ロシアNIS調査月報
2011年4月号
特集◆NIS大企業総覧
特集◆NIS大企業総覧
Introduction
ロシア・NIS大企業の規模を比較する
データバンク
ウクライナ200大企業ランキング
データバンク
ベラルーシ100大企業ランキング
データバンク
カザフスタン100大企業ランキング
データバンク
ウズベキスタン100大企業ランキング
ミニレポート
ウクライナ主要財閥のプロフィール
ミニレポート
ベラルーシ企業訪問記
―ベルシナ・ヒムヴォロクノ・アムコドール
ミニレポート
カズムナイガス社の概要
ミニレポート
日本との協力に期待するウズベキスタン企業
エネルギー産業の話題
中国が資本参加するカザフの石油会社
自動車産業時評
GMウズベキスタンの概況
データバンク
キルギスにも大企業は存在する

調査レポート
2010年ロシア乗用車市場の総括
―回復基調の先に見えるもの
調査レポート
ロシア東部からの穀物輸出・輸送の諸問題
ビジネス最前線
ロシア中東欧ビジネス拠点の歴史的背景
データバンク
2010年のロシアの鉱工業生産
研究所長日誌
チャイコフスキーとトルストイの出会い
INSIDE RUSSIA
ガスプロムとペテルブルグの特殊な関係
ロシア極東羅針盤
日ロ漁業、波高し
ロシア首長ファイル
タタルスタン共和国ミンニハノフ大統領
ロジスティクス・ナビ
鉄道コンテナ輸送の巨人“TransContainer”
ロシアビジネスQ&A
◎ロシアの医療保険改革
ドーム・クニーギ
長場紘著
『トルコから見たユーラシア ―経済連携を中心に』
業界トピックス
2011年2月の動き
◆ライファイゼン銀行のロシア中東欧ネットワーク
通関統計
2011年1月の通関実績
日本の対ロシア月別輸出入通関実績
日本の対ロシア月別乗用車輸出動向


INTRODUCTON
ロシア・NIS大企業の規模を比較する

はじめに
 月報の今号では、「NIS大企業総覧」と題し、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、ウズベキスタンの大企業ランキングをお伝えするとともに、関連レポートを掲載する。小誌では本年1月号で「ロシア大企業の研究」と題する特集をお届けし、その一環として『エクスペルト』誌発表のロシア400大企業ランキングも掲載したので、今号はいわばその続編のNIS版ということになる。
 ここではまず手始めに、一連のランキング資料についての留意点を述べるとともに、比較対象として先のロシア400大企業ランキングも視野に入れながら、各国企業の「規模」について簡単に比較・考察を試み、総論に代えたい。(服部倫卓)


データバンク
ウクライナ200大企業ランキング

はじめに
 ウクライナの経済週刊誌『エクスペルト・ウクライナ』(2010年12月、No.47、特別号)に、ウクライナの200大企業ランキングが掲載されているので、以下ではそれを利用しつつ小誌独自の編集も加えて、ウクライナの大企業ランキングをお届けする。


データバンク
ベラルーシ100大企業ランキング

はじめに
 ベラルーシの週刊新聞『ベラルーシ人と市場』(2010年7月12日号、No.26)に、2009年の売上高にもとづくベラルーシの100大企業ランキングが掲載されているので、これを紹介する。業種およびURLは小誌で独自に調べて付記した。ただし、本資料は「公開型株式会社」(ロシア語で言うОАО)に限ったランキングであり、大きな限界を抱えていることを、最初にお断りしておく。


データバンク
カザフスタン100大企業ランキング

はじめに
 『エクスペルト・カザフスタン』誌の2010年11月15−22日号(No.45)に、2009年の売上高にもとづくカザフスタンの100大企業ランキングが掲載されているので(当編集部ではウェブ版を利用)、小誌独自の編集も加えたうえで、以下のとおり紹介する。なお、原典には企業の業種が記されているが、他の国との統一を図るため、小誌で若干アレンジしたところがある。インターネットURLは小誌独自で調べた。売上高は、原典では現地通貨で示されていたものを、米ドルに換算して示した。


データバンク
ウズベキスタン100大企業ランキング

はじめに
 ロシアの調査会社「AFSリサーチ」が先般、『ウズベキスタン200大企業ランキング』という資料を発表した。2009年の純売上高にもとづくウズベク企業ベスト200である。そこで、このコーナーでは、このAFSリサーチによる資料を抜粋のうえ再編集する形で、ウズベキスタン100大企業ランキングをお届けしたい。原典は200社だが、小誌ではさしあたり100社で充分であると判断し、100社の紹介にとどめる次第である。


ミニレポート
ウクライナ主要財閥のプロフィール

はじめに
 今号掲載の「ウクライナ200大企業ランキング」において、ウクライナの主要企業の基礎データを概観している。ただ、ウクライナ財界の特徴は、大手の新興財閥が群雄割拠していることだ。一つ一つの企業もさることながら、企業グループの規模と概要も把握しておくことが求められる。そこで本稿では、ウクライナの主要財閥の概要を整理することを試みる。(服部倫卓)


ミニレポート
ベラルーシ企業訪問記
―ベルシナ・ヒムヴォロクノ・アムコドール―

はじめに
 2011年2月、ベラルーシ共和国に赴き、いくつかの生産企業を訪問して回る機会があった。ベラルーシは、面積が日本の約半分で、人口が970万人の国。地図を広げると、ポーランドとロシアの間で欧州の中心に位置し、交通の要衝にある。資源がほとんどなく、原材料を輸入して加工し、製品を輸出して、経済が成り立っているという点で、日本とよく似ている。ベラルーシには、あらゆる生産セクターが揃っており、そこで働く労働者は優秀で勤勉である。数多くある生産企業のうち、今回は、大型タイヤのベルシナ、化学繊維のヒムヴォロクノ、道路建設機械のアムコドールの3社を訪問した。日本では、とかくロシアの企業ばかりがクローズアップされがちだが、ベラルーシにもこれぞという先端企業が多くある。そこで、本稿では、今回訪問した企業の概要を紹介し、各企業を見て回って感想をまとめる。(齋藤大輔)


ミニレポート
カズムナイガス社の概要

はじめに
 国営石油ガス会社「カズムナイガス」は、2002年2月付のカザフスタン共和国大統領令第811号「国家経済の石油ガスセクターにおける今後の国家の利益の維持のための措置について」に基づき、国営石油会社「カザフオイル」と国営石油ガス輸送会社「石油ガス輸送」を合併させるという形で設立された。設立当時の正式名称は国営会社「カズムナイガス」(ムナイはカザフスタン語で「石油」を意味する)であった。その後、2004年3月16日に社名変更が行われ、現在の正式名称は、非公開型株式会社「国営会社カズムナイガス」(以下、単にカズムナイガスと称する)となっている。現在、その株式の100%を国家福祉基金「サムルク・カズィナ」が保有している。カズムナイガスは持ち株会社で多数の企業を傘下に収めているが、本稿では、そのうち、石油ガス探鉱・生産、石油精製、石油ガス輸送の各部門の主要企業の概要を紹介する。(坂口泉)


ミニレポート
日本との協力に期待するウズベキスタン企業

はじめに
 去る2月8日、カリモフ・ウズベキスタン大統領の来日にあわせて、東京のホテルニューオータニにおいて第10回日本ウズベキスタン経済合同会議が開催された。同会議は2007年10月にタシケントで開催されて以来、3年ぶりであり、日本側からは日本ウズベキスタン経済委員会(当会が事務局を務める)のメンバーをはじめとする民間企業、政府機関を含め、関係者300人以上が参加した。同会議の前日には、ウズベキスタン日本経済委員会の委員長を務めるアジモフ・ウズベキスタン共和国第一副首相兼財務大臣が、サイドヴァ・同国対外経済関係・投資・貿易大臣とともに、海江田経済産業大臣と会談を行い、貿易投資拡大のための協力に関する文書に署名している。会議当日はカリモフ大統領が菅直人総理大臣との間で、両国間の貿易や投資を強化することなどを盛り込んだ共同声明に署名した。ウズベキスタン側の日本企業との協力に対する期待は高い。経済合同会議では合同会議議定書のほか、11に及ぶ両国の企業間、政府関係機関による合意文書や協力協定の署名式が行われた。ここでは当日、経済合同会議においてプレゼンテーションを行ったウズベキスタン企業・業界団体の概要を紹介する。(芳地隆之)


エネルギー産業の話題
中国が資本参加するカザフの石油会社

 カザフスタンの石油分野では中国企業が積極的なM&Aを展開しており、2010年の秋時点で15〜16のカザフの石油会社に資本参加していました。それらの石油会社の2010年上半期の石油生産量の合計は約1,140万tに達します。これは同期のカザフの石油生産量の3割近くに相当し、同国の石油分野における中国のプレゼンスの高さを物語っています。以上の状況を踏まえ、今回は、カザフで活動する主要な中国系の石油会社の概要をご紹介します。(坂口泉)


自動車産業時評
GMウズベキスタンの概況

 ウズベキスタンの乗用車メーカー「GMウズベキスタン」は、同国を代表する大企業の一つですが、残念ながら売上高を発表していないので、「ウズベキスタン大企業ランキング」には登場しません。他方、ロシアの乗用車市場という観点から見ても、GMウズベキスタンは無視できない存在です。同社の生産する大宇ブランドのモデルは、2010年にもロシアで前年比45%増の7万4,419台の販売を記録しました。というわけで今回はウズベキスタンの乗用車メーカー「GMウズベキスタン」をご紹介します。(坂口泉)


データバンク
キルギスにも大企業は存在する

 「AKIプレス」というキルギスの現地情報機関が、同国の大口納税企業200社ランキングという資料を発表したので、ここではそのうち上位20社の会社名と、業種、インターネットURLを、一覧表にして示すことにする。業種、URLは小誌で調べた。


2010年ロシア乗用車市場の総括
―回復基調の先に見えるもの―

ロシアNIS経済研究所
坂口泉

はじめに
 販売台数が急激に落ち込み、一時は存在感が薄くなっていたロシアの乗用車市場であるが、2010年春以降の予期せぬ急激な回復ぶりが評価され、再び注目を集めるようになっている。そして、そのことに歩調を合わせるような形で、ロシアの乗用車市場の今後に大きな影響を及ぼす可能性のある注目すべき動きが複数観察され始めている。以上の状況を踏まえ、本稿では、昨春以降の販売回復の背景にある事情、ロシアのWTO加盟の動き、および、新しい工業アセンブリー措置に関する共同指令をめぐる動き等に留意しつつ、2010年のロシアの乗用車市場を回顧する。


ロシア東部からの穀物輸出・輸送の諸問題

ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所
G.スホミロフ・Ye.ザオストロフスキフ

はじめに
 穀物供給国としてのロシアが脚光を浴びるなか、シベリアの穀物資源、そして輸出ルートとしての極東の港湾が注目されている。そこで、ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所のG.スホミロフ・Ye.ザオストロフスキフ両研究員に、当該テーマに関するご論考を寄せていただいた。(編集部)


INSIDE RUSSIA
ガスプロムとペテルブルグの特殊な関係

はじめに
 本誌2011年1月号の表紙にガスプロム社の写真を用い、それに関連して「権勢を誇示するガスプロム社屋」という小文を書いた。そのなかで、ガスプロムとサンクトペテルブルグ市が「オフタ・センター」という高層ビル・複合施設を建設しようとしており、これが市中心部に近く街の景観を破壊すると懸念されることから、文化人や市民から批判を浴びているということを紹介した。
 しかし、その小文を書き終えた直後、大きな動きがあった。ペテルブルグ市行政府が、当該地区での施設建設を撤回したのである。今回は、このオフタ・センターの騒動を中心に、ガスプロム社とサンクトペテルブルグ市の特殊な関係について、考察してみたい。(服部倫卓)


ロシア極東羅針盤
日ロ漁業、波高し

 昨年12月、ロシアの排他的経済水域(EEZ)でスケトウダラ漁をする北海道と東北の漁業会社4社がロシア国境警備局の係官に計5億円を提供していたとされる事件が発覚した。メドヴェージェフ大統領の北方領土訪問をきっかけに、日ロ関係が冷却化する中で起きた。ロシアのEEZ内で、日本漁船が操業する場合、両国が毎年の協議で漁獲量を決めている。各漁船はこの枠組みに基づき、割当量を受けてEEZ内で操業を行っている。双方の取り決めにより、ロシアのEEZ内で操業する漁船にはすべてではないが、ロシア国境警備局の係官がオブザーバーとして同乗し、決められた割当量を守っているかどうかなどをチェックする。しかし、決められた割当量では採算がとれない。漁獲超過を見逃してもらうために、係官に酒をごちそうしたり、現金を渡したりしていた。今回、これが問題となった。(齋藤大輔)


ロシア首長ファイル
タタルスタン共和国ミンニハノフ大統領

はじめに
 ロシアに進出する日本企業が年々増加する中、最近の傾向として、モスクワやサンクトペテルブルクだけでなく、さまざまな地域への進出が見られる。また、ロシアの側からも国の要人に同行して州知事など連邦構成主体の首長が来日し、首長自らが団長を務める地方の代表団が日本を訪れることもある。ロシアでは、2005年から住民の直接選挙による首長の公選制が廃止され、連邦大統領の任命で選出されるようになった。新制度導入後のプーチン政権期は現職の首長が任期を継続するケースが多かったが、メドヴェージェフ大統領の下では、長年当該地域を支配し、重鎮となった首長を含め、現職を交代させ、新しい人物を首長に就任させることが多くなり、顔ぶれが大きく変化している。
 そこで新連載「ロシア首長ファイル」では、毎月ロシアの地方リーダーをピックアップし、彼らの経歴や就任までのいきさつを紹介する。当該地方のデータや情勢についても紙幅の許す限りで取り上げていきたい。 第1回目は、約20年間共和国大統領の座を維持し、連邦中央に対する政治的な影響力を持っていたシャイミエフに代わってタタルスタン共和国の新大統領に就任したルスタム・ミンニハノフ氏を紹介する。(中馬瑞貴)


ロジスティクス・ナビ
鉄道コンテナ輸送の巨人“TransContainer”

 ロシア鉄道のコンテナ輸送部門が分離独立して2006年に設立されたTransContainer(トランスコンテナ)が、ユーラシア大陸の東西を縦横に結ぶ長距離輸送網の拡充に積極的に取り組んでいます。同社の沿革及び最近の活動の一端を、ご紹介いたします。(辻久子)


ロシアビジネスQ&A
ロシアの医療保険改革

 世界保健機関(WHO)によると、2010年のロシアの平均寿命(男女)は68才で、世界第117位となっています。主な死亡原因は、循環器系疾患56.4%、外的要因16.3%、悪性腫瘍13.4%となっています。乳幼児死亡率は1000人中9人(2010年)と先進諸国に比べて高く、今日のロシアにとって、保健・医療の向上が緊急の課題となっています。近年、ロシア政府は保健・医療改革を国家優先プロジェクトに掲げ、乳幼児の健康診断の強化や高度医療設備の導入を図っています。また、2011年1月から、新連邦法「ロシア連邦における強制医療保険について」が施行され、医療保険制度改革が進められています。今回はロシアの医療保険制度についての質問にお答えします。(山本靖子)