ロシアNIS調査月報2020年12月号特集◆日ロ経済協力の |
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特集◆日ロ経済協力の新しいかたち |
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イベント・レポート |
オープンイノベーションフォーラム2020 |
イベント・レポート |
日露クリエイティブ経済フォーラム |
イベント・レポート |
ロシアで化粧品・美容関連品をバーチャル展示 ―Beauty Fair Japan 2020 on the Web |
イベント・レポート |
ロシア・クルガン州投資プレゼンテーション |
産業・技術トレンド |
リモートでのロシア企業生産性向上活動 |
デジタルITラボ |
ロシアのロボット産業とスタートアップ企業 |
おいしい生活 |
ロシアのスイーツ「スィローク」が日本で買える |
調査レポート |
追い風に乗るロシアの採金業 ―高まるその注目度 |
調査レポート |
コロナ禍発生後のロシアLNG生産の現状と展望 |
調査レポート |
ロシアにおける軽工業製品のマーキング制度 |
INSIDE RUSSIA |
バイデン・トランプ対決と米ロ関係の行方 |
ロシア極東羅針盤 |
ロシア極東港湾最新事情 |
地域クローズアップ |
初の知事交代で躍進期すベルゴロド州 |
データリテラシー |
時価総額ランキングに見るロシアの産業構造 |
ロシアの二国間関係 |
ロシアとの良好な関係を維持するカザフスタン |
ロシア政財界人物録 |
首相退任後のメドヴェージェフ |
データバンク |
2020年1〜9月の日ロ貿易 |
ドーム・クニーギ |
『コロナの先の世界 ―国際社会の課題と挑戦』 |
シリーズ 工業団地探訪 |
グラフツェヴォ工業団地 |
HOW TO ビジネス実務 |
ロシア会計:財務諸表 |
エネルギー産業の話題 |
ロシア石油大手の減産対応 |
ロジスティクス・ナビ |
コロナ禍のロシア運輸動向 |
ウクライナ情報交差点 |
ウクライナの外国直接投資受入統計 |
中央アジア情報バザール |
中央アジアとトルコの関係 |
ロシアメディア最新事情 |
戦史取材がつないだ不思議な縁 |
ロシア音楽の世界 |
ショスタコーヴィチ交響曲第5番ニ短調 |
駐在員のロシア語 |
やられたらやり返す |
業界トピックス |
2020年10月の動き |
通関統計 |
2020年1〜9月の輸出入通関実績 |
記者の「取写選択」 |
旧ソ連初の女性国家元首 |
イベント・レポート
オープンイノベーションフォーラム2020
2020年10月19日(月)〜21日(水)の日程でロシア連邦モスクワ市郊外のスコルコヴォ・テクノパークにて、オープンイノベーションフォーラム2020が開催された。このオープンイノベーションフォーラム(以下、OIF)は、メドヴェージェフ安全保障会議副議長やミシュスチン首相が参加するロシアの重要な経済フォーラムの1つである。本年はコロナ禍のため、オンライン事業を主体とする開催状況であったが、ロシアのデジタル部門やイノベーションに関する最先端のトレンドに即して多数のビジネスセッションが開催された。当会は、経済産業省の支援の下、本フォーラムに企業・団体パートナー(ジェネラルパートナー)として参画した。以下、OIF2020の枠内で実施した日本関連のビジネスイベントやプログラム、またその他プログラムについて、報告する。(長谷直哉・大内悠)
イベント・レポート
日露クリエイティブ経済フォーラム
2020年9月10日、ウリヤノフスクで開催された「国際文化フォーラム2020」の一環として、「日露クリエイティブ経済フォーラム:クリエイティブ産業と日露協力の展望」がオンライン形式で開催された。本フォーラムの日本側の主催者はロシアNIS貿易会、ロシア側主催者はウリヤノフスク文化都市基金で、ロシア側からはクリエイティブ産業、地方政府、各地のビジネス関係者、ジャーナリスト、旅行会社等の代表者、日本側からは大手企業やコンテンツ産業の代表、地方メディア関係者等が出席した。本フォ−ラムはYoutubeでライブ配信され、日ロ双方の26地域からピーク時で200名を上回る参加があった。本稿ではその概要を紹介したい。(Yu.ストノーギナ)
イベント・レポート
ロシアで化粧品・美容関連品をバーチャル展示
―Beauty Fair Japan 2020 on the Web―
2020年10月26日(月)〜11月6日(金)、ロシアNIS貿易会はバーチャル展示会「Beauty Fair Japan 2020 on the Web (BFJW)」を開催した。本事業は日本企業のロシア化粧品・美容関連製品市場への進出支援を目的とするもので、今年で3回目の実施となる。過去2年は現地の美容展示会への出展等を行ってきたが、本年は新型コロナウイルスの世界的感染拡大により国境をまたぐ移動が制限されたことから、オンラインによる独自展示会の開催を企画した。BFJW には日本の化粧品・美容関連企業25社が参加し、ロシア市場に向けて商品のPRを行った。また、バーチャル展示会BFJWへの集客を目的に、10月28〜31日にモスクワで開催されたロシア最大の美容展示会「インターチャーム2020秋」に実物のブースも開設した。以下に概要をご紹介する。(斉藤いづみ)
イベント・レポート
ロシア・クルガン州投資プレゼンテーション
2020年8月27日(木)、ロシアNIS貿易会では、オンラインイベント「ロシア・クルガン州投資プレゼンテーション」を開催した。クルガン州は、ウラル連邦管区南部のカザフスタンとの国境地帯に位置し、農業・畜産業のほか、機械製造業や金属加工業の盛んな地域で、最近では製薬業といった新たな産業も発展しつつある。今回のプレゼンテーションでは、クルガン州のシュムコフ知事より同州の投資ポテンシャルについて説明があったほか、クルガン州の有力企業3社から各社の活動内容と日本との協力希望事項について報告があった。本イベントには、ミハイル・ガルージン駐日ロシア連邦特命全権大使にご出席いただいた他、日本の企業や団体から45名の参加があった。本号では、その報告要旨(質疑応答部分での内容も加味)をご紹介することとしたい。(中居孝文)
産業・技術トレンド
リモートでのロシア企業生産性向上活動
筆者は2017年より、ロシア企業の生産性向上を支援する活動に従事してきた。具体的には、日本の改善活動のやり方をロシア企業に導入し、その企業の現場の生産効率を上げることを目指す。日本の製造業では、現場をしっかりと把握することを重視するが、生産現場の改善活動においても、現場を観察することで、改善点を見つけていくという手法をとる。2020年3月以降、新型コロナにより現地を訪問は不可能になった。改善活動の支援をする時、直に現場を見れないことは致命的とも言える事態だった。結局、リモートで改善指導を行うことになったが、やはり直接訪問する以上に苦労することになった。今回は、リモートでの改善活動の指導と、それを通じてわかったリモートの限界について報告する。(渡邊光太郎)
デジタルITラボ
ロシアのロボット産業とスタートアップ企業
ロシア最大のインターネットサービス企業であるヤンデックスは、先日ロボットクーリエ「ローバー(Rover)」の商業利用を開始すると発表した。ローバーは、小型の自動配達ロボットで、書類や小包など軽量物の配達を行う。これまでヤンデックスのオフィスエリアや、スコルコヴォの一部地域で試験運用されてきた。今回の発表では、ローバーはモスクワ市内の一部地域で、同じくヤンデックスが展開するヤンデックスラフカ(食料品や日用品の配達サービス)の商品をビジネスセンターへ配達することが明らかになった。ロシアにおけるロボット産業というと、あまりイメージが湧かないかもしれない。日本にとってロボットはお家芸。この分野でロシアにフォーカスが当てられることはなかったと思う。今回はロシアのロボット産業を俯瞰してみたい。(牧野寛)
おいしい生活
ロシアのスイーツ「スィローク」が日本で買える
好物のB.Yu.アレクサンドロフの「スィローク」がKALDIで買えると聞き、買いに行った。スィロークとは、カッテージチーズに砂糖やバターなどを加え、チョコレートでコーティングしたロシアでは定番のスイーツ。バニラやカカオ味、ジャム入りなど様々な種類があり、お手ごろな価格で人気の乳製品だ。特にB.Yu.アレクサンドロフのスィロークは食材にこだわっていて美味しい。(斉藤いづみ)
調査レポート
追い風に乗るロシアの採金業
―高まるその注目度―
ロシアNIS経済研究所 名誉研究員
坂口泉
ロシアは世界有数の金の埋蔵量と生産量を誇っており国際市場におけるプレゼンスはもともと高かったが、国際価格の高騰とロシア産の金の輸出量の増加に伴いその存在感がさらに強まっている。さらに、これまで主要な納入先であったロシアの採炭企業が国際価格の低迷で投資規模を縮小する中、日本の重機メーカーの間では、業績が全般的に好調で投資意欲も高まりつつあるロシアの採金業への関心が以前にも増して強くなっている。その他、今後、ロシアの採金企業向けの日本ブランドのオフロード車の出荷量が増加する可能性も考えられる。ロシアの採金業は、今後の日ロ間貿易の動向に大きな影響を与える可能性を秘めた要因のひとつである、と言っても過言ではないのではなかろうか。
以上のような状況を踏まえ、本稿では、ロシアの採金業に関する基本的情報(埋蔵量、生産量、輸出量)をご紹介すると同時に、ロシアで活動する主要な採金企業につき、できるだけ詳細に説明することとする。
調査レポート
コロナ禍発生後のロシアLNG生産の現状と展望
VYGON. Consulting
M.ベロヴァ Ye.コルビコヴァ
ロシアのLNG生産部門は急成長しており、ロシア産LNGは既に世界の主要市場に供給されている。しかし、ロシアでのLNG関連の新規プロジェクトに係る最終投資決定(FID)の採択を困難にさせると同時に、稼働中のLNGプラントの経済性に否定的影響を及ぼす複数の要因が存在するのもまた事実である。この中でも特に重要なことは、生産者にとって不利なLNGの価格動向であり、コロナ禍であり、競争の激化である。
調査レポート
ロシアにおける軽工業製品のマーキング制度
瓜生・糸賀法律事務所 R.ジュロフ
Nektorov,Saveliev&Partners I.ラチュコフ
2016年にロシアにおける実験として製品マーキングの導入を開始した。当初、ロシア連邦税務局によって開発された義務的マーキング制度は、毛皮製品に対してのみ適用された。実験の結果としては、当該制度の適用により、市場の大部分を違法流通から撤退させることができた。実験の開始からの最初の5ヵ月における産業・商業省の情報によると、毛皮製品の合法的な小売販売は2015年の指標を5倍以上上回った。連邦税務局の評価によれば、2017年末までの合法製品の売上高は、85億ルーブルから600億ルーブルになり、7倍に増加した。
INSIDE RUSSIA
バイデン・トランプ対決と米ロ関係の行方
米大統領選挙は、11月3日に一般有権者による投票が行われた。難航した開票の末、民主党のジョー・バイデン候補の当確がようやく7日に伝えられた。「アメリカ・ファースト」を唱えた共和党のドナルド・トランプ大統領の政権は、4年で幕を閉じることとなった。(服部倫卓)
ロシア極東羅針盤
ロシア極東港湾最新事情
コロナ危機の中でも、ロシア極東方面のモノの流れは堅調に推移している。港湾はとりわけ順調であると、データが物語る。ロシア極東の港湾は、貨物取扱量がここ数年、石炭の輸出ブームで増加し続けている。(齋藤大輔)
地域クローズアップ
初の知事交代で躍進期すベルゴロド州
2020年9月17日、地域首長就任最長年数を記録していたサフチェンコ・ベルゴロド州知事が27年の就任期間に幕を閉じ、辞意を表明した。エリツィン政権期に就任した知事として最古参であったサフチェンコの名前は日本ではあまり知られていない。新しい指導者にさらなる躍進の期待が高まるベルゴロド州について紹介する。(中馬瑞貴)
データリテラシー
時価総額ランキングに見るロシアの産業構造
みなさん、ロシア株式市場や関連ニュースを覗いていらっしゃいますでしょうか。ロシア株と言えば「資源株」という言葉が枕詞のように付くもので、筆者も原油相場が乱高下する状況以外ではあまり市場の数値を確認しません。しかしながら、コロナ禍によって原油需要が低迷する中、市場の数値を確認することも多くなりました。さて、現在(10月末時点)のモスクワ取引所銘柄で時価総額トップとなる企業がどこかご存知でしょうか。ガスプロムでも、ロスネフチでもありません。ズベルバンクです。
この連載は、筆者が気になるロシアの数字・データを取り上げ、その現状と評価をお知らせする連載企画です。その第1回として、ロシアの時価総額ランキングをテーマに書かせていただこうと思います。
(長谷直哉)
ロシアの二国間関係
ロシアとの良好な関係を維持するカザフスタン
ウクライナ、ジョージア、そして最近ではベラルーシまで、国境を接する旧ソ連諸国との関係に悩まされるロシアにとってカザフスタンは安定した関係を維持している国。ロシアとカザフスタンは世界最長の陸の国境(約7,500km)を有し、特にカザフスタンには国境地域を中心に19.76%(2018年)ものロシア系住民が住んでいる。本稿では、ロシアがユーラシア地域の連携を維持していく上で欠かすことのできないロシアとカザフスタンの関係を紹介する。(中馬瑞貴)
ロシア政財界人物録
首相退任後のメドヴェージェフ
現在のロシアでコロナ禍対策を取りまとめる立場にあるのは誰だと思われるでしょうか。プーチン大統領でしょうか、ミシュスチン首相、あるいはソビャーニン・モスクワ市長でしょうか。いろいろな政治家の名前が頭に浮かぶかと思いますが、様々な政府機関に担当が分かれている本件対策を集約する役割を担っているのはメドヴェージェフ安全保障会議副議長(前首相)です(以下、各人の役職は明示の必要が無い限り省略)。
さて、この連載は、直近でその動向が気になると筆者が感じるロシアの政財界人物の現況を、筆者の雑感を交えてお知らせする隔月連載企画です。その第1回として、首相退任後のメドヴェージェフの動きを整理してみようと思います。(長谷直哉)
シリーズ 工業団地探訪
グラフツェヴォ工業団地
ロシア工業団地の最初の探訪先としてカルーガ州のグラフツェヴォ工業団地を選びたい。ロシアで地方政府が主導して初めて本格的な工業団地として整備されたのがこの工業団地である。同工業団地の探訪を通じ、ロシアにおいて工業団地という新しい概念がどのように形成されたのかにも眼を向けてみたい。(大橋巌)
HOW TO ビジネス実務
ロシア会計:財務諸表
前回はロシア会計の歴史と概要、日本の会計帳簿への組み換えの難しさ等についてお話ししました。今回はロシアの財務諸表がテーマです。学問的というより実務に役立つ観点でご紹介していきますので、お付き合い頂けますと幸いです。(小川弘美)
エネルギー産業の話題
ロシア石油大手の減産対応
コロナ禍を背景とする油価の低迷を受け2020年4月に新たにOPEC+の協調減産協定が締結されました。それまでの減産協定では、ある「からくり」が存在しロシアは実際には減産を実施しませんでしたが、4月の協定では「からくり」を準備する時間的余裕がなく、ロシアは実際に減産を実施する必要に迫られました。古い鉱床を多く抱えるロシアが減産を本当に実施できるのかとの疑念の声もありましたが、ロシアはきちんと減産義務を守っています。今回は2020年8月の数字をベースに、ロシアの大手石油会社が具体的にどのように減産義務を履行しているのかについてみていきます。(坂口泉)
ロジスティクス・ナビ
コロナ禍のロシア運輸動向
新型コロナウイルスは世界中で暴れまくっており、収束の気配が見えません。コロナ禍がロシアの人と物の輸送に与えた影響について、主として鉄道と海運のデータから読み解きます。(辻久子)
ウクライナ情報交差点
ウクライナの外国直接投資受入統計
このほど、ウクライナ中央銀行の発表しているデータにもとづき、ウクライナの外国直接投資(FDI)受入状況を図表に取りまとめたので、以下のとおりご紹介する。(服部倫卓)
中央アジア情報バザール
中央アジアとトルコの関係
昨今の国際情勢においてユーラシア地域での存在感が高まっているトルコ。中央アジア諸国にとってもトルコは民族・言語的に近い関係にあり、経済的にも重要なパートナー国である。トルコはカザフスタンにとって7位、キルギスにとって6位、ウズベキスタンにとって5位、タジキスタンにとって4位に位置する主要な貿易相手国である(2019年)。建設、通信など、トルコが得意とする分野を中心に投資も活発に行われている。そこで、本稿では中央アジア・トルコ関係の最新の状況を紹介する。(中馬瑞貴)
ロシアメディア最新事情
戦史取材がつないだ不思議な縁
ロシアで生活する楽しみの一つは、思いがけない出会いだとか、日本では考えられないような急展開で、自分でも予想しなかった方向に物事が進んでいくことだと思います。先日、モスクワにある共産党支部のオフィスを訪問し、なぜか感謝状をもらうという変わった体験をしたので、なぜこんなことになったのか順を追って書いてみたいと思います。(徳山あすか)
ロシア音楽の世界
ショスタコーヴィチ交響曲第5番ニ短調
ベートーヴェンが第9「合唱付き」という交響曲の金字塔を打ち立てて以来、どの作曲家もベートーヴェンの壁を越えるための苦悩を味わいながら交響曲を世に出してきた。楽聖ベートーヴェンへの畏敬の念から、ブラームスが第1交響曲を書くのに21年もかけてしまったのは有名な話である。以降、ブルックナー、マーラーと、べ―トーヴェンの規模を超える大きな交響曲を書いた大作曲家は出たが、2人とも第10交響曲を完成させることなく世を去っている。しかし、20世紀になって、ついに第9で終わることなく、15曲もの交響曲を世に出した大作曲家が現れる。ソビエト連邦の天才作曲家ドミートリ・ドミトリェヴィチ・ショスタコーヴィチ(1906〜1975)である。(ヒロ・ミヒャエル小倉)
記者の「取写選択」
旧ソ連初の女性国家元首
バルト3国を除く旧ソ連で女性が国家元首となる例は少ない。ジョージアでは2018年以来、女性のサロメ・ズラビシュヴィリが大統領を務めるが、その前は2010〜11年のキルギス大統領ローザ・オトゥンバエヴァのみ。彼女がCIS初の女性元首ということになる。(小熊宏尚)