ロシアNIS調査月報
2007年11月号
特集◆ロシア自動車市場と
関連産業
特集◆ロシア自動車市場と関連産業
調査レポート
2007モスクワ自動車見本市視察報告
調査レポート
外資による乗用車・部品のロシア現地生産
調査レポート
進め、右ハンドル!
―膨張する極東中古車ビジネスとプーチン政権
調査レポート
ロシア自動車部品産業の現場から見えるもの
―カルーガ州でのコンサルティング活動から
ビジネス最前線
ロシアの自動車市場を語る
データバンク
2007年1〜6月のロシアの乗用車市場
ミニ・レポート
ロシアのトラック市場と外国メーカー
ミニ・レポート
ロシア・タイヤ市場の最新事情
ミニ・レポート
ロシアの自動車用照明機器メーカー
ミニ・レポート
自動車産業の裾野としての化学工業
商流を読む
ルクオイルがリードするエンジンオイル市場
エネルギー産業の話題
モスクワとペテルブルグのガソリンスタンド
メタルワールド
ロシア鉄鋼メーカーの自動車鋼板生産
ロジスティクス・ナビ
ロシアのトラック国際貨物輸送
ノーヴォスチ・レビュー
欧州並みの排ガス基準をめざすロシア
ユーラシア巡見
ベラルーシの自動車事情
ロシア産業の迷宮
ロシア・タクシー不思議物語
RUSSIAN STYLE
ロシアの車のカラートレンド
ドーム・クニーギ
小山洋司・富山栄子著『東欧の経済とビジネス』

データバンク
2007年1〜6月のロシア経済
データバンク
2007年1〜6月の日本の対CIS主要国貿易統計
月刊エレクトロニクスNews
家電量販大手のテフノシーラが極東進出
クレムリン・ウォッチ
意外だったロシアの首相交代
日本センター所長
リレーエッセイ
サンクトペテルブルグ編
「私のロシア・レストラン遍歴」
ロシアビジネスQ&A
◎ロシアでの決済とL/C
◎高騰するホテル代
業界トピックス
2007年7−8月の動き
2007年1〜7月の通関統計


2007モスクワ自動車見本市視察報告

ロシアNIS経済研究所 調査役
服部倫卓

はじめに
 本年8月末から9月初頭にかけて、モスクワの展示会場「クロックス・エクスポ」において、自動車見本市「インターアフト」および「モスクワ国際モーターショー」が開催された。筆者は、これを取材する機会を得たので、以下では見本市の概要と、気付きの点などについて報告したい。


外資による乗用車・部品のロシア現地生産

ロシアNIS経済研究所 調査部次長
坂口泉

はじめに
1.外国車現地生産計画の概要と現状
2.純国産メーカーの動き
3.外資系部品メーカーの動き
おわりに

はじめに
 ロシアの乗用車市場では外国新車の販売台数が劇的な伸びを示しているが、それに伴い、外資系の完成車メーカーの現地生産計画の数も急増している。噂の域を出ないものまで含めれば、その数は20前後にも達する。また、それら完成車メーカーからの需要を期待してロシアでの現地生産を決断する外資系自動車部品メーカーの数も徐々にではあるが増加している。それら多数の外資系メーカーの動きを鳥瞰図的に把握することは、日本の完成車および部品メーカーが今後のロシア市場での戦略を検討する上で非常に重要な意味を持つと判断される。本稿では、そのような認識に立ち、外資系の完成車メーカーによる現地生産計画の概要と現状、純国産メーカーによる外資系企業との協業の現状、外資系の自動車部品メーカーの現地生産計画の概要と現状等について紹介する。


進め、右ハンドル!
―膨張する極東中古車ビジネスとプーチン政権―

在ベラルーシ共和国日本国大使館 専門調査員
齋藤大輔

はじめに
1.膨張する中古車ビジネス
2.プーチン政権と中古車規制
3.未来予想図

はじめに
 ウラジオストクの渋滞を見ながら思った。「この中古車を停滞する日ロ関係の打開に活用できないだろうか」と。「たかが中古車、されど中古車」。日本からロシアへの輸出台数は上半期だけで20万台を超えた。怒濤の快進撃が続く。「メード・イン・ジャパン」のブランドを乗せ、極東から内陸部へ進攻する。今や極東の一大産業に成長し、地域経済を支える。そんな中古車をモスクワはどうにかして規制しようとする。そのたびに、業者や市民による抗議行動が繰り広げられる。当局はそれにたじろぎ、撤回もしくは延期を余儀なくされる。中古車規制をめぐる動きは、プーチン政権の弱さを垣間見せる。2007年夏、ロシア極東の中古車ビジネスに迫った。


ロシア自動車部品産業の現場から見えるもの
―カルーガ州でのコンサルティング活動から―

ロシアNIS経済研究所 次長
高橋浩

はじめに
1.カルーガ州の現状
2.カルーガ州の自動車部品工場
3.最後に

はじめに
 ロシアNIS貿易会の事業のなかには、ロシア企業に対するコンサルティング活動があるが、今年度(平成19年度)は、カルーガ州の自動車部品企業が対象となっている。そこで本稿では、事業を通じて見えてくるロシアの自動車部品産業の一端を描いてみることにしたい。


ビジネス最前線
ロシアの自動車市場を語る

竃{田技術研究所 四輪開発センター 企画室
主任研究員 長瀬秀伸さん

はじめに
 2006年の日ロ貿易高は137億ドルを超え、日ソ、日ロの時代を通して過去最高を記録しました。その最大の要因は自動車輸出の急増です。日本財務省の輸出統計によれば、乗用車の輸出額は48億ドル(対前年比71%増)、対ロ輸出全体に占めるシェアは68%と拡大し、いままでの日本側の入超が出超に転じました。
 こうした状況を背景に、トヨタ、日産に続き、2007年になってからはスズキといすゞが相次いでロシアへの進出を決定するなか、世界の自動車市場をウォッチしてきた長瀬さんは、その経験を基に、ロシアの自動車市場を的確に把握すべく、市場の動向を注視しています。


ミニ・レポート
ロシアのトラック市場と外国メーカー

 急成長を続けるロシアの乗用車市場で外国メーカーが非常に積極的な動きを示しているのは周知のとおりであるが、最近になり、ロシアのトラック市場にも外資の関心が集まりつつある。たとえば、最近、日本のいすゞがセヴェルスターリアフトと合弁企業を設立し、エラブガでトラックの生産を開始する意向を表明した。また、ボルボもカルーガでのトラックの現地生産を計画しているし、IVECOも本格的な現地生産を検討している。その他、フォードも、2007年からトルコ製のフォード・カーゴというトラックのロシア市場での販売を開始している。
 以上のような状況を踏まえ、本稿では、2006年のロシアのトラック輸入状況、外資による新しい現地生産計画の概要等について紹介する。なお、別のレポートでは、ロシアのトラック国際貨物輸送についてまとめているので、そちらもあわせて参照していただきたい。


ミニ・レポート
ロシア・タイヤ市場の最新事情

 ロシアに、『ミール・シン』というタイヤの業界専門誌があり(発行元はアムテル社)、その2007年No.7に「ロシアのタイヤ市場」と題するレポートが掲載されている。以下では、そのレポートの要旨を紹介しながら、ロシア・タイヤ市場の最新事情についてお伝えすることとしたい。


ミニ・レポート
ロシアの自動車用照明機器メーカー

 ロシアの自動車用照明機器メーカーは、その歴史や性格に従い、@ソ連時代から照明機器を製造している古参メーカー、A比較的最近になって照明機器の生産を開始した新参メーカー、B主としてアフターマーケット用の照明機器を生産している多数の中小メーカー、の3つに大別できる。本稿では、そのうち@とAのタイプのメーカーの中からいくつかの企業をピックアップし、その概要を紹介する。


ミニ・レポート
自動車産業の裾野としての化学工業

 ロシアの『コメルサント』紙が出している『ビジネスガイド』というシリーズものの別冊付録があるが、その2007年8月29日号で、化学工業の特集が組まれている。そのなかに、自動車産業の裾野という観点から見たロシアの化学工業、同セクターへの外資の進出に関する記事が掲載されている。今回の特集にマッチした内容なので、以下で記事を抄訳して紹介することにしよう。


商流を読む
ルクオイルがリードするエンジンオイル市場

 ロシアのルクオイル社が発行する広報誌『MASLA@LUKOIL』の2007年No.9に、2006年のロシアにおけるエンジンオイル市場の概況についての記事が掲載されているので、その要旨を紹介する。なお、原典は、ロシア『自動車部品市場』誌である由。


エネルギー産業の話題
モスクワとペテルブルグのガソリンスタンド

 今回のエネルギー・コーナーでは、ロシア自動車特集の一環として、ガソリンスタンドの問題を取り上げたいと思います。競争が激化しているモスクワとサンクトペテルブルグのスタンド市場に焦点を充て、情報をとりまとめてお届けいたします。


メタルワールド
ロシア鉄鋼メーカーの自動車鋼板生産

 あるデータによると、自動車の材料の内訳は、鉄77.1%、ゴム5.6%、プラスチック4.9%、アルミ3.8%、非金属2.7%、ガラス2.4%、その他3.5%なのだそうです(三菱自動車のウェブサイトより)。やはり自動車というのは、鉄の塊が走っているようなものなのですね。
 当然のことながら、ロシアの鉄鋼メーカーの生産においても、自動車産業向けの供給は主力事業のひとつです。ロシアの鉄鋼大手は、自動車産業の本場である北米での自動車鋼板生産に注力してきましたが、ロシアでの外資系自動車工場の建設ラッシュを受け、最近になって国内での投資も活発化させています。以下では、関連する情報をとりまとめてお届けいたします。


ロジスティクス・ナビ
ロシアのトラック国際貨物輸送

 今月から始まった新コーナー「ロジスティクス・ナビ」。ロシア・NISでのビジネスにおける輸送、物流等、ロジスティクスにまつわる様々な問題を取り上げてまいります。
 第1回目の今回は、ロシアのトラック国際貨物輸送に関する情報をお届けします。なお、別のレポートでは、トラック販売市場のことを扱っていますので、あわせてご参照ください。


ユーラシア巡見
ベラルーシの自動車事情

ロシアNIS経済研究所 調査役
服部倫卓

はじめに
 このコーナーでは毎回、NIS諸国のうちの1カ国を取り上げ、最新の話題を提供している。今回は、ロシア自動車特集に合わせて、ベラルーシの自動車事情について簡単に紹介してみたい。
 ベラルーシは人口1,000万人弱の小国であり、日本から遠く離れた資源のない国ということもあって、NIS諸国のなかでも影の薄い存在である。しかし、その経済がロシアのそれと密接に結び付いていることから、ロシアでビジネスを展開するうえでも、視野の片隅に入れておいて損はない国と言える。
 今年5月に首都ミンスクで開催されたモーターショーは、5万人の来場者が詰めかけ盛況だったという。また、以下に見るように、最近になって外国の自動車メーカーが、ベラルーシで現地生産に乗り出す動きも出始めている。


ロシア産業の迷宮
ロシア・タクシー不思議物語

 ロシアでは普通のタクシー、つまり、きちんと認可を受けており料金メーター等が装備されているタクシー(以下、認可タクシー)の存在感が非常に薄い。とくに、モスクワとサンクトペテルブルグの2大都市でその傾向が顕著となっている(地方都市では、2大都市と比較すれば、認可タクシーの存在感が高いといわれている)。その一方で、日本ではあまり見かけない、自家用車を用いて無認可で営業している白タクの存在感が信じられないぐらい高くなっている。
 今回は、何かと「不思議の多い」ロシアのタクシー事情について語ってみたい。(坂口泉)


RUSSIAN STYLE
ロシアの車のカラートレンド

 あなたにとって、自動車を選ぶポイントは何ですか?メーカー、価格、形状、車種、装備、デザイン、色、アフターサービス・・・・・・といったところだろうか。もちろん、新車を買うか中古車を買うかによっても、選び方は大きく異なるだろう。
 誰にでも一目で分かる車の特徴といえば、おそらくボディカラーである。色だけで車を選ぶ人はいないだろうが、重要なポイントであることは間違いない。まずは価格や形状によって対象を絞り込んだ上で、その中から好みの色を選択する、あるいは価格や装備が同じであれば、色のバリエーションによって車種を決める人もいるかもしれない。好きな色と車の色が同じとも限らない。大部分の人は数年間乗り続ける覚悟で一家に1台の車を選ぶのだから、飽きのこないシンプルな色が選ばれるのは当然だろう。
 さらに、色は、新型車のブランドイメージを決定づける重要な要素の一つでもある。だからこそ、自動車メーカーや塗料メーカーは色彩の流行や志向の調査、新色の開発に多大な費用と手間をかけるのだ。
 そんなわけで、今号では車の色について考えてみたいと思う。(山本靖子)


月刊エレクトロニクスNews
家電量販大手のテフノシーラが極東進出

 ロシアの家電量販チェーン第3位のテフノシーラはこのほど、極東連邦管区の主要都市に店舗を開設する計画を発表しました。これまで大手チェーンでは、エルドラドこそ極東に店をもっていたものの(ハバロフスク、ウラジオストク、ヤクーツク、ブラゴヴェシチェンスク)、Mヴィデオ、テフノシーラ、ミールにとって極東は空白地帯になっていました。それだけに、今回のテフノシーラの決定は、興味深い動きです。そこで以下では、9月6日付のテフノシーラ社のプレスリリースを、抄訳してご紹介します。


クレムリン・ウォッチ
意外だったロシアの首相交代

 9月12日に行われた首相交代でロシアの政界は大騒ぎでした。フラトコフ前首相は今期限りと見られていたので、彼の辞任それ自体は予想の範囲内でしたが、後継首相は、誰もがアッという名前でした。あまりのことに、ついに秘密の大統領後継者がベールを脱いだか、というショックがモスクワの政界に走りました。(月出皎司)


ロシアビジネスQ&A

 今号より、新コーナー「ロシアビジネスQ&A」が始まりました。
 当会は、日露貿易投資促進機構の事業の一環として、日頃より、ロシアとのビジネスに関する相談に応じています。相談内容はロシアの一般的な経済・ビジネス情勢、特定分野の市場の状況、法律・制度、駐在員事務所や現地法人の開設、貿易取引実務、投資環境、展示会情報、渡航情報、クレーム・トラブル処理など多岐にわたっております。これらのご相談には、当会のスタッフが対応し、必要に応じて外部の専門家に照会する場合もございます。
 このコーナーでは、これまでにいただいた質問とその回答をご紹介してまいります。
さて、記念すべき最初のQ&Aをご紹介しましょう。