ロシアNIS経済研究所 所長

ロシアNIS経済研究所所長就任にあたってのご挨拶

2008年6月1日 遠藤寿一 

 「日ソ通商航海条約」並びに「日ソ貿易支払協定」が二国間に締結されたのは、日ソ国交が回復した(日ソ共同宣言)翌年の195712月でした。1958年の日ソ輸出入総額は4,025万ドルでしかありませんでしたが、半世紀を経過した2007年の日露輸出入総額は日本の通関統計では213億ドルに達しました。

 この間、経済はグローバル化の波に乗って、二国間貿易統計だけでは、その経済活動を的確に捉えることが出来なくなってきています。取引対象商品は大きく変わり、取引形態も商社中心から多様な企業が直接ロシア取引にかかわるようになりました。ロシア国内に拠点を構える企業のステータスも本社の駐在事務所から現地法人が増えて、企業の活動の範囲も広く深くなってきています。一方この数年間で大手日本企業のターゲットは、ロシアへの事業投資の拡大へと急速にステップアップしてきました。更に数年後には、ロシア企業が日本市場に参入してくる時代になるでしょう。

 このような時代に、ロシアNIS経済研究所長を引受けることになり、その責務の重さに緊張しています。この数年間ロシアNIS経済研究所は、若手研究員の斬新なアイデアで各種定期刊行物にも工夫を凝らした結果、高い評価を頂戴し感謝しております。急速に進化しているロシア並びにNIS諸国の現実を、個々の会員のニーズに沿った形で、きめ細かく早く正確に伝え、ロシアNIS市場に新たに参入しようとする方々には適切にアドバイスすることも含め、研究所に課せられた責務は大きいと認識しています。今後皆様から率直なご意見をいただき、ロシアNIS経済に関する我が国唯一の専門シンクタンクとして、多角的に情報を分析し、日本とロシアNIS諸国との経済協力が更に発展する為にお役に立ちたいと思っております。


遠藤寿一えんどう・としかず) ロシアNIS経済研究所所長 経歴

1935年 秋田県生まれ。

1961年 上智大学外国語学部ロシア語学科卒業。

1961年 明和産業株式会社入社。

1966年 三菱商事株式会社へ転籍(対ソ連取引を明和産業から三菱商事株式会社へ移管したことに伴う)。同社でモスクワ事務所長、業務部CIS担当部長などを歴任。

1995年 三菱商事定年退職後、同社業務部CIS担当顧問。

2002年 社団法人ロシア東欧貿易会(現ロシアNIS貿易会)顧問を兼務。

2008年6月1日、ロシアNIS経済研究所所長に就任。