ロシアNIS調査月報2015年8月号特集◆ビジネス視点から見た |
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特集◆ビジネス視点から見たロシア社会 |
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調査レポート |
ロシアの人口動態:市場構造と労働供給の今後 |
調査レポート |
ロシアの企業と文化的制度的環境 ―労働市場・組織文化・人事労務・労働組合― |
調査レポート |
ロシア住生活に見るビジネスチャンス ―日本は「黄金の手」になれるか?― |
ビジネス最前線 |
ミキハウスブランド愛がロシア進出の原動力 |
ミニ・レポート |
ロシアの禁煙政策最前線 |
ミニ・レポート |
ロシア・ビール市場の予期せぬ不振 |
シネマ見比べ隊!! |
珍道中ムービーに見るロシア社会の特質 |
自動車産業時評 |
なぜロシアでは高級車が売れるのか |
デジタルITラボ |
拡大を見せるロシアのスマートフォン市場 |
蹴球よもやま話 |
サッカーへの関心が急低下するロシア |
データバンク |
ロシア国民が好きなブランド |
調査レポート |
ルーブル安で息を吹き返したロシア石炭産業 |
キーパーソンに訊く |
ジョージアとロシアの人々の間に壁はない |
報告 |
ロシアNIS貿易会平成27年度定時総会報告 |
研究所長随想 |
ヴォリスキー氏の初対面会話術 |
INSIDE RUSSIA |
財政難に陥るロシアの諸地域 |
モスクワ便り |
ペテルブルグ経済フォーラム印象記 |
ロシア極東羅針盤 |
中ロ国境を鉄道で渡る |
地域クローズアップ |
資源の海に囲まれた知性の島トムスク州 |
エネルギー産業の話題 |
ロシアのLNGプロジェクトの最新動向 |
ロジスティクス・ナビ |
再生を目指すロシア旅客鉄道 |
ウクライナ情報交差点 |
ウクライナ肥料産業は生き残れるか |
中央アジア情報バザール |
バクーで開催された第1回欧州五輪 |
業界トピックス |
2015年6月の動き ◆日ロ独の共同研究施設がウラジオに完成 |
通関統計 |
2015年1〜5月の輸出入通関実績 |
記者の「取写選択」 |
モスクワのグリーンハウス |
ロシアの人口動態:市場構造と労働供給の今後
一橋大学経済研究所 教授
雲和広
ロシアの人口動態が注目を集めるようになって久しい。体制転換が本格的に始まった1992年より、死亡率が急激に上昇するとともに出生率の劇的な低下が見られ、20年間以上にわたり、ロシアでは死亡数が出生数を上回る人口の自然減が続いてきたことは広く知られる。1992年から2012年の21年間で自然減少(死亡数から出生数を差し引いた数字)は1,338万人に達した。ソ連解体後のロシアはかつてのソ連構成諸国からの移民受入先となっていた(第4節に後述)ため総人口の減少は1992年初の1億4,870万人から2014年初の1億4,347万人へと500万人強に抑えられているが、1992年初総人口の10%弱に該当する自然減が20年余りで生じたという事実に変わりはない。図1で、1992年には死亡数が出生数を上回ったことによってグラフが交差している。これは「ロシアの十字架」と称され、その行く末を危惧する論説が多数現れた。
さてしかしながら2013年、ソ連崩壊後初めてロシアの自然増加率が正値となった(出生数が死亡数を上回った)。このことは、果たしてロシアにおける人口危機の終焉を意味するのであろうか。ロシアの人口危機を生じせしめていた要因は解消されたということなのであろうか。こうしたことを考察するには、まずは崩壊後のロシアの人口危機が何故生じたのか、ということを見る必要がある。出生率の低下の背景は何だったのか。死亡率はなぜ上昇したのか。そしてその状況に対して、ロシア政府はどのような対策を打ち出したのか。2000年以降より見られる人口動態の改善はどのように説明し得るのか。本稿の目的は、こうした点を検討することである。
人口構造は経済活動の基盤となる。労働供給や市場構造に関わる将来的な展望と直結する要因であり、そのような観点から接近を図ってみたい。
ロシアの企業と文化的制度的環境
―労働市場・組織文化・人事労務・労働組合―
富山大学極東地域研究センター 教授
堀江典生
対露ビジネスに取り組んでおられる方々が、ロシアにおいて直面する問題は様々であろう。私が勤務する大学の卒業論文指導で、本誌『ロシアNIS調査月報』に所収されているインタビュー記事「ビジネス最前線」を2005年から2013年まで9年分、合計123記事を対象として、どのような課題についてロシア・ビジネスの最前線に立つリーダーたちが語っているかを分析してもらったことがある。我が国の対露ビジネスの諸課題に関するビジネスリーダーインタビュー分析である。記事のなかで言及されている対露ビジネス課題を5つの課題、@市場変化・コスト・パートナーに関する課題、A労働・人材に関する課題、B資源・インフラ・情報に関する課題、C法律・制度に関する課題、D政治・慣習に関する課題、に分け、時系列による課題の変化、産業部門別の特色などを明らかにしようとした、なかなかの力作である。その分析によれば、この9年間、常に労働・人材に関する対露ビジネス課題は、必ずしも他の課題に比べ多いとはいえないものの、「ビジネス最前線」においてコンスタントに指摘されており、企業が必要とするビジネス・スキルをもつ人材確保の難しさ、よりよい待遇を求めて優秀な人材が流出するという人材の流動性の高さ、経済成長に伴う賃金上昇、などが主な課題として上げられているという。人事労務の関わるロシアの諸課題に悩まされている日本企業も多いことと想像できる。
こうした人事労務に関わる全ての問題を本稿で考察対象とすることはできないが、最近の労働市場の現状、ロシア企業文化・従業員の行動様式、人事労務管理の諸課題、および、現地法人への日本人スタッフの派遣の問題など、テーマごとに研究動向を踏まえて論じていきたい。さらに、あまり我が国の研究では紹介が少ないロシアの労働組合について、それがどのように組織され、企業とどのような関係があるかを、独自のデータをもとにしながら論じよう。本稿は、いわば、対露ビジネスに取り組むみなさんの文化的制度的環境をテーマごとに考えることを趣旨としている。それらが、みなさんの事業においてどのような影響があるかを考えて頂くきっかけになれば幸いである。本稿全体を締めくくる結論は用意していない。それぞれのテーマで、対露ビジネスに取り組むみなさんの実感と比較していただきたい。
ロシア住生活に見るビジネスチャンス
―日本は「黄金の手」になれるか?―
新潟大学経済学部 准教授
道上真有
本稿ではロシアの大都市の集合住宅(マンション)における住生活を中心に、主に住民の消費者の視点から日本のビジネスチャンスについて考えてみたい。すでに日ロ間では2013年に設立された日ロ都市環境協議会を筆頭に、建設資材・設備機器、廃棄物処理、住宅(建物省エネ化を含む)、エコシティ、下水道管路更生、ロシアにおけるビジネス環境の改善の6項目について協力関係が進展しつつある。特にスマートシティ技術の積極的な導入により、エネルギー効率を高め環境にやさしい都市開発に対して、日本をはじめとする外資からロシアへの技術協力に強い関心が注がれている。
ビジネス最前線
ミキハウスブランド愛がロシア進出の原動力
三起商行梶@営業統括本部 海外事業部
横江秀俊さん
ミキハウスのブランドを愛してくれるお客様が現地のパートナーになる――ウクライナ(キエフとハリコフの2店舗)のミキハウス・オーナーはもともとミラノの常連客で、ロシア(モスクワに2店舗)の場合は、ウクライナのお得意様だったそうです。独自の世界展開を通して、三起商行は海外におけるミキハウスのイメージを高め、3月にはモスクワ中心部の子ども用品専門の大型店舗に2号店を出店しました。同国では国際ブランドの参入が増え、競争は激化していますが、ユニークなモノづくりと独自性の強いデザインは他社とは一線を画しています。今号では上記店舗のグランドオープンのセレモニーに出席された横江さんにお話を伺いました。(芳地隆之)
ミニ・レポート
ロシアの禁煙政策最前線
2013年2月23日付けで承認された連邦法「たばこの煙による影響および喫煙に起因する疾病から国民の健康を保護する法律」(以下、「たばこ制限法」)が同年6月1日より施行されたことに伴い、喫煙およびたばこ製品の取扱いに対する規制が強化されたロシア。街自体が巨大な灰皿であった牧歌的な時代に留学生活を送った筆者(喫煙者)は、昨年夏に駐在員として再びモスクワに戻ったものの、当地の喫煙事情の変化を目の当たりにし、まさに浦島太郎的な心境である。本稿では、当該法律が制定された経緯および禁煙政策の概要、その市場への影響についてご紹介したい。(大渡耕三)
ミニ・レポート
ロシア・ビール市場の予期せぬ不振
ロシアでは1990年代の後半ごろからビールの消費量と生産量が急増し始め、同国は早晩世界有数のビール大国になるとみられていた。ところが、2008年ごろからロシアのビール業界は突然低迷期に突入し、そこからの脱却の兆しは2015年春時点では見えていない。それどころか、業界内では、今後不振がさらに深刻化するのでは、との懸念の声も広がっている。ロシアのビール市場では、一体何が起こっているのだろうか。本稿では、低迷を招いた要因に着目しながら、ロシアのビール業界の現状を紹介する。(坂口泉)
シネマ見比べ隊!!
珍道中ムービーに見るロシア社会の特質
『ヤクザガール』VS『ワン・デイ・イン・ヨーロッパ』
「ロシアは頭じゃ、わからない。並みの尺度じゃ測れない。。。」と詩に詠ったのはヨーロッパでの生活の長かった19世紀ロシアの詩人フョードル・チュッチェフですが、21世紀になった今日でもロシアに滞在したことのある人ならば、この詩人と感慨をひとつにする方は少なくないでしょう。 このたびは、ロシアを旅する外国人の目を通して、謎のロシア、ロシア人気質、あるいは、私たちも共感してしまうであろう「ロシアあるある」をコメディタッチで描いた二つの作品をご紹介致します。 まずは、親日派で知られるセルゲイ・ボドロフ監督が日本人少女をヒロインに据え、ロシア人と日本人のメンタリティや気質の差異をコミカルに浮き彫りにした『ヤクザガール』(2010年)。もう一作はロシアの作品ではありませんが、ロシア、トルコ、ドイツ、スペインで外国人旅行者がそれぞれの国で遭遇しがちな事件やハプニングをシュールな笑いでまとめたオムニバス『ワン・デイ・イン・ヨーロッパ』(2005年)です。(佐藤千登勢)
自動車産業時評
なぜロシアでは高級車が売れるのか
2015年に入り深刻な販売不振にあえぐブランドが多い中、プレミアムブランドの販売は比較的好調となっています。高級車の販売の堅調さの理由については、「高級車を購入する富裕層は不況の影響をほとんど受けないから」との説明がなされることが多くなっていますが、各プレミアムブランドの販売戦略(あるいは戦術)も一定の貢献をしているのではないでしょうか。今回は、そのような観点に立って、主要なプレミアムブランドのロシア市場における最新の動きをご紹介します。(坂口泉)
デジタルITラボ
拡大を見せるロシアのスマートフォン市場
今号から始まった新コーナー「デジタルITラボ」。本コーナーでは、ロシアのデジタル機器市場の状況や、消費者のトレンド等、タイムリーな記事をお届けしたい。 第1回は、昨年秋にやっと人生初のスマートフォンを購入した初心者である筆者が、恐れ多くもロシアのスマートフォン市場の概要についてご紹介させていただく。(大渡耕三)
蹴球よもやま話
サッカーへの関心が急低下するロシア
スポーツも社会の一部なので、今号ではロシア社会特集の一環として、蹴球コーナーをお届けする。さて、ロシアのサッカー事情に関して、私がぜひとも強調しておきたいのは、当国のサッカー熱は決して高くないという事実である。元々低調だった上に、最近になってそれがさらに低下している。以下では、国民の意識調査結果を紐解いて、その点に迫ってみたい。(服部倫卓)
データバンク
ロシア国民が好きなブランド
「ロシア国民の好きなブランド」というプロジェクトがある。2008年に立ち上げられたもので、ロシア国民へのアンケート調査にもとづき、人気ブランドのランキングを毎年制定しているものだ。以下では、その中から、最新の2014年版の総合ランキングと、読者の関心が高そうなジャンルのランキングを抜粋して紹介する。ジャンル別は、原典では10位まで出ているが、ここでは紙幅の都合でベスト5まで取り上げる。ただし、乗用車・家電・エレクトロニクスは、10位まで見る。ローマ字表記のブランドはそのまま、ロシア文字表記のブランドはカタカナ書きで示した。
ルーブル安で息を吹き返したロシア石炭産業
ロシアNIS経済研究所 嘱託研究員
坂口泉
シェールガス革命の影響で余剰となった米国産やコロンビア産の石炭が欧州市場やアジア市場に大量に流入した結果、2011年初頭時点で1t当たり130ドル近くに達していた一般炭の国際価格は、2013年夏には74ドルにまで落ち込んだ(欧州諸港CIF価格)。
その後、価格は一時やや持ち直したものの、2014年春ごろからは再び低水準で推移するようになった。原料炭の方も、オーストラリアの洪水などの影響で2011年の初め時点では300ドル以上にまで上昇していた価格が、2013年にはその約半分の水準にまで落ち込み、2014年も低水準が続いた。
国際価格の低迷は輸出への依存度が高いロシアの各石炭会社の財務状況の悪化につながり、SUEKクズバスやユージヌィ・クズバスをはじめとする複数の大手石炭会社が2013年に赤字に転落した。
2014年に入ってからも苦しい状況が続いたが、夏ごろから顕著になりはじめたルーブル安傾向の恩恵を受け石炭の輸出効率が上昇した結果、ほとんどの大手石炭会社が最悪の状態から脱却することに成功した。
本稿では、ルーブル安という追い風がもたらした変化に留意しながら、2014年のロシア石炭分野を回顧する。
キーパーソンに訊く
ジョージアとロシアの人々の間に壁はない
ジョージア国立バレエ団芸術監督
N. アナニアシヴィリ
ニーナ・アナニアシヴィリさんのインタビューをお届けします。ニーナさんは、長年にわたりモスクワのボリショイ劇場のプリマ・バレリーナ、ニューヨークのアメリカン・バレエ・シアターのプリンシパルを務めた名実ともに世界最高峰のバレリーナであられますが、その演技が「踊る喜び、生きる喜び」にあふれているため、「幸福のバレリーナ」と呼ばれています。ニーナさんは、当時のサーカシヴィリ大統領に請われ、2004年よりジョージア国立バレエ団芸術監督を務め、存亡の危機にあった母国のバレエ団の再建に取り組まれました。ニーナさんには、バレエや芸術のこと、ソ連時代のモスクワでの生活のこと、ジョージアとロシアや日本との関係などについてお話しいただきました。(岡田邦生)
ロシアNIS貿易会平成27年度定時総会報告
一般社団法人ロシアNIS貿易会は東京の如水会館にて、6月9日に平成27年度定時総会を開催いたしました。定時総会では役員が改選され、当会の新体制が発足しました。同日開催された平成27年度第2回理事会において、8年間にわたり会長を務めてきた西岡喬・三菱重工業椛樺k役が退任し、代わって村山滋・川崎重工業椛纒\取締役社長が新会長に就任いたしました。定時総会では「平成26年度事業報告」、「公益目的支出計画実施報告書」の報告、第1号議案「平成26年度計算書類等」、第2号議案「定款の一部変更」、第3号議案「役員の選任」の承認がなされました。
以下では定時総会において報告された平成26年度事業報告の内容を掲載するとともに、定時総会における来賓の鈴木英夫経済産業省通商政策局長のご挨拶、また西岡前会長および村山新会長の挨拶を掲載いたします。
研究所長随想
ヴォリスキー氏の初対面会話術
1991年末ソ連邦が崩壊し、その継承者としてロシア連邦が誕生した。当時ロシア共和国の大統領であったエリツィンは、新生ロシアの初代大統領として経済の自由化を標榜し「海図なき航海」に船出した。その結果1992年のインフレは一気に昂進し年率2,510%のハイパーインフレを記録することになる。経済は大混乱に陥り、マクロのすべての数値が下がった。1992年の日ロ貿易は、輸出入合計で前年比42%減となり、輸入では20%減であったが、日本からの輸出は65%減と激減した。
このような時代ではあったが、日本企業幹部のロシア訪問はあまり減少しなかった。しかし、ロシア政府機関の人事異動は頻繁に行われ、政府機関の統廃合も続いていた。そこで問題となるのはVIP来訪の際の表敬先の選定であった。
そんな時、元日本政府高官で現在企業幹部のロシア視察が決まった。モスクワ滞在は3日間で、本社からは肩の凝らないスケジュールにするよう指示を受けていた。
要人面談は政府機関ではなく、ロシア軍産複合体を母体にするロシア連邦産業企業家同盟を訪問した。日本の経団連に近い組織だが、政治的色彩が強く、引退した有力政治家や行政府の高官を顧問として受け入れ、活用しているのが特徴であった。(遠藤寿一)
INSIDE RUSSIA
財政難に陥るロシアの諸地域
最近ロシアで、地域(州や共和国などのレベル)財政の危機が頻繁に指摘されるようになっている。ロシア経済の現実の一端を物語る現象であり、ビジネスに影響が出てくることも考えられるので、今回はこの話題を取り上げる。(服部倫卓)
モスクワ便り
ペテルブルグ経済フォーラム印象記
6月18日〜20日にサンクトペテルブルグ市で開催された第19回ペテルブルグ国際経済フォーラムに参加した。今回は、同フォーラムの枠内でラウンドテーブル「日本とロシア:ビジネス協力の展望」を組織・開催することが主目的であったのだが、このラウンドテーブルについては別の機会(『ロシアNIS経済速報』2015年7月15日号)に報告することとして、本号では、ロシア最大のビジネス会議であるペテルブルグ国際経済フォーラムへ参加した全般的印象をお伝えしたい。(中居孝文)
ロシア極東羅針盤
中ロ国境を鉄道で渡る
ロシア沿海地方のグロデコヴォから列車で中国に入る。前回(本誌2015年3月号)はバスでの国境通過の様子を紹介した。今回は鉄道で国境を越えてみた。(齋藤大輔)
地域クローズアップ
資源の海に囲まれた知性の島トムスク州
ロシアのシベリア開発における中心地として1604年に誕生したトムスク市を州都とするトムスク州はロシアの教育・研究の中心であり、天然資源の宝庫である。しかし、資源があることと、それを活用し、発展につなげていくことは必ずしもイコールではない。優秀な人材と豊富な天然資源を誇るトムスク州はこうした資源を活かすことができているのだろうか。こうした視点から、本稿ではロシアとアジア諸国との関係強化に欠かすことのできない重要地域であるトムスク州について紹介する。(中馬瑞貴)
エネルギー産業の話題
ロシアのLNGプロジェクトの最新動向
現在、ロシアで稼働中のLNGプラントは、サハリン2の生産能力960万t/年のプラントだけですが、その他に、いくつかの新プラント建設計画が検討されています。具体的には、ヤマルLNG建設プロジェクト、サハリン1のガスの利用を想定した新プラント建設プロジェクト、ペチョラLNG、バルトLNG等です。今回は、それらのプロジェクトをめぐる最新の動きを紹介します。(坂口泉)
ロジスティクス・ナビ
再生を目指すロシア旅客鉄道
ロシアの鉄道の収益構造は赤字の旅客部門を黒字の貨物部門が補う形になっています。儲からない旅客部門の採算性を改善し、赤字補填を解消することは鉄道改革プログラムの目的の一つでした。組織改革や高速鉄道の導入など、旅客部門再生への試みと成果を検証します。(辻久子)
ウクライナ情報交差点
ウクライナ肥料産業は生き残れるか
ロシアNIS貿易会では6月30日に「ロシア・ウクライナ・ベラルーシの肥料産業」と題する報告会を開催し、筆者が報告を行った。ここではその中から、ウクライナにかかわる部分の報告内容を抜粋してお届けする。(服部倫卓)
中央アジア情報バザール
バクーで開催された第1回欧州五輪
2015年6月12日〜28日、アゼルバイジャンの首都バクーで「ヨーロッパ版オリンピック」と呼ばれるヨーロッパ競技大会(European Games)の記念すべき第1回大会、Baku2015が開催された。(中馬瑞貴)
記者の「取写選択」
モスクワのグリーンハウス
ロシアの取材で違和感を覚えることの一つが、クレムリンから一般市民にいたるまでのエコロジー意識の欠如だ。石油も天然ガスも売るほどあるのだから、エネルギー節約意識が高まらないのは仕方がないが、もう少し真剣に考えてもいいのではないか。タイガもガンガン伐採され、シベリアから中国などに向けて大量の木材が連日、シベリア鉄道で運ばれるが、林業関係者は「大丈夫。切った分以上に生えてくるから」と言うだけだ。(小熊宏尚)