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ロシアNIS調査月報2017年6月号特集◆ウクライナ危機から |
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特集◆ウクライナ危機から3年を経たNIS経済 |
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調査レポート |
2016年のロシア・NIS諸国の経済トレンド |
調査レポート |
2016年のNIS諸国の乗用車市場 |
調査レポート |
マイダン後のウクライナ・エネルギー事情 |
ビジネス最前線 |
真の経済多角化を目指すカザフスタンに期待 |
ビジネス最前線 |
アゼルバイジャンの農業発展に日本の技術で貢献 |
イベント・レポート |
第9回日本アゼルバイジャン経済合同会議 |
データバンク |
2016年の日本の対NIS諸国貿易統計 |
エネルギー産業の話題 |
ウズベキスタンのガス分野 |
中央アジア情報バザール |
外交樹立25周年を迎えた中央アジアと日本 |
ウクライナ情報交差点 |
一歩前進二歩後退のウクライナEU関係 |
補遺 |
ロシアの大企業私有化と財政赤字 |
研究所長随想 |
ロシア革命から100年 |
INSIDE RUSSIA |
ロシア経済における生産の輸入依存度 |
ロシア極東羅針盤 |
極東の隣・ザバイカル地方の現在 |
ロジスティクス・ナビ |
バルト海水域港湾の動向 |
産業・技術トレンド |
ロシアを蝕む過剰投資 |
デジタルITラボ |
ロシアにおけるVR関連市場 |
シネマ見比べ隊!! |
映画は芸術となりうるか |
駐在員のロシア語 |
株主総会 |
業界トピックス |
2017年4月の動き |
通関統計 |
2017年1〜3月の輸出入通関実績 |
記者の「取写選択」 |
エリツィンとロシア船 |
調査レポート
2016年のロシア・NIS諸国の経済トレンド
ロシアNIS経済研究所
本誌では毎年6月号において、前年のロシア・NIS諸国の経済実績を踏まえつつ、各国の最新の経済動向について論評するという企画をお届けしている。本年も2016年のデータがほぼ出揃ったので、早速それを試みたい(『ロシアNIS経済速報』2017年4月15日および4月25日号より再録)。なお、モンゴルは一般的にはNISの範疇に入らないが、モンゴルも本レポートの対象に加えている。
執筆は当会ロシアNIS経済研究所のスタッフによるものであるが、ロシアについては北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの田畑伸一郎教授に特にご寄稿いただいた。
調査レポート
2016年のNIS諸国の乗用車市場
ロシアNIS経済研究所 嘱託研究員
坂口泉
本稿では、NIS諸国のうちウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、ウズベキスタンの4カ国を取り上げ、それぞれの乗用車市場の現状と今後の見通しを紹介するが、ウクライナに関しては、高価格モデルのプレゼンスの強化という形で具現化されている新車市場の質的変化に着目しながらその状況を紹介したい。また、ベラルーシとカザフスタンに関しては通貨の下落、税制の変更、ならびに、ロシアからの乗用車の並行輸入の状況などに留意しながら、その現状と今後の展望を紹介する。そして、ウズベキスタンに関しては、同国唯一の乗用車メーカーであるGMウズベキスタンと市場の特殊性に焦点をあてながら、その現状を紹介する。
調査レポート
マイダン後のウクライナ・エネルギー事情
北海学園大学非常勤講師
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター共同研究員
藤森信吉
本稿は、いわゆる「ユーロ・マイダン」以降のウクライナのエネルギー事情の変化を概観するものである。今日のウクライナのエネルギー問題には、5つの大きな要素が働いていると考えられる。
ビジネス最前線
真の経済多角化を目指すカザフスタンに期待
三菱商事梶@アルマトゥイ駐在事務所 所長
安田透さん
今回は三菱商事株式会社アルマトゥイ駐在事務所長の安田透さんのお話をご紹介します。安田さんは、若くして駐在事務所の所長を務めていらっしゃいます。大学時代にロシア語を専攻されていたこともあり、これまでロシアを中心に日本から旧ソ連諸国に関わっていらっしゃいました。インタビューでは三菱商事のカザフスタンでのビジネスの現状や今後の可能性の他に、実際に駐在されて肌で感じるカザフスタンの印象などについてもお話いただきました。(中馬瑞貴)
ビジネス最前線
アゼルバイジャンの農業発展に日本の技術で貢献
椛O川製作所 大型プロジェクトセンター
ロシア・CISリーダー 西川洋さん
今回は株式会社前川製作所グローバルシステム推進センターの西川洋さんのお話をご紹介します。西川さんは、モスクワに駐在された経験をお持ちですが、最近はアゼルバイジャンやウクライナなどのプロジェクトに関わっており、2月23日に開催された第9回日本アゼルバイジャン経済合同会議にて同社のアゼルバイジャン事業についてご報告いただきました。インタビューではより詳しく前川製作所のアゼルバイジャン事業の現状や今後の可能性、他の旧ソ連諸国での事業の展望についてお話を伺いました。(中馬瑞貴)
イベント・レポート
第9回日本アゼルバイジャン経済合同会議
2017年2月23日、アゼルバイジャンの首都バクーにおいて、日本アゼルバイジャン経済委員会およびアゼルバイジャン共和国日本経済協力国家委員会主催の下で「第9回日本アゼルバイジャン経済合同会議(以下、合同会議)」が開催された。以下では、第9回合同会議の概要として、アゼルバイジャンの経済について包括的かつ詳細な情報を網羅したシャリホフ副首相による基調報告と全体のプログラムを紹介する。(中馬瑞貴)
データバンク
2016年の日本の対NIS諸国貿易統計
恒例により、日本財務省発表の貿易統計にもとづいて、2016年の日本とNIS諸国との貿易に関し、データをとりまとめて紹介する。日本とロシアの貿易については、すでに5月号に掲載済みである。なお、昨年から日本とNISとの貿易に加え、モンゴルとの貿易データも取り上げている。
エネルギー産業の話題
ウズベキスタンのガス分野
ロシアのガスプロム社は2017年3月末にウズベキスタンとの間で、同国産ガスの購入に関する複数年(5年)契約を締結することで合意に達しました。これまでは単年度契約が原則となっており、今回が初めての複数年契約となります(『ヴェードモスチ』紙、2017.3.30)。今回の合意は、ロシアにとってのウズベキスタン産ガスの重要性の高まりを意味していると考えられます。以上の状況を踏まえ今回はこの動きの背景にある事情、ならびに、ウズベキスタンのガス分野の現状をご紹介することにします。 (坂口泉)
中央アジア情報バザール
外交樹立25周年を迎えた中央アジアと日本
2017年は日本と中央アジア各国の外交樹立25周年を迎える記念すべき年である。5月1日には「中央アジア+日本」対話・第6回外相会合がトルクメニスタンのアシガバードで開催され、5カ国すべての外相と日本の岸田外務大臣が一堂に会した。外務省のプレスリリースによると、外相会合では、安全保障、貿易・投資、開発、人的・文化交流など幅広い分野での協力の推進について「共同声明」に署名が行われた。中央アジアというと、アフガニスタン情勢を含む安全保障、開発援助、人的・文化交流が主流であったが、最近は、経済・貿易・投資関係にも注目されるようになってきているのは25年間の中で大きな変化の1つと言える。(中馬瑞貴)
ウクライナ情報交差点
一歩前進二歩後退のウクライナEU関係
2014年のユーロマイダン革命で、欧州統合路線を選択したウクライナは、EUとの一体化を通じた国の再建を目指している。しかし、ウクライナで不安定な国情が続き、改革も進展していないことから、EU側にはウクライナへの失望が広がり、シリア難民問題や英国のEU離脱といった難問が多発する中で、ウクライナ問題の優先順位も低下している。以下、過去1年ほどのウクライナEU関係を概観する。(服部倫卓)
補遺
ロシアの大企業私有化と財政赤字
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター 教授
田畑伸一郎
先月号に北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの田畑伸一郎教授による「底を打ったロシア経済:2016年の成長と財政の実績」を掲載いたしましたが、このほど田畑教授よりロスネフチ等の大企業の私有化と財政赤字の問題に関する補遺をお寄せいただきましたので、以下のとおり掲載いたします。(編集部)
研究所長随想
ロシア革命から100年
昨年12月1日(木)クレムリン宮殿の「ゲオルギーの間」では、毎年恒例となったプーチン大統領の年次教書演説が行われた。これは年に一度の施政方針演説で、混迷を深めてきた2016年の締めくくりとして、内外から注目されていた。この演説の中で、プーチン大統領は、世界で最初の社会主義国家を生み出すことになった100年前のロシア革命(二月革命と十月革命)に言及して、「今日のロシアを取り巻く状況を俯瞰すると、外国勢力の扇動によるカラー革命がロシアの勢力圏でも起きてきた。この折に我々は過去の歴史を振り返り、歴史を冷静に直視し、寛容の精神をもってその苦い歴史と融和することが、ロシア国民の賢明さを示すことになるだろう」と述べている。(遠藤寿一)
INSIDE RUSSIA
ロシア経済における生産の輸入依存度
筆者は先月号の月報において、「ロシアの『輸出志向輸入代替』は奏功するか」と題するレポートを発表した。本コーナーでは、その延長上で、「ロシア経済における生産の輸入依存度」という着眼点を補足的に取り上げてみたい。(服部倫卓)
ロシア極東羅針盤
極東の隣・ザバイカル地方の現在
昨年2月、プーチン大統領はザバイカル地方政府の刷新に踏み切った。連邦中央では、ザバイカル地方を対象とした社会経済発展計画の作成が進む。なぜ、いま連邦中央はザバイカル地方を重視するのか。そこには極東開発から見放された厳しい現実がある。そこで、ザバイカル地方がどんな地域なのかを紹介する。(齋藤大輔)
ロジスティクス・ナビ
バルト海水域港湾の動向
ロシア西部の海の玄関であるバルト海沿岸港湾の最近の動向を紹介し、さらに近隣国港湾を利用したロシアのトランジット輸送の現状について分析します。(辻久子)
産業・技術トレンド
ロシアを蝕む過剰投資
ロシアでは輸入代替目指し、製造業の底上げのための取組が広く行なわれている。ルーブル安によりロシアでの付加価値が多ければ多いほど価格を安くすることができ、ロシア国産品が価格競争力を発揮し販売が伸びているとこともあるようだ。生産能力が需要に追いついていないのであれば、設備投資を行ない、生産能力を増強することは正しい。一方で、ルーブル安や輸入代替の恩恵を受けている分野は、製造業の全業種に及んでいるわけではない。販売が伸びていない分野で投資することや、販売が伸びていてもそれ以上に製造能力を増やすことは、企業の体質を悪化させる。ロシアのメーカーを訪問すると、そのような状況に陥っている企業が散見される。ロシア企業と取引をする場合や、ロシア企業に投資をする場合、相手のロシア企業の設備投資が適正であるかということは非常に重要な確認事項であろう。(渡邊光太郎)
デジタルITラボ
ロシアにおけるVR関連市場
「デジタルITラボ」は、今号より再スタートとなる。弊社で行なっている事業の強みを生かし、従来の定量データに加え、実際に業界で働くIT企業従業員や、専門家、スタートアップ企業など、現場の声も反映させていければと思う。
今回はロシアにおけるVR(英:Virtual Reality)関連技術とその市場性についてお伝えしたい。
(牧野寛)
シネマ見比べ隊!!
映画は芸術となりうるか
『ファウスト』VS『変身』
「サンクトペテルブルグでは今年も《白夜祭》と呼ばれる音楽や芝居、バレエで長く明るい夜を楽しむ時節を迎えておりますね」とは、昨年6月号のこのコーナーで記した文言です。とはいえやはり、白夜を迎えるロシアのこの時節を迎えるとどうしても芝居やオペラ、コンサート、深夜も開く図書館などを想起しつつ、ヨーロッパの伝統を独自に発展させたロシアの人々の芸術の愉しみ方を羨望せずにはいられないのです。
このたびは、ドイツの古典と、カフカの不条理文学を映画化したロシアの作品をご紹介しましょう。小説の映像化・映画化には通常何かとクレームやダメだしがつきものですが、ここにご紹介する2作品は、映画が他のジャンルから独立した完全な芸術であることをわからせてくれる圧倒的な映画芸術の粋を極めた作品たちなのです。(佐藤千登勢)
駐在員のロシア語
株主総会
ロシアに法人を設立する場合、最も多い形態は有限責任会社だ。ちなみに英訳すると Limited Liabiity Company (LLC)、日本では2006年の商法改正後これに相当するのは合同会社となる。もう一つは株式会社で、ロシアで外国企業が設立する現地法人の形態として数は少ないものの決して珍しくはない。(新井滋)
記者の「取写選択」
エリツィンとロシア船
ロシア大統領ボリス・エリツィンが亡くなってから、4月23日で10年になった。大方のロシア人のイメージでは、彼は国を混乱させた張本人。2012年の世論調査によると、エリツィンが「ロシアを発展させた」と評価した人は17%。ブレジネフ(39%)の半分、プーチン(61%)の3割に満たない。エリツィンより低いのはゴルバチョフ(14%)だけだ。(小熊宏尚)