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ロシアNIS調査月報2017年9-10月号特集◆イノプロムが切り拓く |
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特集◆イノプロムが切り拓く新たな日ロ協力 |
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イベント・レポート |
イノプロム2017開催報告 |
イベント・レポート |
イノプロム日本関連ビジネスプログラム |
イベント・レポート |
イノプロム文化・スポーツプログラム |
資料 |
ロシアメディアによるイノプロムに関する報道 |
デジタルITラボ |
イノプロムで紹介されたVR/AR技術 |
INSIDE RUSSIA |
ビジネスイベント過多のロシア |
ビジネス最前線 |
物流を通じて日ロを結ぶフォワーダー |
ウクライナ情報交差点 |
ウクライナ・ロシア「通商戦争」の再考 |
イベント・レポート |
第8回日本モンゴル官民合同協議会 |
研究所長随想 |
ユダヤ系ロシア人脈との友情に支えられて(2) ―日ソ・日ロ貿易外史(16)― |
特別寄稿 |
チュヴァシ共和国訪問報告 ―製造業とイノベーションによって発展― |
データバンク |
2017年上半期の日ロ貿易 |
ロシア極東羅針盤 |
評判を落とす極東発展省 |
地域クローズアップ |
行楽地としてモスクワっ子に人気のトゥーラ州 |
自動車産業時評 |
メルセデス・ベンツのロシア工場建設開始 |
ロジスティクス・ナビ |
ロシア鉄道の好調な業績 |
産業・技術トレンド |
ロシア系メーカーの自動車 |
ロシアと日本・ 出会いの風景 |
日本語のレッスン:八戸の朝市 |
シネマ見比べ隊!! |
ロシア革命百周年に寄せて? |
駐在員のロシア語 |
サバイバル・ロシア語:メディカル編(2) |
蹴球よもやま話 |
サッカー・ロシア代表の現在地 |
業界トピックス |
2017年7月の動き |
通関統計 |
2017年1〜6月の輸出入通関実績 |
記者の「取写選択」 |
チーズはどこへ消えた? |
イベント・レポート
イノプロム2017開催報告
2017年7月10日(月)〜13日(木)にかけて、ロシア・スヴェルドロフスク州のエカテリンブルグ市において「イノプロム2017」が開催された。イノプロムはロシア産業商業省とスヴェルドロフスク州政府によって毎年共催される、ロシア最大の総合産業博覧会である。日本は2017年の「パートナー国」として同博覧会に参加し、日本企業の総合ブース「ジャパンパビリオン」の設置・運営、日ロ産業フォーラムをはじめとする各種ビジネスプログラム、また和太鼓コンサートなど多彩な文化・スポーツ交流行事を広く展開した。
日本からは、世耕弘成・経済産業大臣兼ロシア経済分野協力担当大臣を筆頭に、約600名の日本代表団がイノプロムに参加し、展示会には168社・団体が出展した。
本号では、イノプロム2017で行われた展示会および各イベントの概要をご紹介する。(中居孝文・長谷直哉)
イベント・レポート
イノプロム日本関連ビジネスプログラム
イノプロムの会期中、展示会と併行して、戦略セッション「スマート・プロダクション:モデル競争vs技術競争」をはじめ60以上のビジネス会議が開催された。そのひとつとして、日本はロシア側とともに「日ロ産業フォーラム:産業高度化に向けた日ロ協力」を共催した。
またパートナー国関連行事として、@産業効率化、A中小企業、B環境・省エネ、C工業団地をテーマとした4つの分科会を実施した。このうち@とBはROTOBO、Aはジェトロ、Cは当会とロシア工業団地協会が主体となって組織した分科会である。本稿では、日ロ産業フォーラムおよび4つの分科会の内容をご報告したい。(中居孝文・長谷直哉・齋藤大輔・森彩実)
イベント・レポート
イノプロム文化・スポーツプログラム
今回のイノプロムでは、展示会参加者や地元市民に日本の文化・伝統を広く紹介し、またスポーツを通じた日ロ交流を深めるため、多彩な催しが組織された。ここではその概要についてご紹介する。(森彩実)
資料
ロシアメディアによるイノプロムに関する報道
この小レポートでは、イノプロム2017に関するロシア側の報道として、イノプロム2017のビジネスプログラムを代表するFORMIKA Groupのアントン・アトラシキン副社長のインタビュー(Business Russia誌、Gazeta. Ru)とExpert Ural誌の総括記事をご紹介したい。
デジタルITラボ
イノプロムで紹介されたVR/AR技術
7月10〜13日にかけて、エカテリンブルグでイノプロム2017が開催された。日本からも多くのビジネスマンが訪れ、普段なかなか目にすることのないロシアの産業・技術に触れる貴重な機会になったようだ。イノプロム2017では連邦レベルの大企業から、スヴェルドロフスク州のスタートアップに至るまで、実に多様な企業がブース出展した。今年のテーマがスマートマニュファクチャリングだったこともあり、特に目を引いたのが、製造業や、企業研修・教育分野で活用されているVR/AR(バーチャルリアリティ/拡張現実)技術であった。実際に撮影した写真とともに、現在、ロシアでVR/AR技術がどのように商業化されているかを見ていければと思う。(牧野寛)
INSIDE RUSSIA
ビジネスイベント過多のロシア
ロシアは実にビジネスイベントの数が多い国である。日本が直接関係しているものだけでもいくつかあり、ロシア全体では一体どれだけのイベントが開催されているのか、見当もつかない。もちろん、ペテルブルグやソチのように格式が高いビジネスフォーラムもあるし、近年の日ロ間のようにイベントを足掛かりに経済関係を前進させている成功例もあるが、ロシアの地方で開催されるビジネスフォーラムなどでは、素性の分かりにくいものもある。ビジネスイベントが節税目的で開催されているとか、関係者の蓄財に利用されているといった良からぬ話も聞く。
そんなわけで、今回はロシアにおけるビジネスイベントについて、簡単に触れてみたい。
(服部倫卓)
ビジネス最前線
物流を通じて日ロを結ぶフォワーダー
鞄新 桜井正応さん 尾関誠さん
株式会社日新はフォワーダーとして世界各地に拠点を持ち、様々な物流サービスを提供しています。 ロシア・CIS地域は日新が得意とする地域で、貨物輸送だけではなく、駐在員引越しサービスなどの幅広いビジネスを展開しています。今回は、改善が進みつつも難しさも指摘されるロシアへの物流の現状と日新の取組について、国際営業第一部部長の桜井さん、ロシア・CIS室室長の尾関さんにお話しを伺いました。 (渡邊光太郎)
ウクライナ情報交差点
ウクライナ・ロシア「通商戦争」の再考
2014年まで、ウクライナはEUと連合協定を締結するか、ロシア主導のユーラシア統合に参加するかという二者択一に直面していた。もっとも、筆者の理解する限り、「親ロシア」というレッテルを貼られることが多かったV.ヤヌコーヴィチ大統領の政権ですら、ユーラシア統合への合流を積極的に検討したことはなかったはずである。それでも、ロシアはウクライナの参画を取り付けることをユーラシア統合の成否を握る試金石として重視し、それを実現すべく2013年にはウクライナに様々な通商上の圧力を行使した。ロシア側の容赦ない姿勢から、それは「通商戦争」と呼ばれた。
結局、2014年の政変の結果、ウクライナは欧州統合路線を選択した。それを受け、ロシアはウクライナに対し通商面での懲罰的な措置を導入、ウクライナ側も対抗策をとっているため、今日ではウクライナ・ロシア間の全面的な「通商戦争」という様相を呈している。
今回は、いつもよりも枠を若干拡大し、ウクライナ・ロシア間の「通商戦争」の経緯を改めて跡付け、また地政学に翻弄されるウクライナ・ロシア貿易の動向を統計的に整理することにする。(服部倫卓)
イベント・レポート
第8回日本モンゴル官民合同協議会
2017年7月4日(火)、モンゴルの首都ウランバートルにおいて、「第8回日本モンゴル官民合同協議会(以下、合同協議会)」が開催された。
今回の合同協議会開催にあたって、松村祥史・経済産業省副大臣、小林洋一日本モンゴル経済委員会会長/伊藤忠商事兜實長(以下、会長)、吉村利治日本モンゴル経済委員会副会長/双日株式会社専務執行役員(以下、副会長)をはじめとする同経済委員会会員企業代表、および日本の政府関係者、企業代表者がモンゴルを訪問した。モンゴル側からは、バトツェツェグ・モンゴル外務省副大臣を代表として、政府関係者、団体、企業関係者が参加した。合同協議会は午前中に実施され、午後は「経済連携協定EPA発効1周年記念セミナー・ネットワーキング交流会」が行われた。また、翌日の5日(水)は、モンゴルの優良企業訪問として、日本人参加者向けに3企業の訪問がアレンジされた。これら3つのイベントについて、簡単に概要を説明する。(高橋浩)
研究所長随想
ユダヤ系ロシア人脈との友情に支えられて(2)
―日ソ・日ロ貿易外史(16)―
平松守彦大分県知事の提唱した「一村一品」運動は、海外でも広く知られるようになっていた。ソ連では、1985年3月ゴルバチョフが共産党書記長に選出されて、ペレストロイカやグラースノスチが浸透し、海外でもその意義が次第に広まってきていた。この頃ソ連邦共産党中央委員会発行の「社会工業新聞」の一面に、「大分県の奇跡」の大見出しが紙面を圧倒し注目された。この中で大分県は中央からの指令ではなく、地方自治体の発想による自助努力で「地方コンプレックス」から脱却させたことを賞賛していた。(遠藤寿一)
特別寄稿
チュヴァシ共和国訪問報告
―製造業とイノベーションによって発展―
2017年6月22日(木)から24日(土)まで、ロシアのチュヴァシ共和国の招待を受け、現地を訪問、第10回チェボクサルィ経済フォーラムに参加した。本報告では、チュヴァシ共和国の概要、また今回の訪問の結果につき報告する。
まず、チュヴァシ共和国と聞いて、すぐに分かる日本人の方はほとんどいないのではないだろうか。チュヴァシ共和国は、沿ヴォルガ地域に位置する人口約120万人のロシア連邦内の小さな共和国である。共和国の主要民族は、約3分の2がチュヴァシ人であり、その他ロシア人等である。共和国の経済は、エネルギー産業がないため、製造業で発展してきた。日系企業ではフジクラが2015年にチェボクサルィに工場を開設したことで知られる。
(高橋渉)
ロシア極東羅針盤
評判を落とす極東発展省
極東開発の実現に力を発揮してくれるのが、行政経験のない、極東を知らない若い人材である。モスクワだけでなく、ウラジオストクやハバロフスク、さらにはカムチャッカなどにオフィスを設け、業務拡大のたびに新しい人材を登用してきた。しかし、ここにきて、極東発展省、極東投資誘致・輸出支援エージェンシーなど関連組織の評判が良くない。背景には、新しい政策を打ち出す一方で、それを具体化させるための仕組みづくりや人材供給が追いついていないことがある。とくに人材面では、担当者が頻繁に変わるなど、付き合う方からすると、決して良いとはいえないことが起きている。(齋藤大輔)
地域クローズアップ
行楽地としてモスクワっ子に人気のトゥーラ州
2016年12月に来日したプーチン大統領が安倍総理大臣にロシアの伝統工芸品の1つである金属製の湯沸かし器サモワールをプレゼントした。このサモワールはトゥーラで作られたものであったと伝えられている。
トゥーラ州はモスクワ近郊の連邦構成主体の1つ。ロシアを代表する文豪トルストイや世界的に有名な拳銃を作り出したトカレフといった著名人を輩出した地域である。
前述のサモワールも含め、ロシアの伝統や文化を生み出した地域という点でロシア国内では比較的よく知られた地名のトゥーラであるが、経済やビジネスの観点でもその投資環境の良さに定評がある。しかし、モスクワ市周辺にはたくさんの似たような構成主体があるため、トゥーラと言っても日本ではまだあまりピンとこない地域だろう。そこで、本稿では、トゥーラ州が生んだロシアの伝統を紹介しながら、州の概要を紹介する。(中馬瑞貴)
自動車産業時評
メルセデス・ベンツのロシア工場建設開始
欧州ビジネス協会(AEB)の発表によれば、2017年1〜6月のロシアにおける乗用車(新車に限り、小型商用車を含む)の販売台数は71万8,529台となり、前年同期比6.9%拡大しました。このように販売は持ち直す方向にあるものの、年間300万台近くを売り上げた2008年や2012年に比べると、市場規模は約半分に縮小したままです。
そうした中、ロシアの自動車産業界で、久し振りに大規模投資のニュースが伝えられました。メルセデス・ベンツがモスクワ郊外での工場建設を決め、6月に建設が始まったものです。以下、本件の概要につき報告します。(服部倫卓)
ロジスティクス・ナビ
ロシア鉄道の好調な業績
2015年8月にロシア鉄道にベロジョーロフ社長が就任してから2年経ちました。この間、ロシア鉄道の業績は好調に推移しています。2016年及び2017年上半期の動向を分析いたします。(辻久子)
産業・技術トレンド
ロシア系メーカーの自動車
ロシアでは5年間縮小してきた自動車市場が底を打ったようだ。一方、ロシア系自動車メーカーの縮小は過去5年どころではなく、中長期的傾向としては2000年以降ほぼ一貫して量的な凋落を続けてきた。一方でロシア系の車も質的には進化してきていた。今回はロシア系自動車メーカーがどのような自動車を作っているかについて、実車を見てきた結果をお伝えする。(渡邊光太郎)
ロシアと日本・出会いの風景
日本語のレッスン:八戸の朝市
私も、日本人に対してはロシア語について、ロシア人に対しては日本語について説明したことが多々ある。その時に気づく両言語の特徴的な違いは、方言である。
ご存知かもしれないが、方言の広がりが、日本とロシアとで大きく異なる。総面積が約1,700万平方キロメートルもあるロシアには、不思議だが、ほとんど方言がないと言っても過言でない。比較的小さい(総面積は約38万平方キロメートル)日本では地方によって言葉が異なり、ある地方の伝統的な表現が標準語と大きく異なり、また地方と地方の間では時にお互いに意味が上手く伝わらないほど地元の言葉が違うこともあると言われている。(D.ヴォロンツォフ)
シネマ見比べ隊!!
ロシア革命百周年に寄せて?
『懺悔』VS『不思議惑星キン・ザ・ザ』
2017年はロシア革命百周年ということで、旧暦で10月25日から翌日にかけて達成されたこの大事件に思いを巡らしつつ、スターリニズムや全体主義に象徴されるその後のソ連時代を批判した2つの大作をご紹介しましょう。(佐藤千登勢)
蹴球よもやま話
サッカー・ロシア代表の現在地
前回のこのコーナーでは、6月17日から7月2日にかけてロシアで開催されたコンフェデレーションズカップの話題を取り上げた。ただ、紙幅の関係で、やや尻切れトンボに終わってしまったので、今回はロシア代表チームについて補足的にコメントしたい。(服部倫卓)
記者の「取写選択」
チーズはどこへ消えた?
世界中で愛されるゴーダチーズは、酪農王国オランダ南部の小都市ゴーダ(オランダ語読みはハウダ)が発祥の地だ。生で食べても加熱してもおいしい。加工にも向き「チーズの万能選手」と呼ばれる。
「世界中」と書いたが、ロシアでは偽ブランド以外は買えない。ウクライナ危機に絡み、欧州連合(EU)は2014年、対ロ経済制裁を発動。ロシアはEUの農産物や食品を輸入制限する措置で対抗した。(小熊宏尚)