ロシアNIS調査月報
2014年6月号
特集◆期待と不安が交錯する
NIS経済
特集◆期待と不安が交錯するNIS経済
調査レポート
2013年のNIS諸国の経済トレンド
調査レポート
2013年のNIS主要国の乗用車市場
イベント・レポート
第8回日本アゼルバイジャン経済合同会議
ビジネス最前線
ユーラシアを股にかけ物流網を構築
データバンク
2012年のNIS諸国の貿易統計
データバンク
2013年の日本の対NIS諸国貿易統計
データバンク
2013年のNIS諸国の経済統計
ユーラシア産業紀行
航空機エンジンの街ザポリージャ
ウクライナ情報交差点
政変後のウクライナ・オリガルヒ
エネルギー産業の話題
ベラルーシ・ウズベキスタン・トルクメニスタンの
石油ガス

研究所長随想
足並みがそろわないロシア制裁
INSIDE RUSSIA
米国の対ロシア制裁対象リスト
モスクワ便り
ロシアからの観光客が伸び悩む理由
ロシア極東羅針盤
極東開発のジレンマ、人材不足
ロシア首長ファイル
ムルマンスク州コフトゥン知事
ロジスティクス・ナビ
ロシア極東港湾の動向
日ロ異文化遭遇の日々
ロシア人はとにかく迷信深い
業界トピックス
2014年4月の動き
◆WINPROの小型風力発電機がロシアへ
通関統計
2014年1〜3月の通関実績


2013年のNIS諸国の経済トレンド

ロシアNIS経済研究所

はじめに
 本誌では毎年6月号において、前年のNIS諸国の経済実績を踏まえつつ、各国の最新の経済動向について論評するという企画をお届けしている。本年も2013年のデータがほぼ出揃ったので(データバンク「2013年のNIS諸国の経済統計」参照)、早速それを試みたい(『ロシアNIS経済速報』2014年4月15日および4月25日号より再録)。
 執筆は当会ロシアNIS経済研究所のスタッフによるものであるが、ロシアについては北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの田畑伸一郎教授に特にご寄稿いただいた。


2013年のNIS主要国の乗用車市場

ロシアNIS経済研究所 部長
坂口泉

はじめに
 本稿では、NIS諸国のうちウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、ウズベキスタンの4カ国を取り上げる。ウクライナ市場に関しては特別関税とリサイクル税をめぐる動きに着目し、ベラルーシ市場に関しては、リサイクル税をめぐる状況に注目し、急激な成長を続けるカザフスタン市場に関しては国内自動車産業の活発な動きに留意し、ウズベキスタン市場に関しては同国唯一の乗用車メーカーであるGMウズベキスタンの現状や政府の国内自動車産業保護政策に注目しながら、それぞれの乗用車市場の現状と今後の見通しを紹介したい。


イベント・レポート
第8回日本アゼルバイジャン経済合同会議

はじめに
 2014年2月26日、東京の如水会館において、日本アゼルバイジャン経済委員会およびアゼルバイジャン共和国日本経済協力国家委員会主催の下で「第8回日本アゼルバイジャン経済合同会議」が開催された。
 今回の第8回合同会議はシャリホフ・アゼルバイジャン共和国副首相兼国家委員会議長を団長とする同国政府関係者17名(在日アゼルバイジャン大使館含む)から成る代表団が来日し、アゼルバイジャンの経済情勢、経済政策の方向性、様々な分野における日本とアゼルバイジャンの協力の現状と展望等についての報告が行われた。日本側は日本アゼルバイジャン経済委員会会員企業の他、メーカーや銀行、政府および政府関係機関より、総勢約90名が参加した。
 以下では、第8回合同会議の概要を紹介する。(中馬瑞貴)


ビジネス最前線
ユーラシアを股にかけ物流網を構築

日本郵船梶@自動車輸送本部 自動車物流グループ
グループ長 曽我貴也さん
グループ長代理 鈴木康修さん

はじめに
 内陸国であるカザフスタンにどうやって日系自動車メーカーの完成車を入れるか。さらに広大な国土をもつ同国内でいかに物流ネットワークを広げていくか。大きな課題をもって日本郵船はカザフスタンの物流会社を子会社化し、現地の完成車専用ターミナルのオペレーションを開始しました。現在、アジアで生産される完成車の多くはインド洋、地中海を抜けて北上し、サンクトペテルブルグ港やコトカ港で降ろされ、そこから鉄道で中央アジアへと運ばれています。かかる輸送日数は約80日。それを短縮するために検討しているのが、中国経由でカザフスタンへ運ぶチャイナランドブリッジ構想であり、ユーラシア大陸を西のロシアから、東の中国から見ながら進める、スケールの大きな日本郵船の事業について、曽我さん、鈴木さんからお話を伺いました。(芳地隆之)


データバンク
2012年のNIS諸国の貿易統計

はじめに
 小誌では、NIS諸国の基礎的な経済データの紹介に努めており、その一環として毎年1回、NIS諸国の貿易データをまとめて掲載することにしている。今回も、CIS統計委員会編の『2012年のCIS諸国の外国貿易』にもとづき、当該のデータを紹介する。


データバンク
2013年の日本の対NIS諸国貿易統計

はじめに
 恒例により、日本財務省発表の貿易統計にもとづいて、2013年の日本とNIS諸国との貿易に関し、データをとりまとめて紹介する。日ロ貿易については、すでに5月号に掲載済みである。


ユーラシア産業紀行
航空機エンジンの街ザポリージャ

はじめに
 前回、世界最大の航空機がウクライナ製であること、そして、エンジンもウクライナ製であることを紹介した。エンジンを製造するモートル・シーチ社は、過去に優れた実績があるというだけでなく現在も高い利益率を上げ、同国有数の優良企業として知られる。航空エンジンは機体ほど目立たないものの、機械としてのクリティカルさと難易度は機体を越えるとも言われる。今回は、ウクライナで健闘してきたモートル・シーチ社や同社の所在地のザポリージャ(ロシア語ではザポロジエ)について紹介する。(渡邊光太郎)


ウクライナ情報交差点
政変後のウクライナ・オリガルヒ

はじめに
 ウクライナでは元々、経済が新興財閥主導であり、それらを率いるオリガルヒの存在感が大きかった。今般の政変で彼らがいかに立ち回り、そして今後の経済再建でどのような役割を果たすかが注目されるところなので、今回はオリガルヒに焦点をあてる。(服部倫卓)


エネルギー産業の話題
ベラルーシ・ウズベキスタン・トルクメニスタンの石油ガス

 ロシアの石油ガス専門誌『石油と資本』と『石油ガス垂直統合』の各号に掲載された記事を参考に、ベラルーシ、ウズベキスタン、トルクメニスタンの石油ガス分野の現状についてご紹介します。(坂口泉)


INSIDE RUSSIA
米国の対ロシア制裁対象リスト

 ロシアが3月にウクライナ領のクリミアを編入したことを受け、主要先進国はロシアに対する経済制裁を導入している。特に、これまでのところ米国の強硬な対応が目立っている。対ロシア制裁は、当然のことながら、ロシア経済および対ロシアビジネスの行方に一定の影響を及ぼすと考えられる。そこで今回の本コーナーでは、事実関係を整理する作業として、米国の対ロシア制裁の対象となっている個人・法人を一覧表にまとめて示すこととする。(服部倫卓)


モスクワ便り
ロシアからの観光客が伸び悩む理由

はじめに
 本稿執筆時点では、日本もロシアもゴールデンウィークで旅行シーズンだ。だが、ロシアから日本へ渡航する観光客の数は伸び悩んでいる。日本への関心は、それなりに高いはずなのに、なぜ日本を訪れるロシア人が少ないのか、その理由について今回は少し考えてみようと思う。(中居孝文)


ロシア極東羅針盤
極東開発のジレンマ、人材不足

 人口減少以上に人材不足が深刻ではないか。ロシア極東をウォッチしていて、最近そんなことを思う。
 いまに始まったことではないが、プーチン政権が極東シフトを加速させるなか、人材不足が人口減少以上に経済発展の足かせとなるように思えてならない。筆者の杞憂であればいいのだが。(齋藤大輔)


ロシア首長ファイル
ムルマンスク州コフトゥン知事

はじめに
 今月は、マトヴィエンコ元サンクトペテルブルク市長(現:上院議長)、コマロヴァ・ハンティ・マンシ自治管区知事に続くロシアで3人目の女性知事、マリーナ・コフトゥン・ムルマンスク州知事を紹介する。(中馬瑞貴)


ロジスティクス・ナビ
ロシア極東港湾の動向

 アジア太平洋地域との経済交流の活性化を視野に、極東港湾はロシアの東の玄関口として存在感を増しています。港湾統計「2013年のロシア、バルト諸国、ウクライナの海港を通じた貨物取扱状況」を読み解き、加えて極東港湾整備計画の動向も紹介します。(辻久子)