ロシアNIS調査月報
2008年4月号
特集◆ロシア・NIS諸国の鉄鋼業
特集◆ロシア・NIS諸国の鉄鋼業
調査レポート
ロシア鉄鋼メーカーの成長と国際化
調査レポート
ロシアのパイプラインと鋼管需給の最新事情
調査レポート
ロシア鉄鋼業近代化の課題
―チェリャビンスク州での経験から
調査レポート
ウクライナ鉄鋼産業の鳥瞰図
インタビュー
製鉄・環境分野で日ロの架け橋に
S.オフチンニコフさん(チェリャブギプロメズ社 社長)に聞く
ミニ・レポート
カザフスタンの鉄鋼業とミタル社
ミニ・レポート
新たな飛躍を期すベラルーシ冶金工場
ロシア産業の迷宮
トランスネフチの新旧社長が対立
ノーヴォスチ・レビュー
中国進出に踏み切ったエヴラズ
データバンク
2007年のロシアのメーカー別鉄鋼生産
ドーム・クニーギ
塩原俊彦著『パイプラインの政治経済学』

調査レポート
南ヤクーチヤ複合開発プロジェクト
ビジネス最前線
ICT事業拠点としてロシアを活用する
ユーラシア巡見
キルギスの手工芸品を世界のマーケットへ
クレムリン・ウォッチ
予定どおりの選挙結果、予測しがたいタンデム政権
RUSSIAN STYLE
サーシャとナスチャ
日本センター所長
リレーエッセイ
ニジニ・ノブゴロド編
ロシア人の日本好き、地域間交流の大切さ
商流を読む
水産物「輸入国」となったロシア
エネルギー産業の話題
ロシアのミニ製油所事情
自動車産業時評
ロシアのトランスミッション・メーカー
月刊エレクトロニクスNews
エルドラドの接客はやはり低レベル?
ロシアビジネスQ&A
◎取引相手の財務諸表の見方
業界トピックス
2008年1月の動き
◆ロシアの電子ボード市場を制覇した日立ソフト
2007年1〜12月の通関統計(速報値)


ロシア鉄鋼メーカーの成長と国際化

ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所 主任研究員
V.シュヴィトコ

はじめに
1.ロシア鉄鋼業の概況
2.業界地図と再編の展望
3.経営方針と効率向上の問題
4.海外進出とグローバル化志向

はじめに
 ロシア経済の現状と今後を大きく左右する部門と言えば、まず石油・天然ガスの生産と精製、非鉄金属の生産など、天然資源開発に強くかかわる産業が念頭に浮かぶ。それに対し、技術と生産の効率がカギとなる製造業の基幹産業が注目を受ける程度は相対的に低く、世界経済のコンテキストの中でみて比較優位を持たない産業として、ロシア経済の将来を考えるうえで大きな要因にはならないと考えられていた。
 鉄鋼業もその一つであり、数年前までは国際競争力を持ちえないものとして、長期的にそれほどの将来性はなく、楽観的な見通しでも、特定のセグメントにおける国内のニーズを満たす、限られた規模の存在になるのがやっとだろうという分析が多かった。
 しかし、最近になって鉄鋼の国際市場は、BRICsなど新興国の企業活動と密接に関連する形で、新たな将来展望が開けるようになっている。2007年に世間の注目を浴びたアルセロールとの合併を巡るロシアとインドの鉄鋼大手の競争は、その代表例である。関連してロシアの鉄鋼業界、またロシア資本の大手鉄鋼会社にも関係者の目が向けられ、それらの企業が示している国際化志向の実情と背景にも関心が持たれることとなった。
 本稿では、こうした関心にも答えて、ロシア鉄鋼業界の最近の動きとその背景について論じてみることにする。


ロシアのパイプラインと鋼管需給の最新事情

ロシアNIS経済研究所 調査部次長
坂口泉

はじめに
1.ロシア鋼管製造分野の概況
2.主なパイプライン建設計画
3.ロシアの主要大口径鋼管メーカー
おわりに

はじめに
 ロシアの鋼管製造分野の好調さが続いている。積極的な設備投資が功を奏し生産技術のレベルも急激に向上しており、海底パイプライン(以下、PL)用の鋼管を製造できる国産メーカーも複数出現している。また、ガスプロムの幹線PL用の口径1,420mmのストレートシーム(ワンシーム)管も、特殊な仕様のものを除き生産できるようになっている。
 筆者は約1年前にも「劇的な変化を遂げるロシアの鋼管製造分野」と題するレポートを発表しているが(本誌2007年3月号)、本稿ではその後の情勢の変化を踏まえ、ロシアの大手鋼管メーカーの設備投資の状況、および、鋼管の大口需要家である石油ガス分野における新PL建設計画の今後の見通しを中心に、成長を続けるロシアの鋼管製造分野の最新事情を報告する。


ロシア鉄鋼業近代化の課題
―チェリャビンスク州での経験から―

北九州国際技術協力協会 理事 技術協力部長
工藤和也

はじめに
1.世界の鉄鋼業とロシアの位置づけ
2.ロシア鉄鋼業の技術レベル
3.ロシア鉄鋼業の将来

はじめに
 2006年3月にロシアNIS貿易会(当時はロシア東欧貿易会)コンサル事業の専門家の1人として、ロシアのチェリャビンスク州を訪問したのがロシア鉄鋼業との出会いの始まりである。このコンサル事業には5名のコンサルタントが派遣されたが、私の専門は技術管理、品質管理、環境管理であった。
 約1週間のコンサルティング業務は、様々な業種の会社(9社)を訪問しその中からコンサル対象の1社を選び出す仕事であった。
 コンサル業務は、市内の広い地域をバスで移動しながら会社を訪問することになるが、バスから見える市民の様子や町の姿を観察していると私の興味を引いたあるものを発見した。それは鉄鋼で発生する廃棄物のスラグの山であった。
 市内にある幾つかの製鉄所のスラグの山に車を走らせて、スラグ山をつぶさに見て回った。スラグ山の探検ツアーは、時には悪路を3時間も走り続けた。
 ロシアでは鉄鋼スラグのうち、高炉スラグは水砕スラグとして、セメントの原料に使用されているが、製鋼スラグは未処理の状態で放置されている。このスラグの中には、回収可能なメタリック鉄が約10%含まれている。日本では、スラグからメタリック鉄を回収した後のミネラル分は、道路の路盤材等として利用している。スラグを処理して有効利用することによって、鉄鉱石から鉄を作り、石灰からセメントを作るのに比べて、炭酸ガス(CO2)発生量を大幅に削減でき、地球温暖化防止に寄与することになる。関係者にスラグ山は宝の山であることを説明し、スラグ処理事業の可能性を模索した。
 それからほぼ1年で、スラグ処理の事業化に向けた動きが具体化した。北九州市のスラグ処理専門メーカーとチェリャビンスクの鉄鋼関連設計・エンジニアリング会社とを結びつけることに成功した。両社は2007年6月末に、技術協力協定を締結し事業化に向けて動き出した。
 ロシアNIS貿易会のコンサル事業を通じて、北九州市とチェリャビンスク市の友好関係も構築でき、両市は行政部門と企業が数度にわたり相互に往来することになった。この仕事で私は通算8回にわたり、ロシアを訪問し鉄鋼関連の多くの友人に出会い、多くの情報に接し実際に製鉄所を見学する機会を得た。これ等の情報を元にロシア鉄鋼業の現状と今後の展望を考察した。


ウクライナ鉄鋼産業の鳥瞰図

ロシアNIS経済研究所 調査役
服部倫卓

はじめに
1.ウクライナ鉄鋼業の概要
2.輸出動向
3.業界地図
おわりに

はじめに
 世界の鉄鋼生産国上位10カ国を見ると、G7諸国や、人口が1億人を超えるような大国がひしめいている。そうしたそうそうたる顔ぶれのなかで、ウクライナが第8位に食い込んでおり、世界の粗鋼生産の3.3%のシェアを占めていることが注目される。ウクライナの鉄鋼業は、世界の鉄鋼需給にとっても無視できない重要性を帯びているし、増してや同国の国民経済にとっては浮沈を握る存在である。
 しかし、業界の透明性の問題や、言語の壁などがあり、ウクライナの鉄鋼産業の実態は、ロシアのそれ以上に、部外者にとって分かりにくいものとなっているのではないか。我が国においても、ウクライナの鉄鋼業に関する情報は、お世辞にも厚みがあるものとは言えないだろう。試みに、Yahoo! Japanで、「ウクライナ+鉄鋼業」で検索してみたところ、筆者が数年前に書いた、大して関係のない小文がトップでヒットしてしまい、少々ばつの悪い思いであった。
 このような状況にかんがみ、以下では、ウクライナ鉄鋼産業に関し、基本的なデータや情報を図表にまとめることを中心に、レポートをお届けする。鉄鋼業の立地、経済に占める地歩、生産動向、輸出動向、そして業界地図などを、鳥瞰図的に紹介してみたい。


Interview
製鉄・環境分野で日ロの架け橋に
セルゲイ・オフチンニコフさん(チェリャブギプロメズ社社長)に聞く

はじめに
 ロシアNIS貿易会(ROTOBO)ではここ数年、様々な形で日ロ両国の鉄の都である北九州とチェリャビンスクの企業間交流の促進を行っており、日本企業の製鉄関連技術の対ロ輸出に努めている。本件、北九州の側では、北九州市役所貿易振興課、また、北九州国際技術協力協会(KITA)などにご尽力いただいているが、チェリャビンスクの側で大きな役割を果たしてくれているのが、本日登場願う、チェリャブギプロメズ社のオフチンニコフ社長である。同社が日本の製綱スラグ処理技術を導入し、チェリャビンスクにおいてスラグ処理事業に着手することは、地元でも大きく取り上げられ、話題を呼んだ。また、北九州に数多くある製鉄関連の優れた技術を関係者の協力を得て発掘し、自らのネットワークで、同技術に関心を持つチェリャビンスク企業を見つけ出し、双方を結びつけるというビジネス・マッチング事業もいくつかの案件が動きだし、日ロ双方で注目を集めている。今回のインタビューでは、これまでの経緯を含め、社長自らに日本とのビジネスの可能性を聞いた。(聞き手:岡田邦生 ロシアNIS経済究所 次長)


ミニ・レポート
カザフスタンの鉄鋼業とミタル社

はじめに
 カザフスタンの鉄鋼業の立地を見ると、カラガンダ州に極端に偏っていることが分かる。たとえば、全国の粗鋼生産に占めるカラガンダ州のシェアは、2005年:92.1%、2006年:87.2%、2007年:84.8%と推移しており、低下傾向にはあるものの、依然として同州のシェアは圧倒的である(残りはほとんどがパヴロダル州)。これは、旧ソ連有数の規模を誇ったかつての「カラガンダ冶金コンビナート」が、同州のテミルタウ市に所在しているからに他ならない。
 そのカラガンダ冶金コンビナートは、インドの鉄鋼王ミタル氏によって1995年に買収され、現在は「アルセロールミタル・テミルタウ」と社名を変えている(以下では単に「ミタル社」と呼ぶことにする)。この小レポートでは、ミタル社の事業展開を中心に、カザフスタンの鉄鋼業を概観する。


ミニ・レポート
新たな飛躍を期すベラルーシ冶金工場

はじめに
 小国ベラルーシには高炉がなく、したがって銑鉄は生産されていない。だからといって、同国に鉄鋼業が一切存在しないわけでは、もちろんない。2006年の時点で、鉄鋼業はベラルーシの鉱工業生産の3.6%を占めている。
 同国で最大の鉄鋼業関連企業となっているのが、「ベラルーシ冶金工場」である。業績は伸びているようで、設備投資に関する情報も聞こえてくる。そこでこのレポートでは、ベラルーシ冶金工場の概要と近況につき、報道などにもとづいてお伝えすることにする。


ロシア産業の迷宮
トランスネフチの新旧社長が対立

 今、太平洋パイプライン(以下、PL)が思わぬ形で注目を集めている。順調に進んでいると思われていた同PLの第一期工事が実は大幅に遅れており、当初予定されていた2008年秋の稼動開始がかなり厳しいことが最近判明したのだ。たとえば、第一期工事の枠内で沿海地方のコジミノ湾に石油ターミナルが建設されることになっているが、国防省をはじめとする一部の省庁が難色を示しているため、工事開始の認可すら下りていないことが最近判明している。これから省庁間の合意作業を急いで行っても、認可が下りるのは春以降になるとみられている。半年で大規模な石油ターミナルをゼロから建設するのは物理的に不可能だと判断される。また、PL自体の建設も遅れているようで、トカレフ・トランスネフチ現社長によれば、ライン部分の完成度は40%、ポンプステーション部分のそれは23%とされている。
 ところが、2007年9月にトランスネフチを去ったヴァインシュトク前社長は、第一期工事の進捗状況は良好で2008年秋には稼動開始が可能だと、辞任の直前まで豪語していた。さらに、2007年7月には「鋼管1,000キロメートル敷設完了式典」とやらを華々しく執り行っている。
 このように新旧社長の発言内容があまりにも食い違うため、誰もがある疑問を抱き始めている。すなわち、「工事遅延の責任は誰にあるのか? 新旧社長のうち誰が本当のことを言い、誰が嘘を言っているのか?」という疑問である。その疑問に答えるかのように、ロシアの有力経済紙の『コメルサント』紙と『ヴェードモスチ』紙に相次いで新旧社長のインタビューが掲載された。今回は、両者の発言の中で最も興味深い部分を紹介するとともに、両者の発言から筆者が受けた印象を報告する。(坂口泉)


南ヤクーチヤ複合開発プロジェクト

ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所
S.レオノフ

1.サハ共和国と南ヤクーチヤの現況
2.南ヤクーチヤ開発計画
3.プロジェクトの具体的内容
4.プロジェクトの実施体制

 サハ共和国(ヤクーチヤ)はロシア領土のほぼ5分の1を占め、ロシア最大の面積を持つ連邦構成主体である。同共和国は北氷洋の2つの海(ラプチェフ海及び東シベリア海)の沿岸にあり、その総面積310万平方キロはインドもしくは西ヨーロッパ全体の面積にも匹敵する。
 領土の40%以上が極圏にあり、その領内に3つの時間帯がある。現在でもヤクーチヤは世界で最も隔絶され、交通手段によるアクセスの難しい地域の一つである(領内の90%には通年で利用できる交通ルートがない)。ヤクーチヤの天候気象条件は多くの点で極限を示すものであり、ヤクーチヤは地球上の居住可能な地域の中で最も寒い地域である。同共和国内の多くの地区で冬の通常の大気温度は−45〜−50℃であり、−70℃に達する時もある。一方、夏は暑く、年間の温度差は100度以上にもなる。年間降雨量はそれほど多くはない(200〜290mm)ので、旱魃が発生するのも珍しくはない。領土の多くは永久凍土地帯にある。
 こうした環境の下で人間が活動し、経済を営むには特異なアプローチと技術が必要になる。
こうした背景において際立っているのが南ヤクーチヤである。経済分野は限定されているものの、高い天然資源・工業潜在力を有している地域である。しかし、交通・電力網インフラが未整備であるため、その実現が阻害されている。
 南ヤクーチヤは石炭・金採掘に特化した経済構造にあり、加工業の発展が遅れ、投資の成長レベルも低く、住民の流出が相次ぎ、インフラ(特に電力網及び交通輸送)が未整備である。
南ヤクーチヤの潜在力は天然資源の採掘及びその精製加工(水力発電資源、鉄鉱石、ウラン鉱石、金、石炭、燐灰石などの有用鉱物埋蔵量、森林資源)に依拠する。
 南ヤクーチヤは豊かな天然資源潜在力を有する。同地域の鉱物原料潜在力及びそれに依存する諸地域を分析した結果によれば、将来的にはこの地域に石油ガス工業、ガス化学、石炭産業、製鉄、エネルギー産業、鉱業分野における大規模な投資プロジェクトが実現する可能性が高いことが明らかになった。ただし、有用鉱物の採掘というよりはむしろ、精製加工業の発展に力点が置かれた分析内容である。


ビジネス最前線
ICT事業拠点としてロシアを活用する

潟tァイテックラボ・サンクトペテルブルグ社長
潟tァイテックラボ取締役
手塚正信さん

はじめに
 大学の第2外国語でロシア語を専攻してから20年後、思いもよらないロシアへの赴任となった手塚さん。古都、サンクトペテルブルグでの生活は、面食らうところも少なくないそうですが、大きく変化するロシアは興味深く、また、ロシア人の義理人情の厚さや素朴なところも気に入って、生活を楽しまれている様子です。今回は一時帰国中の手塚さんより、ロシアのICT業界の現状や特徴、そして現地法人の経営者として、人材確保や労務管理のご苦労などについてお聞きしました。


クレムリン・ウォッチ
予定どおりの選挙結果、予測しがたいタンデム政権

  予想どおりというよりも、「予定どおり」に、メドヴェージェフ氏の当選が決まりました。現代ロシアの政治プロセスに特有の不透明性のために、数多くの憶測をともなった後継決定でしたが、最終段階に言われた憶測の一つ、「プーチンは後継大統領に対する自分の優位を維持するために、投票率、得票率を自分への支持率より下に抑えるだろう」という点は外れたようです。同候補の得票数は5,200万票強に達し、2004年のプーチン候補得票数を250万票近く上回りました。クレムリンによる「マイナス調整」はどうやら行われなかったようです。
 ロシア政界をめぐる関心は、メドヴェージェフ大統領+プーチン首相という組み合わせがどのように機能するか、つまり機能分担的になるのか、それとも院政説のいうように(この数週間でこの説はかなり薄れてきましたが)プーチンの操縦で新大統領が動かされるのか、それが現実政治の変化としてどのように現れてくるのか、こないのかに集まっています。ロシアの専門家の間でも見方は実に多様で、問題の複雑さを示しています。以下は筆者の見方です。(月出皎司)


RUSSIAN STYLE
サーシャとナスチャ

はじめに
 今回は、ロシア人の名前の話をしようと思う。2007年にモスクワ市で登録された新生児の名前ランキングによると、男の子はアレクサンドル、女の子はアナスタシヤが1位であった。それぞれの愛称が、サーシャとナスチャだ。掲題は、日本でいうところの「大翔(ひろと)くんと陽菜(ひな)ちゃん」(ベネッセコーポレーション2007年調べ)というわけだ。
 日本では、漢字の組み合わせによって無限といってもよいほど多くの名前が創られるし、両親は、自分の子どもにより個性的な名前をつけたがる傾向があるように思われる。時代によって、流行の名前もかなり変わる。筆者の小学生時代には、クラスの半数位の女の子が「〜子」という名前だったように思うが、最近の子どもには珍しいらしい。
 一方、ロシア人が子どもに名前をつけるときは、新たに創作することは少なく、既存の名前の中から選ぶケースが多いので、名前の種類は日本ほど多様ではない。クラスに同じ名前の子がいる確率も、日本に比べたら圧倒的に高い。それでも、やはり時代によって名前の流行は変化するし、最近は多様化して種類も増えてきたといわれる。そして、子どもの名前を考えるのが親にとって一大事であることは、日本もロシアも同じなのだ。(山本靖子)


商流を読む
水産物「輸入国」となったロシア

 ロシアでは近年、レストランやスーパーマーケットでみられる魚介類の種類が目に見えて豊富になった。日本食ブームもその一端を担っているといえるだろう。
 今号では、IMC(地域間マーケティングセンター)のサイトに掲載されたレポートを中心に、ロシアの水産物市場の動向をご紹介する(とくに記述しない場合、同レポートが出所である)。


エネルギー産業の話題
ロシアのミニ製油所事情

 1月下旬にNHKのBS1で「シベリア鉄道2008」という3回シリーズの番組が2夜連続で放映されました。ちなみに、番組の制作に当たっては、ロシアNIS貿易会が資料提供を行いました。
 その1回目の放送で、チュメニ州のアンチピノに所在する、2006年秋に稼動を開始したばかりの最新の製油所が紹介されていました。ロシアの石油精製業界に詳しい人の中にも、「えっ、そんな製油所あったっけ?」との感想を抱かれた方が多かったのではないでしょうか。実は、ロシアの製油所は、年間の原油処理能力が300万t以上の大規模製油所と、処理能力が100〜200万t未満と規模が小さいがゆえにほとんど情報が出てこない「ミニ製油所」の2つに大別され、アンチピノ製油所は後者の範疇に属するわけです。
 ただ、番組でも紹介されていたように、アンチピノ製油所では現在設備の増強工事が行われており、その工事が完成すれば年間の原油処理能力が380万tに達することが見込まれています。つまり、「ミニ製油所」から大規模製油所に昇格するということ。これは、ソ連解体後大規模製油所がひとつも建設されていないロシアにとって、画期的な出来事と言えます。
 今回は、そのアンチピノ製油所と、同じチュメニ州(ヤマロ・ネネツ自治管区)のタルコサレに所在するミニ製油所を紹介します。


自動車産業時評
ロシアのトランスミッション・メーカー

 ロシアのトランスミッション生産は、部材産業全般の例に漏れず、レベルが低いと言われています。当然、現地生産に乗り出した外国メーカーも、当面は輸入でしのごうとしています。
ただ、依然として国産車のシェアが大きいこともあり、地場メーカーも依然として存続しています。 今回のレポートでは、ロシアのトランスミッション・メーカーのなかで、注目すべきものを選んでご紹介いたします。


月刊エレクトロニクスNews
エルドラドの接客はやはり低レベル?

  ロシアの家電量販チェーンで、最大の店舗数と売上高を誇るのが「エルドラド」です。しかし、高級感には乏しく、店員の接客態度にも問題があるという見方が一般的となっています。今般、そうしたイメージを裏付けるように、エルドラドの接客の質が業界で最低という調査結果が発表されたので、今回はこれをご紹介いたします。情報源はロシアのエレクトロニクス関係の情報サイト「ASmedia」です。