ロシアNIS調査月報2009年3月号特集◆日本に一番近い |
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特集◆日本に一番近いヨーロッパ・沿海地方 |
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Introduction
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What's 沿海地方 |
講演録
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ロシア極東経済情勢とウラジオストク大開発 |
調査レポート
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極東ロシアとのビジネスの現状と課題 ―食品輸出の事例を中心に― |
調査レポート
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拡張を続けるFESCO ―船会社から複合一貫輸送会社へ― |
調査レポート
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沿海地方と中国・北朝鮮関係 |
ビジネス最前線
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ロシア極東ビジネスは共存共栄の精神で |
ミニ・レポート
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ウラジオでの受注を目指す北海道建設業界 |
調査レポート
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綻びが見え始めたロシアの電力改革
―金融危機下の投資状況を中心に― |
調査レポート |
ロシアにおける官民パートナーシップ ―メカニズムと実施状況― |
研究所長日誌
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東西デタントと西欧への天然ガスパイプライン |
クレムリン・ウォッチ
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「ガス戦争」の損得計算 |
エネルギー産業の話題
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ロシア石油化学分野の最新の動き(その4) |
自動車産業時評
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ロシアの自動車関税引き上げ措置 |
ドーム・クニーギ
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高橋浩著『早わかり ロシアビジネス』 |
ロシアビジネスQ&A
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◎ロシアのファッション・トレンドを知る |
業界トピックス
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2009年1月の動き ◆ウクライナの家電販売はいま 2008年1〜12月の輸出入通関実績(速報値) 2008年の月別の対ロシア通関実績 |
What's 沿海地方
ロシア沿海地方と日本との関係は深く、1920年代初頭にはウラジオストクに6,000人近くの日本人が住んでいた。ウラジオストクは「浦潮」(または浦塩)と呼ばれて親しまれてきた。第2次世界大戦後、ウラジオストクは外国人に閉ざされた閉鎖都市であったものの、沿海地方は経済面では石炭や木材の日本向け出口として重要な役割を果たしてきた。そして、今、APECサミットに向けた大規模なインフラ整備で、沿海地方は日本企業の注目を集める。
そこで今号では、「日本に一番近いヨーロッパ・沿海地方」と題して、沿海地方特集をお届けする。まず、特集の冒頭を飾るこの記事では、沿海地方とはどのような地域であるかを、整理して紹介することにしよう。
講演録
ロシア極東経済情勢とウラジオストク大開発
在ウラジオストク日本国総領事館
総領事 蒲原正義
はじめに
(社)ロシアNIS貿易会では10月8日、当会会議室において会員向けのメンバーズ・ブリーフとして、「ロシア極東経済情勢とウラジオストク大開発」を開催いたしました。一時帰国中の蒲原正義・在ウラジオストク日本国総領事をお招きし、ロシア極東経済の現状、ウラジオストク大開発の展望などについて解説していただきました。
ロシア極東では2007年、「2013年までの極東ザバイカル経済社会発展プログラム」が策定され、経済開発の期待が再び高まっています。なかでも沿海地方のウラジオストクでは2012年のAPECサミットに向けたルースキー島大橋やホテル・会議場の建設など大規模なインフラ整備が計画されています。一部プロジェクトについてはすでに着工し、その実現を予感させる一方、サミットまで「本当に間に合うのか」という疑問もあります。
そうした疑問を、2005年に着任されて以来3年以上にわたり現地で情勢をフォローされておられる蒲原総領事からお聞きするというのが開催の趣旨でした。
以下では、講演内容をご紹介いたします。なお、講演後のQ&Aは紙面の都合上、割愛させて頂きます。
極東ロシアとのビジネスの現状と課題
―食品輸出の事例を中心に―
株式会社JSN 貿易担当
濱野剛
はじめに
1.極東ロシアの消費市場に対する「誤解」
2.輸送面での難しさ
3.現地でのパートナー探しと売れる商品の選択
4.極東ロシアの特殊性 ―距離的な近さ―
5.金融危機と為替変動の影響 ―中古車ビジネスの今後―
6.金融危機と為替変動の影響 ―食品等の輸出―
最後に
はじめに
金融危機による世界規模での景気悪化が起きるまでの数年間、極東ロシアと日本の経済関係は、1990年代以降ではもっとも良い局面にあった。2000年の初めごろまで、極東とのビジネスは、天然資源と中古車以外にほとんど成立しなかったが、ロシア経済が復調するとともに、様々な分野でのビジネスが可能となった。とりわけ、目立つようになったのが、ウラジオストクやハバロフスクへの食品、生活雑貨等の輸出である。最近では、農産物など生鮮貨物の輸出も始まり、現地のスーパーには、必ずといってよいほど、日本製品コーナーが設けられている。
とはいえ、極東ロシアの人口は600万人程度。ウラジオストク、ハバロフスクなど潜在的な市場となりうる都市部の人口は、周辺を含めてもそれぞれ100万人には届かない。所得も以前より大幅に増えたが、モスクワに比べると、まだまだ低い。消費市場として極東ロシアには自ずと限界があるが、ここ数年、日本全国の企業や自治体がこぞって売り込みをかける状態が続いている。ただし、日本企業との間で、まっとうなビジネスができる業者は限られるため、オファーが過剰となり、条件・価格競争に陥っている。
当社も、極東ロシアとの間で、わずかではあるが、貿易取引を行っている。極東ロシアの中小ビジネスについて、特に、日本製品の輸出の現状と課題について、世界的な金融経済危機の影響も視野に入れながら、一民間企業の視点から見てみたい。
拡張を続けるFESCO
―船会社から複合一貫輸送会社へ―
上智大学 専任講師
安達祐子
はじめに
1.「新生FESCO」誕生
2.海運
3.鉄道輸送
4.港湾整備・ターミナル運営
5.収益構造
6.オーナーと経営者
7.FESCOグループの統治構造
おわりに
はじめに
沿海地方の大企業といえば、「フェスコ」として日本でも知られているロシアの大手海運会社「極東海運(Far Eastern Shipping Company, 略してFESCO)」を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。大企業ランキング「極東ロシアの大企業100」(売上高ベース、2007年版、ザラトイログ出版社)をみると、FESCOは、2年連続して沿海地方の第4位であった。さらに、ロシア全体を対象にしたランキングでは、『コメルサント・デニギ』誌の「最も急成長している企業トップ75」において、2008年、同社は第2位を占めた。1999年以降の8年間に企業の株価総額が340倍以上も増大したのがランクインした主な理由である。
実際、ソ連崩壊後の1992年に民営化されて以来、10年間赤字が続いていた同社であったが、近年は大きく成長を遂げている。背景には、ロシアの経済成長と貿易量の拡大、それに伴うロシア発着のコンテナ荷動きの拡大がある。同時に、新オーナーと新経営陣の効果的な発展戦略構築とその実行も指摘できる。その戦略とはFESCO従来の事業である海運に加え、港湾、鉄道を合わせた複合一貫輸送を手掛けようというものだ。ここ2、3年は、積極的な企業の合併・買収(M&A)により事業を多角化。同社をベースに「FESCO運輸グループ」を形成し、傘下の資産をまとめ、総合ロジスティクス(物流)会社への進展を目指して事業を展開させている。2008年中旬以降に深刻化した世界的な景気悪化の影響は避けられそうもないが、本レポートでは、同社がいかにしてロシア極東最大の船会社から、ロシア最大の複合一貫(インターモーダル)輸送会社へと発展しているか、近年の拡大戦略の動きを中心に概観する。
沿海地方と中国・北朝鮮関係
ロシアNIS経済研究所 研究員
齋藤大輔
はじめに
1.中国
2.北朝鮮
最後に
はじめに
沿海地方は全体で4,000qの境界線のおよそ30%(1,145q)を中国東北地域(黒竜江省と吉林省)と接している。以前より、この国境地域は頻繁に交流してきたため、沿海地方と中国との関係は国家間の関係よりも緊密である。国家の戦略的意図から中国脅威論がしばしばマスコミで報じられるものの、沿海地方では、中国との交流なしには日常生活は送れないほど中国は身近な存在となっている。
北朝鮮とは、地理的に近い(国境の長さは17.5q)ことや、沿海地方に2万人以上の朝鮮系ロシア人が居住していることなどから、緊密に交流してきた。1948年の北朝鮮建国後、ソ連と北朝鮮は1961年に友好・協力・相互援助条約を締結した(2000年に新しく友好・協力・相互援助条約を締結)。沿海地方はその地理的背景から両国の貿易・経済関係の架け橋となった。しかし、ソ連崩壊後、ロシア経済の悪化や、北朝鮮での天災などにより、沿海地方と北朝鮮の貿易経済関係は著しく縮小した。そこで本稿では、沿海地方と中国、北朝鮮との関係について報告する。
ビジネス最前線
ロシア極東ビジネスは共存共栄の精神で
(株)アールジェイ コミュニケーションズ
代表取締役社長 鈴木政義さん
はじめに
大陸貿易時代から鈴木さんには当会の様々な事業にご協力いただいています。日露貿易投資促進機構が発足する以前から、日本の中小企業向けにロシアビジネス情報を発信することの重要性を説き、現在はアールジェイコミュニケーションズ代表として日本とロシア極東を頻繁に往復。ロシア政府の輸出入規制が厳しくなり、従来の対ロシア極東貿易が岐路に立たされているいま、共存共栄をキーワードに新たなビジネスを模索中の鈴木さんに、沿海地方での日ロ協力の可能性についてお話をうかがいました。
ミニ・レポート
ウラジオでの受注を目指す北海道建設業界
北海道の中小建設業が極東ロシアにおける事業拡大を目指している。サハリン州の地元建設会社、トランスストロイ・サハリン(TSS)社との間で設立した合弁会社を通じて、ウラジオストクでの建設工事に参加。2009年度の売上高を約20億円と見込んでいる。
本リポートでは、上記合弁企業設立の経緯ならびに同企業の受注実績と今後の予定について、合弁設立前からコンサルタントとして関わってこられた泣鴻Vア開発コンサルティング代表・内山恒平氏のコメントを交えながら報告する。
綻びが見え始めたロシアの電力改革
―金融危機下の投資状況を中心に―
ロシアNIS経済研究所 次長
坂口泉
はじめに
1.UESの構造改革の経緯
2.電力分野の設備投資計画
3.原子力発電の発展計画とその現状
4.主な発電会社と設備投資計画
5.今後の電力料金の推移
おわりに
はじめに
ロシアの電力分野では、統一電力システム(以下、UES)の分割民営化を軸とする大幅な構造改革が実施され、2008年6月末をもってUESという会社は消滅した。
その構造改革の過程で、21の大規模発電会社(OGKおよびTGK)、FSK(連邦送電会社)、MRSK(地域間配電会社)等が誕生した。新たに誕生した大規模発電会社のうち、水力OGK(現ルスギドロ、以下ルスギドロと称す)を除く20社の大規模発電会社は完全民営化の対象となっており、IPO(新規株式公開)、SPO(再公募)、入札方式の私募、第三者割当増資等の形で順次、株式の売却が行われた。株式売却で獲得された資金は、当該の大規模発電会社、FSK(連邦送電会社)およびルスギドロ等の設備投資に投下されることになっており、すでに数多くのプロジェクトが動き始めている。
ただ、2008年秋以降の世界的金融危機の影響を受け、各大規模発電会社の資金繰りが悪化しており、設備投資プロジェクトの進捗に支障が生じるケースが目立ち始めている。また、株価の大幅下落の結果、大規模発電会社の民営化に支障が生じる事例も出ている。たとえば、OGK1の民営化の試みはことごとく失敗に終わり、今のところ同社は国営企業のままとなっている。
本稿では、まずUESの構造改革の経緯と概要を紹介した後に、世界的金融危機が及ぼした影響に留意しつつ、ロシアの電源立地計画の概要と問題点、主要な大規模発電会社の概要と現状等について紹介する。
ロシアにおける官民パートナーシップ
―メカニズムと実施状況―
ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所 主任研究員
V.シュヴィトコ
はじめに
1.歴史的背景
2.PPP構想の発端と経緯
3.PPPとみなされる制度、枠組み、予算措置
4.PPPの実施状況と今後の展望
はじめに
ロシアの経済省庁が公表する文書や高官らの発言では、近年、「官民パートナーシップの仕組み」という言葉がよく出ていることが目立つ。とりわけ、投資誘致政策が大きな話題になった2005年以降、投資を誘致・促進する政策ツール、またそのために制定する制度や機関などについて言及するたびごとに、「官民パートナーシップの仕組みを利用する」というフレーズが必ず聞かれた。
しかし、その中身として何を想定しているかと言うと、狭義と広義を分けて使う場合もあれば、語る人物や具体的ケースによって異なる場合もあるようである。また、それに相当する概念とされる、欧米で使う「private- public partnership」(PPP)と比べると、内容をより広く解釈する傾向があり、欧米では「パートナーシップ」とは呼んでいない、行政機関と民間企業の協調・協力関係をPPPとしてとらえるのが一般的となってきた。
上述のニュアンスを考慮しつつ、ロシア政府当局が口にする「官民パートナーシップの仕組み」の意味するところを整理して、体系的に論じることを試みるべく、今回のレポートを執筆することとなった。ロシアの政府担当者が念頭に置いているprivate-public partnershipの形態と中身の紹介、またその実施状況や、すでに挙がっている成果の分析を試みる。これらの分析が、多少なりとも読者の参考になれば幸いである。
クレムリン・ウォッチ
「ガス戦争」の損得計算
ロシアとウクライナの対立で欧州向けのガス供給が止まる事態がまた起りました。ロシア政府が11月の段階で早くも需要家各国に供給停止の警告を始めていたことからみると、ロシア側はあらかじめ供給停止長期化の腹を決めていたように思えます。(月出皎司)
エネルギー産業の話題
ロシア石油化学分野の最新の動き(その4)
本誌2008年8月号、9-10月号、2009年1月号のこのコーナーで、ロシアにおけるポリプロプレン、メタノール、PET、ポリ塩化ビニール、ポリカーボネート、ポリウレタンの生産および市場の状況をご紹介しました。今回は、それに続く石油化学シリーズ第4弾として、ポリエチレン生産部門の現状と、世界的金融危機勃発後のポリ塩化ビニール生産部門の状況について報告いたします。以下に示すデータは、すべて『石油ガス垂直統合』誌、2008.21-22号等によるものです。
自動車産業時評
ロシアの自動車関税引き上げ措置
広く報道されているように、ロシア政府は12月に新車・中古車の輸入関税を引き上げることを決定し、新関税が1月から施行されています。言うまでもなく、自動車は日本からロシアへの最重要輸出品であり、日本の輸出への影響が気になるところです。そこで今回は、ロシアの関税引き上げ問題に焦点を当てます。
ロシアビジネスQ&A
ロシアのファッション・トレンドを知る
冬が長く厳しいロシア。そのためファッションも重くて暗いというイメージがありますが、モスクワやサンクトペテルブルグを歩いてみると、ロシア人女性の華やかさに驚かされます。ロングコートの下にはミニスカートをはき、歩道に雪が積もっていてもピンヒールで歩いています。ヨーロッパの流行をいち早く取り入れ、最新のファッションを楽しんでいます。
今回はロシアのファッション・トレンドを知るにはどうしたらよいかという質問にモスクワ在住のマリーナ・ピリペンコさんに答えていただきました。