ロシアNIS調査月報2007年4月号特集◆ロシアと中国 |
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創立40周年記念 |
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特報 |
(社)ロシアNIS貿易会創立40周年記念式典 および記念懇親会開催される |
講演録 |
権力と所有、ロシア型ヴァリアントをめぐって |
特集◆ロシアと中国 |
直言 |
中ロ関係・中央アジア・上海協力機構 ―日本にとっての外交チャンス |
調査レポート |
中国とロシアの長期的経済発展比較(上) |
調査レポート |
ロシア極東と中国の通商・経済関係 |
ビジネス最前線 |
ユーラシアを股にかけ建機を売る |
自動車産業時評 |
中国車はロシア市場で市民権を得られるか? |
データバンク |
BRICs諸国データ大比較 |
データバンク |
2005〜2006年版ロシア地域別投資環境ランキング |
業界トピックス
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2007年1月の動き 2006年1〜12月の通関統計 |
ユーラシア巡見 |
復活・成長するカザフスタンの機械産業 ―企業支援事業の現場から |
ロシア産業の迷宮 |
別れの情景 ―袂を分かつオリガルヒたち |
クレムリン・ウォッチ |
スーパー経済閣僚出現 |
ロシア文化へのいざない |
ロシア版カーニバルとイースター |
日ソ・日ロ経済関係の 舞台裏 |
SODECOプロジェクトの経験 ―1970年前後のサハリン事情 |
日本センター所長 リレーエッセイ |
サハリンの昨今 |
商流を読む |
外資による寡占が進むロシアのタバコ市場 |
エネルギー産業の話題 |
大手石油ガス会社の電力関連プロジェクト |
月刊エレクトロニクスNews |
カーナビ元年を迎えたロシア |
ノーヴォスチ・レビュー |
ヨーロッパの女性を魅了するロシアのフェルト靴 |
ドーム・クニーギ |
さとう好明著『ビジネスロシア語』 |
通関実績 |
2006年1〜12月の日本の対ロシア・NIS諸国 輸出入通関実績(速報値) |
特報
(社)ロシアNIS貿易会創立40周年記念式典および記念懇親会開催される
はじめに
(社)ロシアNIS貿易会は、皆様のご指導とご支援のお陰をもちまして、昭和42年(1967年)の創立以来、平成19年(2007年)で創立40周年を迎えることとなりました。この節目に当たり、弊会では2月1日、東京の如水会館において、「創立40周年記念式典および記念懇親会を開催いたしました。当日は、皆様ご多忙のところ、多数のご来場をいただき、ここに改めて深謝申し上げます。以下では、式典と懇親会の模様を報告させていただきます。
講演録
権力と所有、ロシア型ヴァリアントをめぐって
法政大学法学部 教授
下斗米伸夫
はじめに
1.政治と経済
2.大国ロシアの復活
3.異質なロシアか
4.崩壊と再建 ―ロシアの展開
5.権力と所有、国家とビジネス
はじめに
(社)ロシアNIS貿易会は2月1日、東京の如水会館において、創立40周年記念式典を開催いたしました。この席で、我が国のロシア政治研究の第一人者である下斗米伸夫・法政大学法学部教授に、「権力と所有、ロシア型ヴァリアントをめぐって」と題し記念講演をしていただきました。そこで、以下でその講演録をお届けいたします。なお、以下では、事前の講演原稿にありながら、当日時間の都合で割愛された部分も含めて採録いたします。(編集部)
直言
中ロ関係・中央アジア・上海協力機構
―日本にとっての外交チャンス―
北海道大学スラブ研究センター 教授
岩下明裕
はじめに
上海協力機構:3つの誤解
上海協力機構の原典
日本こそが貢献できる
2007年夏:ビシュケク・サミットという好機
はじめに
今号では、本『月報』にとって新機軸となる特集「ロシアと中国」をお届けいたします。その冒頭を飾るにふさわしいご論考を、北海道大学スラブ研究センターの岩下明裕教授にお寄せいただきました。
岩下教授は2006年12月に、アルマトゥのカザフスタン戦略研究所で行われた日本とカザフスタンの研究者間の対話の席で、「上海協力機構」に関する報告をなさいました。その刺激的な内容から、この報告には、カザフスタンのニュースなどで大きな反響があったようです。今回のご論考は、その時の報告をもとに、新たに書き下ろしていただいたものです。
なお、本稿の中心テーマとなっている上海協力機構は、ロシア、中国、カザフスタン、クルグズスタン(キルギス)、タジキスタン、ウズベキスタンによって2001年6月に創設された地域協力機構で、その後モンゴル、インド、パキスタン、イランがオブザーバー加盟して現在に至っています。(編集部)
中国とロシアの長期的経済発展比較(上)
ロシア新経済大学 教授
V.ポポフ
はじめに
要約
1.移行期の明暗
2.北京コンセンサスVSワシントン・コンセンサス
3.長期的展望:アジア的価値と西洋的価値(次号)
結論(次号)
はじめに
ウラジーミル・ポポフ教授は、ロシアの経済学会を代表する中国通であり、中国経済に関する著作が多数あります。今回、そのポポフ教授より、近く英文のジャーナルに投稿する予定の論文“China's Rise, Russia's Fall: Medium Term and Long Term Perspective”をご提供いただきました。ご本人より、本誌に邦訳掲載する許可をいただきましたので、一部省略のうえ、今号と次号の2回に分けてご紹介いたします。
本稿は、旧ソ連/ロシア(のみならず世界各国)と対比しつつ中国の長期的な経済発展を論じたものであり、ロシア人学者が中国の勃興と自国の凋落について語るという、大変興味深いものとなっております。(編集部)
ロシア極東と中国の通商・経済関係
ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所
V.クチェリャヴェンコ
はじめに
1.ロシア極東の経済と対外経済関係
2.ロシア極東経済にとっての中国
3.ロシア側に募る不満
4.資金の流れと銀行
5.投資面での協力
はじめに
特集「ロシアと中国」の一環として、当会と提携関係にあるロシア科学アカデミー極東支部経済研究所のクチェリャヴェンコ研究員に、ロシア極東と中国の経済関係というテーマでご寄稿をいただきました。以下、邦訳してご紹介いたします。(編集部)
ビジネス最前線
ユーラシアを股にかけ建機を売る
株式会社 タイガー
代表取締役 社長 金子高司さん
はじめに
株式会社タイガーはロシア、中国、東南アジア、中近東など世界数十カ国に向けて、産業発展に欠かせない建設機械、船舶、車両を輸出している専門商社です。同社のロシアビジネスが活発になってきたのは7〜8年前。性能のよい日本製建設機械の引き合いがどんどん増えて、「そんなに需要があるなら」と金子社長は頻繁にロシアへ飛ぶようになりました。そして、いまではサハリンのコルサコフからモスクワまで、4つの現地法人を設立しています。
ユーラシアの大地でビジネスを展開するタイガーの経営者はさすがスケールが大きく、インタビューでは様々なご経験を交えながら、たくさんのエピソードやご意見を披露してもらいました。胸襟を開いてロシアや中国のビジネスパートナーと向き合い、家族ぐるみで付き合ってこられた金子さんは、これからも幅広いニーズに応え、新事業を立ち上げていくつもりです。
自動車産業時評
中国車はロシア市場で市民権を得られるか?
ロシアの乗用車市場では、2005年ごろより中国車の販売台数が徐々に増えてきています。2006年1〜9月期のロシア市場における中国車の販売台数は約1万台で、外国新車市場におけるシェアは1.5%でした。メーカー別で見ると、カリーニングラードのAvtoTORで現地生産をしているChery車の販売台数が最も多く4,758台に達しています。以下、Great Wall:3,627台、BYD:1,240台、Hafei:812台と続きます。
もっとも、ロシアにおける中国車のブランド・イメージは必ずしも高いとは言えず、「安かろう、悪かろう」の先入観を持つ人が多いのも事実。このため、中国車の販売台数が今後も順調に伸び続けるか否かという点に関しては、市場関係者の間でも意見が分かれています。
それでも、最近の市場動向からして、ロシアで中国車の販売台数が伸びていく可能性は、一定程度はあると言えそうです。以下では、いくつかの要因を検討してみることにいたします。
データバンク
2005〜2006年版ロシア地域別投資環境ランキング
ロシアの経済週刊誌『エクスペルト』(2006.11.27-12.3, No.44)が、毎年恒例のロシアの地域別投資環境ランキングの最新版を発表したので、この資料を抜粋して紹介する。
『エクスペルト』の地域別投資環境ランキングは、各種の統計指標と調査・研究資料をもとに、内外の専門家による評価を加味して作成されている。同誌では、A.投資上のメリット、B.投資上のリスク、つまり投資を行ううえでのプラスとマイナスの両面からアプローチしている。
今回のランキングによると、Aの投資メリットでは、首都のモスクワ市が引き続き首位の座をキープするなど、1位から5位までの順位が前年とまったく同じになっている。一方、Bの投資リスクでは、サンクトペテルブルグ市が首位にとどまり、ベルゴロド州、バシコルトスタン共和国、モスクワ州などが躍進した。
なお、当会では昨年、『ロシア地域要覧 2006〜2007』と題する刊行物を発行した。ロシアの各地域に関する基礎情報や経済データを満載しているので、ぜひご活用いただきたい。
ユーラシア巡見
復活・成長するカザフスタンの機械産業
―企業支援事業の現場から―
ロシアNIS経済研究所 調査役
輪島実樹
はじめに
中央アジア=後進地域とのイメージからか、あるいは石油・天然ガス・金属等の地下資源のみに注目が集まるためか、「カザフスタンには製造業がない」との評価をよく耳にする。敢えて言うが、これは大きな誤りである。カザフスタンの工業において資源採掘分野の方が製造業よりはるかに発達していることは事実である。ロシアやウクライナなど欧州部に比べれば、無論、その基盤も弱い。しかし一方、ソ連時代、カザフスタンは少なくとも中央アジアでは最も工業化が進んだ国であった、ということも忘れてはならない。特に北部のロシア人居住地域には、ウラルや西シベリアの工業地帯と言わば“地続き”の重工業諸都市が存在していた。連邦解体後、体制転換に伴う生産低下とロシア人の本国帰還によりこれらの都市における製造業は壊滅的状況に陥ったが、近年のカザフスタンおよびロシア両国の急速な経済成長に伴い、復活・急成長を遂げる企業が現れてきた。
ロシアNIS貿易会では過去4年にわたり、中央アジア・コーカサス地域を対象に製造業育成のための企業コンサル事業を実施している。2006年11月、事業対象企業選定のため、機械製造業に従事するカザフスタン企業6社を訪問する機会を得た。以下は、同調査および一部はその後の本格指導の際に収集した情報に基づく、現場レポートである。
ロシア産業の迷宮
別れの情景
―袂を分かつオリガルヒたち―
はじめに
ここ2〜3年、ロシアの新興財閥の共同オーナー兼経営者が袂を分かつケースが目立ち始めている。
たとえば、2004年には、ロシアで最も謎の多い銀行のひとつといわれるメジュプロムバンクの共同経営者だったセルゲイ・ヴェレメエンコとセルゲイ・プガチョフが袂を分かち、前者がメジュプロムバンクを離れ独立している。
また、2006年2月には、チェリャビンスク冶金コンビナート(略称:メチェル)や複数の石炭会社を傘下におさめる企業グループ「メチェル」の創設者で共同経営者だったウラジーミル・イオリフとイーゴリ・ジュジンが、前者がメチェルを離れるという形で袂を分かつことが判明した。
本稿では、この2件の「離婚」の経緯や背景についての説明を試みる。
なお、2006年末には、MDMグループ(この会社は2004年に消滅しているが、便宜上この名称を使う)のセルゲイ・ポポフとアンドレイ・メリニチェンコが、2007年1月には、インターロスのウラジーミル・ポターニンとミハイル・プロホノフが、それぞれ袂を分かち合っているが、これらの「離婚」にはかなり複雑な要素が絡んでいる可能性が存在するので、もう少し調べた上で別の機会にご説明したいと考えている。(坂口泉)
エネルギー産業の話題
大手石油ガス会社の電力関連プロジェクト
電力分野で構造改革が進められていることに加え、石油ガス生産の拠点であるチュメニ州で電力不足の傾向が顕著になっていることもあり、最近、ロシアの大手石油ガス会社の電力分野に対する関心が強まりつつあります。最も強い関心を示しているのはガスプロムですが、同社の電力プロジェクトについてはいずれ個別に詳細に紹介するとして、今回はその他の石油ガス会社の電力プロジェクトを簡単に紹介いたします。
月刊エレクトロニクスNews
カーナビ元年を迎えたロシア
ロシアの経済誌『プロフィール』の2006年11月27日号に、カーナビに関する記事が出ています。この記事で特徴的なのは、紙幅の大半が、カーナビとはどんなものかという説明に費やされていることです。それもそのはずで、同国でカーナビは、ようやく導入が始まったところ。以下、『プロフィール』誌の記事の要旨を紹介します。