,000人がこれに参加した。今年のSPIEFには、習近平国家主席が参加したため、中国からの参加者(約1,000名)が多かったが、日本からも官民合わせて100名以上が出席した。
日本関連の行事では、6月8日(土)に「日ロビジネス対話」が開催され、日ロ合わせて約150名がこれに参加した。SPIEFの枠内で日ロセッションが行われるのは、2015年以降、5年連続となる。本稿では、「日ロビジネス対話」の概要を報告する(『ロシアNIS経済速報』2019年6月25日号、No.1796より再録)。(中居孝文)
調査レポート
ロシア農業の発展動向と課題
―2018年の実績を中心に―
ロシアNIS経済研究所 嘱託研究員
坂口泉
農業分野はロシアでは数少ない成長産業のひとつだといえよう。たとえば、かつてロシアは穀物の純輸入国で、その輸入動向が穀物の国際価格に影響を及ぼすといわれていた時期もあったが、この10年ほどの間に世界最大級の輸出国となり、その輸出動向が国際市場に影響を及ぼすようになっている。また、かつては穀物の生産量が安定せず不作の年も目立ったものが、最近は豊作続きで、5年連続で生産量が1億tの大台を突破し、2019年も1億t以上の水準を維持する可能性が高いとみられている。さらに、畜産部門も急激な成長を続けており、鶏と豚に関しては自給率が100%近くに達しており、輸出拡大の可能性が具体的に検討されるまでになっている。また、養牛部門では最近、肉用牛の飼育頭数が急増している。
ただ、それらのいわば光の部分が存在する一方で、影の部分が存在するのも否定し難い事実である。穀物に関して言えば品質の改善が進んでおらず、先進国への輸出が伸び悩むという傾向が今も続いている。また、畜産部門に目を転じれば、肉用牛の飼育頭数が増加してきているのは事実だが、牛肉の総生産量自体はここ数年伸び悩んでいる。また、年間に生産される牛肉の8割以上が乳牛の肉であるという状況も変化していない。「ロシア産の美味しい牛肉」を平均的な生活水準の国民が気楽に食することができるまでには、まだかなりの時間がかかりそうである。野菜部門も状況が改善されてきているとはいえ、いまだに季節外の需要を満たせないケースが多くなっており、輸入依存度が高いままとなっている。さらに、ここ数年順調に成長してきた温室栽培部門も、ロシア政府からの補助金の打ち切りという現実に直面し、今後その成長テンポが鈍化する可能性が出てきている。
本稿では光の部分のみならずそれら影の部分にも留意しながら、2018年のロシアの農業分野の状況を振り返る。
ビジネス最前線
日本の医療をモスクワ圏にも
メディカルツーリズム・ジャパン 社長
坂上勝也さん
モスクワ州の公的医療機関と提携し、日本の高い医療技術をロシアで提供しようと奔走しているのがメディカルツーリズム・ジャパン(札幌市)です。極東と異なり、日本との医療交流が盛んとは言えなかった欧露部で、どのようにして医療アウトバウンドの道筋をつけるのか。坂上勝也社長に経緯と展望を伺いました。(吉村慎司)
データバンク
2019年版ロシア工業団地・経済特区ランキング
ロシアの『エクスペルト』誌は2017年から、「ロシア工業団地・経済特区ランキング」という資料を発表している。本年も、同誌の6月3−9日号(No.23)に、2019年版の工業団地・経済特区ランキングが掲載されたので、この資料を抜粋して紹介することにする。
ロジスティクス・ナビ
日ロ貿易の復調と国内港湾
2018年の日ロ貿易はドルベースで前年比15.5%増と2年連続の上昇となりました。主要品目の輸出量も増加しました。本稿では貿易の勢いが国内諸港湾・空港に及んだ物流のうねりを品目別に追ってゆきます。(辻久子)
デジタルITラボ
ロシア・リーガルテックのこれから
日本では、2017年に閣議決定された「未来投資戦略2017」に、裁判手続きのIT化が盛り込まれ、民事裁判のIT化に関する有識者検討会が開かれてきた。先日、最高裁判所は2020年から一部の裁判所で民事裁判の争点整理にクラウドサービスを活用することを発表した。このように、近年、日本でも注目を見せるリーガルテック(情報技術を活用した法律関連サービス)であるが、今回はロシアのリーガルテックについて、考えてみたいと思う。(牧野寛)
エネルギー産業の話題
アルクチクLNG2の概要
ロシアの独立系ガス会社「NOVATEK」が取り組んでいる、北極圏のギダン半島にLNGプラントを建設するというプロジェクト(アルクチクLNG2)が、日ロ経済協力の目玉案件として浮上してきました。そこで、今回は、同プロジェクトの概要とその実現にあたり直面する可能性のある課題を紹介します。(坂口泉)
自動車産業時評
ロシアの自動車特別投資契約をめぐる動き
これまで、外資系完成車メーカーの大半は、工業アセンブリ措置と呼ばれている優遇措置の適用をロシア政府から受けた上で現地生産を行ってきましたが、2017年から特別投資契約という新しい優遇制度への移行プロセスが開始され、2019年6月末時点で、ほとんどの外資系メーカーが新制度への移行を決定しました。以上の状況を踏まえ、本稿では、工業アセンブリ措置から特別投資契約への移行プロセスをめぐる状況をご紹介することにします。(坂口泉)
INSIDE RUSSIA
2019プーチン・ホットライン
6月20日、プーチン・ロシア大統領がテレビ番組に生出演し国民の質問や要望に直接答える毎年恒例のイベント「ウラジーミル・プーチンとのホットライン」が行われた。(服部倫卓)
ロシア極東羅針盤
ウラジオストク自由港の現在
ロシア極東地域に投資を呼び込むための新しいタイプのエリア、ウラジオストク自由港がつくられたのは2015年10月だった。
ナホトカやヴォストーチヌィの港湾や中国との国境地帯を含む沿海地方南部15市・地区を指定したのが最初だった。
約4年が経過した現在、自由港のエリアはサハリン州のコルサコフ市やカムチャッカ地方のペトロパヴロフスクカムチャツキー市など5ヵ所を数える。自由港と同じような優遇措置を受けられる先進社会経済発展区(TOR)とともに、地域経済を活性化させる原動力となっている。(齋藤大輔)
地域クローズアップ
ヴォログダ・ブランドで地域発展を目指す
出張であれ、観光であれ、ロシアを訪れた際、何をお土産に買って帰るだろうか? 定番として考えられるのはマトリョーシカ、グジェリ、スカーフ、そしてチョコレートあたりだろう。ぜひお土産リスト入りをお勧めしたいのが鮮やかな刺繍を施したレース編みのテーブルクロスやナプキンだ。ロシア全国、どこのお土産屋さんに行っても比較的よくみられるレース編みだが、その主要な産地が本稿でご紹介するヴォログダ州だ。(中馬瑞貴)
産業・技術トレンド
スホーイスーパージェット事故とその影響
5月5日ロシアの国産旅客機スホーイスーパジェット(以下SSJ)が着陸に失敗し炎上した。SSJは型式証明の取得、量産の立ち上げ、海外への販売に成功し、最大で年間30機以上の生産数に達していた。しかし、サービス・サポート体制の評判が芳しくなく、ユーザーを減らしている状況だった。そのような中で起きた事故であったので、事故後、機種への批判が噴出することになった。一方、暫定報告書で公表された事故の経緯は、パイロットのミスを示唆するものであり、機体に事故原因となった欠陥があった可能性は低い。本稿では、暫定報告書を基に事故の経緯を紹介し、SSJの今後について論じてみる。(渡邊光太郎)
ロシアメディア最新事情
ロシア新体操界の層の厚さと政治力
サンクトペテルブルグ国際経済フォーラム最終日、日露ビジネス対話を聴講したその足で、市内にある新体操センター「真珠」に向かいました。この日は「真珠」設立10周年の記念イベント。そのイベントで新体操日本代表チームが演技を披露するという情報を得たのです。トヨタ自動車に所属している主将の杉本早裕吏選手は、一年の半分をロシアで過ごし、トレーニングに励んでいます。来年に迫った東京五輪に備え、事前取材ができるかもしれないと期待していましたが、その目論見はことごとくうまくいきませんでした。(徳山あすか)
ロシアと日本・出会いの風景
ロシア人の目から見た訪日観光客増
2年前の北海道旅行のとき私は登別温泉に宿泊した。登別温泉では入浴だけでなく、地獄谷でミルク色のお湯が沸き出るさまを眺めることも楽しい。現地に到着するとまずその地獄谷を見に向かった。すると、周りから日本語が聞こえてこないことに気づく。登別温泉は中国人の観光客に高い人気を集めるスポットの一つであることを以前から知っていたが、もはや「中国人の観光客ばかり」というレベルをはるかに超越しているように思えた。宿泊施設での夕食の時も、「ここは本当に日本なのか」と思わされるくらい、中国語しか聞こえなかった。(D.ヴォロンツォフ)
イベント・レポート
第13回日本トルクメニスタン経済合同会議
2019年5月23日、アシガバードにて、日本トルクメニスタン経済委員会およびトルクメニスタン日本経済委員会主催のもと、「第13回日本トルクメニスタン経済合同会議(以下、合同会議)」が開催された。前回の合同会議が2017年6月に東京で開催されて以来、約2年ぶりの開催となった。(森彩実)
報告
ロシアNIS貿易会令和元年度定時総会報告
一般社団法人ロシアNIS貿易会は東京の如水会館にて、6月11日に令和元年度定時総会を開催いたしました。定時総会では「平成30年度事業報告」、「公益目的支出計画実施報告書」の報告、第1号議案「平成30年度計算書類等」、第2号議案「役員選任の件」の承認がなされました。以下では定時総会において報告された平成30年度事業報告の内容を掲載するとともに、定時総会における来賓の柴田裕憲経済産業省通商政策局大臣官房審議官(通商戦略担当)のご挨拶、また村山会長の挨拶を掲載いたします。
ウクライナ情報交差点
ウクライナとベラルーシの鉄道トランジット輸送
月報の前号では、「高まるサービス貿易の重要性」と題する特集をお届けし、ロシア・NIS諸国ではサービス輸出に占める輸送サービスの比率が高いことを確認した。本稿では、その延長上で、ウクライナの鉄道トランジット輸送につき、地理的条件が似通っているベラルーシと比較しつつ、概観する。ウクライナとベラルーシは、ロシアと欧州連合(EU)、東と西を結ぶ位置関係にあり、トランジット輸送のポテンシャルを有している。そのポテンシャルがどれだけ発揮されているかというのが、ここでの関心である。(服部倫卓)
中央アジア情報バザール
本格的に始まったカザフスタンのトカエフ政権
2019年6月9日、カザフスタンで臨時大統領選挙が行われ、カスィム=ジョマルト・トカエフ大統領が得票率70.96%で当選を果たした(投票率77.5%)。3月のナザルバエフ退任後、憲法規定に従って暫定的に大統領を務めていたトカエフだが、国民による直接選挙を経て、ようやく「正式な大統領」に就任したことになる。投票からわずか3日という異例の速さで就任式が行われ、翌日にはキルギスで行われる上海協力機構サミットに出席するなど外遊も行い、本格的にトカエフ政権が始動した。就任直後主要な政府組織改革や人事が行われたので、本稿で確認しておくことにする。(中馬瑞貴)
ロシア音楽の世界
プロコフィエフ博物館
昨年、2018年にロシアを訪れた際には、夕方のモスクワは雨降りで、4月末日というのに肌寒かった。クレムリンの近所のメトロポール・ホテルから夕食場所を探すべく、ボリショイ劇場の方面へ。小雨の中を、何故かプロコフィエフの交響曲第1番「古典」の3楽章2拍子のガボットを口ずさんで歩いていた。バレエ「ロミオとジュリエット」の中でも使われた旋律だ。(ヒロ・ミヒャエル小倉)
駐在員のロシア語
「退職金」をどう訳す?
ある言葉を外国語に訳すとき、辞典に書いてあることを盲目的に信じることがないようにしたいもの、と自戒を込めて言いたい。たとえば、日本の会社に定年まで勤め、退職金をもらって会社を辞めた、というのをロシア語に訳す場合、どう訳したら良いだろう?(新井滋)
おいしい生活
日本人の口にも合うアゼルバイジャン料理
アゼルバイジャンにはハーブを刻んだ香り豊かな料理が多く、野菜もふんだんに使われていて、日本人の口にもよく合う。米やひき肉、野菜をブドウの葉で包み煮込んだ料理「ドルマ」は、ざくろをのせたり、ヨーグルトソースをかけて食べると酸味が効いて美味しい。「クタブ」(左の写真の左上)は薄いクレープのような生地の中にひき肉やチーズ、かぼちゃ、ハーブなどが入っているパンで、焼き立てのものを路上でも販売している。(森彩実)
記者の「取写選択」
たそがれのサハリン航路
稚内から宗谷海峡を北上するに連れ、杏仁豆腐のような流氷が徐々に大きさと密度を増す。やがて氷は結合し、白い大平原に。ロシアの老朽船「サハリン7号」は剛健な船体と馬力で氷盤を割り開き、コルサコフ港にたどり着いた。(小熊宏尚)