ロシアNIS調査月報
2014年4月号
特集◆イノベーションを
日ロの接点に
特集◆イノベーションを日ロの接点に
調査レポート
ロシアの近代化とイノベーション政策
―変遷と課題―
調査レポート
ロシアの炭素繊維複合材産業
―航空産業用先端材料の動向―
調査レポート
医療イノベーションを目指すロシア
ビジネス最前線
モスクワで進める鉄道駅重視型の都市開発
ミニ・レポート
ロシア宇宙産業の動向
ミニ・レポート
医療分野の日ロ協力を探る
―モスクワ・サンクトペテルブルグ訪問記―
ミニ・レポート
ロシア製造業における日本製工作機械の役割
ミニ・レポート
ロシアの大学の現状とその再編
INSIDE RUSSIA
ロシア経済特区の成果は挙がっているか

調査レポート
2013年ロシア乗用車市場の総括
―停滞長期化の兆候が見え始めた―
調査レポート
ウクライナのユーロマイダン革命
研究所長随想
ロシア駐箚初代特命全権公使榎本武揚の業績
モスクワ便り
極東開発と「シベリアの呪い」
ロシア極東羅針盤
動き出すガルシカ構想
ロシア首長ファイル
ベルゴロド州サフチェンコ知事
エネルギー産業の話題
ガス分野にも進出するロシア石油会社
ロジスティクス・ナビ
2013年のロシア港湾物流
ユーラシア産業紀行
エメラルドと核兵器
ウクライナ情報交差点
2013年のウクライナの港湾貨物実績
中央アジア情報バザール
中央アジアの対外貿易
日ロ異文化遭遇の日々
日ロのゴミ事情の違いから見えてくるもの
業界トピックス
2014年2月の動き
◆JTBコーポレートセールスの対ロ日本酒輸出
通関統計
2014年1月の通関実績


ロシアの近代化とイノベーション政策
―変遷と課題―

京都大学経済研究所 所長
溝端佐登史

はじめに
 ロシアに「近代化」の課題が提起されて10年ほどになる。石油・ガスに依存した経済成長の脆弱性と国際競争力の喪失がその背景にあり、プーチン→メドヴェジェフ→プーチンの政策論争の核、政策の基盤になった。しかし、近代化の手順と重要性は提示されても、実施はそれほど容易ではない。いかに革新的な発明・発見が国威に基づいて国家資金を集中して行ったとしても、それを国民経済に還元する市場経済が作動しなければ「創造的破壊」をもたらすイノベーションとはならない。言い換えれば、イノベーション、近代化の成功には資金だけが必要なのではなく、それを伝播する市場の高質化、すなわち制度面での改革と革新の担い手の形成、さらにはイノベーションを推し進める社会的な合意の形成を意味する社会的イノベーションの醸成もまた求められる。
 ロシア市場の質、イノベーションに対する国民の理解を高く評価することはできない。世界銀行のDoing Businessの格付けにかかわりなく、汚職の大きさ、ガバナンスにおける透明性の欠如など制度面の正常化は近代化政策と整合的ではない。そのうえに、研究開発を担う人的資源が豊富でかつ高い教育水準にあるとは必ずしも言えない。むしろ、ソ連崩壊のショックはなお作動している。GDPが転換前の水準を凌駕したとしても、研究開発、人的資源はそうした回復を達成しているとは言えない。
 1990年代の厳しい転換ショックを経験したロシアにおいて、すべてが停滞したといっても過言ではないだろう。大学、研究機関、そして技術、スキルといった長期の経済成長に不可欠の要素も然りである。ソ連時代にすでに先進資本主義経済との間で技術格差があったとすれば、その格差は一段と開いたのである。研究開発への資金提供は慢性的に不足し、その活動は低下し、組織そのものもソ連時代のそれを受け継いだ硬直性をぬぐえないものであった。いわゆる、頭脳流出は増加し、1989〜2004年にロシアから2万5,000人の科学者が流出し、さらに3万人が一時的契約で外国にあふれ出ていた。こうした流出は単に研究開発を支える人材の縮小を意味するだけではなく、研究者層の世代構成に歪みをもたらす。新たな若年層と高齢層は存在しても、中心的な役割を果たす中堅層は薄く、2008年にいざ近代化が必要となった段階で、この中堅層の薄さと高齢化はたちまちイノベーションの活力低下に導く。
 本稿は、政策的な変遷に依拠しながら、ロシアにおける近代化、イノベーション政策の内容を検討し、とくにイノベーションがどのように実施がされているのか、どのような問題に直面しているのかを考察する。


ロシアの炭素繊維複合材産業
―航空産業用先端材料の動向―

渡邊光太郎

はじめに
 炭素繊維とは、炭素(カーボン)の繊維で、見た目は黒い糸である。この炭素繊維は、軽くて強いという性質を持つため、構造用材料としては極めて優れた性質を持つ。特に、軽さの要求される航空機では、今や必要不可欠の材料と言える。炭素繊維は日本が強い分野で、航空機等に使われる高強度炭素繊維(PAN系炭素繊維)では、日本企業3社の世界シェアは7割を超える(複合材分野全体ではそこまで強いわけではない)。機体のほとんどが炭素繊維複合材から成るボーイングの新型旅客機787の主要材料に、東レの炭素繊維が採用されていることは、日本の技術の底力を示すものとして、大きく話題になった。一方、この分野のロシアの存在感は、旧ソ連圏外ではあまり大きくない。とはいえ、1980年代以降に開発されたロシアの航空機には、炭素繊維が使用されており、ソ連時代から炭素繊維産業が育っていた。ロシアの炭素繊維産業は、この分野が大きく発展する前にソ連が崩壊してしまい、国際的に認知されている存在にはなっていないが、航空産業に必須のハイテク分野ということで、周辺分野も含め積極的な活動が始まっている。航空機用途を中心に、考査を行う。


医療イノベーションを目指すロシア

ロシアNIS経済研究所 主任
山本靖子

はじめに
 ロシアのイノベーション政策において、医療は優先分野の一つとして掲げられている。本稿では、まず、その背景として医療事情や政策、製薬、医療機器産業の現状について概説するとともに、ロシアにおける医療分野のイノベーション推進の枠組みや取り組みをご紹介する。


ビジネス最前線
モスクワで進める鉄道駅重視型の都市開発

鞄建設計
常務・海外プロジェクト担当 中分毅さん
クライアントリレーション部門 CR部CR推進役 渡辺賢司さん

はじめに
 2012年11月、ロシアにおける都市・環境・インフラ等に関する諸課題につき日ロの官民が話し合う場として、「日露都市環境問題作業部会」の創設が日ロ政府間で合意されました。翌年4月にはモスクワで第1回総括会合が開催。同月末の安倍首相の訪ロに合せて行われた「日露フォーラム」では、テーマのひとつとして「先進機能・環境都市づくり」が取り上げられました。都市計画、とりわけスマートシティはロシアにおいて注目を集めている分野であり、上記の作業部会の推進母体として、2013年10月に立ち上げられた日露都市環境協議会は、日本の産学官の組織がロシアの都市環境問題の対策を話し合い、日本の技術力を生かせる案件形成を提案することを目的としています。今号では、同協議会の副座長を務める日建設計の中分さん、そして同社の渡辺さんより、日建設計のロシア事業と産学官のまとめ役としてのご活動についてお話を伺いました。(芳地隆之)


ミニ・レポート
ロシア宇宙産業の動向

はじめに
 1961年4月12日、ソ連時代に人類史上初となる有人宇宙飛行を達成してから今日に至るまで、ロシアは宇宙産業において主導的な役割を果たしている。加えて、資源に依存したロシアの経済構造を変革していくという方針を掲げるプーチン政権も同産業を中核的な産業と位置付け、大きな期待を寄せているなど、今後も成長を続けていくことが予想される産業となっている。
 その一方、日本とロシアの宇宙分野における協力関係は、国際宇宙基地協力計画協定が存在するものの、日ロ二国間という意味においては、1993年に締結された日露宇宙協力協定(1998年と2003年にそれぞれ5年間延長されたが、2008年に有効期間は終了)を最後に結ばれていない。
 そこで本稿では、今日のロシア宇宙産業の状況や同産業の抱える課題などを通して、日ロの接点としてのロシア宇宙産業の可能性について見ていく。(鳴沢政志)


ミニ・レポート
医療分野の日ロ協力を探る
―モスクワ・サンクトペテルブルグ訪問記―

はじめに
 医療分野(医療サービス・製薬・医療機器)は、日本政府の対新興国市場への戦略的取り組みの重点分野となっている。また、ロシアにおいても近代化・イノベーション政策の重要な地位を占めている。医療分野は日ロ協力の新しい柱として期待されている。2013年4月には、東京で日ロ両国政府の主催により、「日露医療フォーラム:医療分野における官民のパートナーシップの展望」が開催され、また同月、安倍晋三首相がロシアを訪問した際には、プーチン大統領との共同声明において、医療分野における互恵的協力の拡大が言及された。
 そこで、当会は、2013年11月、日露イノベーション推進分野事業化促進事業の一環として、医療分野における日ロ協力を推進することを目的として、日本の医療関係者の参加を得て、モスクワとサンクトペテルブルグにミッションを派遣し、医療機関を中心に訪問した。このミッションには、一般社団法人Medical Excellence JAPAN(MEJ)の山田紀子・業務執行理事、羽澄典宏・同事業推進担当部長、中川敏也・日本製薬工業協会欧米市場グループ長・新興国グループ長のほか、医療機器メーカー、医療機器商社のロシア担当が参加した。
 本稿では、ミッションで訪れたモスクワおよびサンクトペテルブルグの医療現場の現状と医療分野における日ロ協力の可能性についてレポートする。(原真澄)


ミニ・レポート
ロシア製造業における日本製工作機械の役割

はじめに
 工作機械とは「機械をつくるための機械」である。すなわちモノづくりを支える基礎、ロシアの製造業の復活と不可分の産業分野だ。日本製工作機械は、品質はいいものの、とても高価であり、はたしてそれを購入し、高度な機能を駆使して製造する部品を組み込むような商品の需要がロシアにあるかといえば、首を傾げざるをえなかった。ソ連解体後のロシアでは。「自分たちでつくるよりも、欧州などから商品を輸入した方が手っ取り早い」という発想が強くなり、製造の現場も先細りになってしまったからである。
 しかしながら、プーチン大統領はエネルギー資源輸出に依存する国内の産業構造を転換すべく、とくに民間分野の製造業の育成を強調している。2012年4月には「2020年までの期間における航空活動分野におけるロシア連邦国家政策の基礎」を承認する大統領令に署名。航空機産業に対するロシア政府の支援姿勢を明確にした。また、ロシア企業のなかには、金融危機の経験を機に、モノづくりに真剣に取り組もうという姿勢が芽生え、プラントや設備のリハビリを始めるメーカーもある。すなわち日本の得意分野であるモノづくり、工作機械のプレゼンスを強化するチャンスが生まれつつあるということである。そこで本リポートでは、ロシアにおける工作機械分野の現状と課題、ならびに日系メーカーのロシア進出動向と可能性について報告する。(芳地隆之)


ミニ・レポート
ロシアの大学の現状とその再編

はじめに
 ロシアでは、高等教育の水準の低下が著しく、入学試験改革など様々な試みが行われている。海外では、ロシアの学位に対する不信がみられ、国内の教育事情がよくないために、富裕層、優秀な学生が海外で学ぶ傾向があらわれている。水準の低下が如実に表れているのは、世界の大学ランキングでのロシアの大学の地位の低下である。
 Times Higher Educationのサイトで発表されている世界の大学ランキングによると、ロシアの大学で400位内にランクインしているのは、モスクワ国立大学のみである。しかも、そのランクは226〜250位とかなり低いところにある。
 ロシアは、この現状を客観的に認識し、プーチン大統領の就任時の大統領令(2012年5月7日付、No.599)には、2020年までに世界ランキング100位以内に、最低5つの大学をランクインさせるという内容が含まれている。(高橋浩)


INSIDE RUSSIA
ロシア経済特区の成果は挙がっているか

はじめに
 ロシアには、経済イノベーション化を目標とした政策ツールがいくつかあるが、経済特区はその中でも比較的歴史が長く、代表的なものと言っていい。特区の整備には、少なからぬ公的資金が投入されてきた。ではロシアの特区は、実際にどれだけの成果を挙げているかというのが、ここでの関心である。(服部倫卓)


2013年ロシア乗用車市場の総括
―停滞長期化の兆候が見え始めた―

ロシアNIS経済研究所 部長
坂口泉

はじめに
 ロシアの新車販売台数は2012年に約294万台(小型商用車を含む数字)という過去最高を記録したが、2013年は3月以降不振が続き、前年を5.5%下回る278万台にとどまった。ロシア経済の命運を握るといっても過言ではない油価が高値で推移する中での新車販売の低迷は、業界関係者を当惑させている。多くのメーカーは、「ロシアの乗用車の普及率は人口1,000人当たり300台未満とまだ低く、中長期的に見た場合には大きく伸びる余地が残っている」との強気の見方を崩していないが、2014年2月時点では、状況が急激に改善される気配は見受けられない。2013年12月こそ、数カ月ぶりに新車販売台数が前年同月の数字を上回ったが、それは年末大売出しというカンフル剤が生んだ一時的効果にすぎず、2014年1月の販売台数は再び前年同月を下回った。2013年末で自動車ローンに対する国からの補助が打ち切られたこと、2014年1月1日よりロシア国内で生産される自動車もリサイクル税の対象になったこと、さらには、2014年1月下旬ごろから観察されはじめたルーブル安傾向などを勘案すると、2014年も販売が低迷する可能性が高い。
 ただ、日本メーカーに限定すれば、状況はそれほど悪くなく、トヨタ、三菱自動車、ホンダ、スバルの4社の2013年の販売台数は前年を上回った。日産も2013年こそ販売がやや不振であったが、現地生産を強化しており、今後、大幅に販売台数が伸びる可能性がある。市場が沈滞ムードにつつまれるなか、日本メーカーは健闘しているといえる。
 本稿では、市場を覆う閉そく感の背景にある事情、日本メーカーの健闘ぶりに留意しながら、2013年のロシアの乗用車市場を総括する。


ウクライナのユーロマイダン革命

ロシアNIS経済研究所 次長
服部倫卓

はじめに
 ウクライナで、V.ヤヌコーヴィチ大統領/地域党の政権が、崩壊する事態となった。その直接のきっかけとなったのは、ヤヌコーヴィチ政権が欧州連合(EU)との連合協定締結に向けた交渉を進めながら、2013年11月のサミットの直前になって、それを棚上げしてしまったことであった。その背景には、デフォルトも懸念される経済難があり、政権としてはEU統合という未来の夢はひとまず先送りして、目先の「冬を越す」ために、やむをえずロシアとの接近を図った格好だった。だが、国民はその決定だけでなく、ヤヌコーヴィチ政権自体にノーを突き付けたわけだ。
 筆者はすでに、ウクライナが直面していた東西選択の問題を経済的な観点から分析したレポート、また同国の最新の経済状況をデータ面から吟味したレポートを発表している。本稿では、それらの問題は割愛して、もっぱら今般のウクライナ政変に話題を絞って、それを筆者なりに総括してみたい。


モスクワ便り
極東開発と「シベリアの呪い」

はじめに
 2月20日、ガルシカ極東発展大臣がモスクワ在住の日本のビジネスマンを相手にプレゼンテーションを行い、極東開発の新方針について熱く語った。昨年9月、民間出身のガルシカ氏を新大臣に迎えて以降、極東発展省では、幹部を若い世代に一新し、これまでとは異なる新しいアプローチで、極東開発に取り組もうとしている。
 極東・シベリア開発は、これまで常にソ連・ロシアの為政者の頭を悩ませ続けてきた難問であった。米国のエコノミストは、極東・シベリアの開発を阻む、この難問を「シベリアの呪い」と名付けた。極東発展省の新指導部が、はたしてこの呪いを克服できるのか、大いに注目されるところである。(中居孝文)


ロシア極東羅針盤
動き出すガルシカ構想

 極東・東シベリアと地域を限って大胆な優遇税制と規制緩和などを行う新しい特区(先進経済発展区)構想は、プーチン政権の新たな極東開発の柱として、内外の注目を集めつつある。政府は、特区選びの基準や場所を選定したり優遇メニューの中身を決定したりする具体的な制度設計に入っている。新しい特区ではどんな税制支援と規制緩和策が盛り込まれ、進出企業にどんなメリットがあるのか、極東開発の新しい体制はどうなるのか、これまでに明らかになったことや現地での関係者へのヒアリングをもとにまとめてみた。(齋藤大輔)


ロシア首長ファイル
ベルゴロド州サフチェンコ知事

はじめに
 今月はロシアの隣国ウクライナと540qもの国境を接するベルゴロド州を取り上げる。日本ではあまり名前を聞かない州であるが、『ロシアNIS調査月報』2014年2月号で掲載した2012〜2013年版ロシア地域別投資環境ランキングによると、「ロシア地域の投資リスクの低さ」において第2位、「ロシア地域の投資メリットの高さ」で第18位を占める。投資リスクの低さと言う点では特に社会(第1位)および経済(第2位)面で高い評価を得ている。
 ベルゴロド州の投資リスクが低い理由の1つとして、安定した政権を維持しているという点を挙げることができるだろう。ベルゴロド州では、現職のエヴゲニー・サフチェンコ知事が20年以上にわたって同州の知事を務めている。言うまでもなく、サフチェンコは、現職首長の中で最も在任歴が長い知事なのである。(中馬瑞貴)


エネルギー産業の話題
ガス分野にも進出するロシア石油会社

 ロシアの石油会社は年間700億立米以上の随伴ガスを生産していますが、随伴ガスの有効利用率を95%にまで上昇させる義務を国から課せられたことなどが契機となり、各社のガスビジネスへの関心が高まりつつあります。本稿では、ガス分野への進出に最も積極的な姿勢を示しているロスネフチ、ルクオイル、スルグトネフチェガスの3社の動向を紹介します。(坂口泉)


ロジスティクス・ナビ
2013年のロシア港湾物流

 2013年のロシア経済は減速し、対外貿易もほぼ横這いでした。物流についても全体的に低成長でしたが、水域、港湾、品目により濃淡があったのも事実です。本稿では港湾物流における動向を紹介します。(辻久子)


ユーラシア産業紀行
エメラルドと核兵器

はじめに
 いきなり、とんでもないタイトルで恐縮である。エメラルドと核兵器がどのように結びつくのか、わからない方がほとんどであると思う。しかし、誤解を恐れない言い方をすると、ロシアはエメラルドから核兵器を作っていたのである。核兵器には、プルトニウムやウランといった元素の他に、ベリリウムという元素が必要であるが、ベリリウムの鉱石とエメラルドは鉱物の種類としては同じ緑柱石であり、ロシア最大のベリリウム鉱床は、エメラルドの鉱床でもあるのだ。(渡邊光太郎)


ウクライナ情報交差点
2013年のウクライナの港湾貨物実績

はじめに
 このほど筆者は、2013年のウクライナの港湾(海港)における取扱貨物量を、比較的詳しく記したデータを入手したので、今月の本コーナーではそのさわりをご紹介することにしたい。(服部倫卓)


中央アジア情報バザール
中央アジアの対外貿易

はじめに
 ここ数年、中央アジアへの中国の進出、影響力の拡大が目覚ましいとあちこちで言われる。かつての宗主国であったロシアの影響力や存在感を脅かすほどの勢いで中国のプレゼンスが強くなっているという見方も広がっている。しかし、このような主張は漠然としており、一体どのように中央アジアと中国との関係が深化しているのか、本当にロシア以上のプレゼンスが出てきているのかどうか、必ずしも明確ではない。
 そこで、先月から始まった新連載「中央アジア情報バザール」の中で、数回に分けて中央アジアと中国との関係を様々なデータで見ていきたいと思う。まず今回は、中央アジア諸国の貿易データから中国および他の主要地域との関係を紹介する。(中馬瑞貴)