ロシアNIS調査月報2018年6月号特集◆安定成長を |
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特集◆安定成長を模索するNIS経済 |
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調査レポート |
2017年のロシア・NIS諸国の経済トレンド |
調査レポート |
2017年のNIS諸国の乗用車市場 |
調査レポート |
ウズベキスタン企業との販売店契約 ―法律上の留意点― |
調査レポート |
ウクライナの対ロシア・ガス戦争の顛末 ―2009〜2018年― |
調査レポート |
ウクライナ軍需産業の概要と動向 |
特別寄稿 |
常に進化し続けるアルメニア ―日本企業への進出の呼びかけ― |
イベント・レポート |
ウズベキスタン投資プレゼンテーション ―経済改革の新展開― |
データバンク |
2017年の日本の対NIS諸国貿易統計 |
ウクライナ情報交差点 |
NISの労働移民問題とウクライナ |
中央アジア情報バザール |
デジタル化を目指すカザフスタン |
エネルギー産業の話題 |
2017年のカザフスタンの石油ガス産業 |
DVDカフェ |
ホロドモールを学ぶ歴史ドキュメンタリー |
INSIDE RUSSIA |
メドヴェージェフ首相の果たしてきた役割 |
ロジスティクス・ナビ |
ロシア極東港湾の動向2017 |
自動車産業時評 |
2025年までのロシアの自動車産業発展戦略 |
デジタルITラボ |
ロシアのフリマアプリ事情 |
ロシアメディア最新事情 |
ロシアのバラエティ番組出演体験談 |
蹴球よもやま話 |
ワールドカップ・ロシア大会の経済効果 |
駐在員のロシア語 |
ロシアでの買い物の仕方 |
業界トピックス |
2018年4月の動き |
通関統計 |
2018年1〜3月の輸出入通関実績 |
記者の「取写選択」 |
マルクス生誕200年 |
調査レポート
2017年のロシア・NIS諸国の経済トレンド
ロシアNIS経済研究所
本誌では毎年6月号において、前年のロシア・NIS諸国の経済実績を踏まえつつ、各国の最新の経済動向について論評するという企画をお届けしている。本年も2017年のデータがほぼ出揃ったので、早速それを試みたい(『ロシアNIS経済速報』2018年4月15日および4月25日号より再録)。なお、モンゴルは一般的にはNISの範疇に入らないが、モンゴルも本レポートの対象に加えている。
執筆は当会ロシアNIS経済研究所のスタッフによるものであるが、ロシアについては北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの田畑伸一郎教授に特にご寄稿いただいた。
調査レポート
2017年のNIS諸国の乗用車市場
ロシアNIS経済研究所 嘱託研究員
坂口泉
本稿では、NIS諸国のうちウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、ウズベキスタンの4カ国を取り上げ、それぞれの乗用車市場の現状と今後の見通しを紹介するが、ウクライナに関しては、新車市場の質的変化と「ヨーロッパナンバー」と呼ばれている中古車群の存在に着目しながらその状況を紹介したい。また、ベラルーシとカザフスタンに関しては新車のブランド別、モデル別の販売と自動車生産の動向などに留意しながら、その現状と今後の展望を紹介する。そして、ウズベキスタンに関しては、同国唯一の乗用車メーカーであるGMウズベキスタンと市場の特殊性に焦点をあてながら、その現状を紹介する。
調査レポート
ウズベキスタン企業との販売店契約
―法律上の留意点―
A.シャキロフ
松嶋希会
中央アジアの中心に位置するウズベキスタンは、ソ連崩壊に伴い1991年に国家として独立し、漸進的に市場経済に移行することを表明してきた。その移行は非常に緩やかで、外国企業がビジネスを行う環境は整わない状況が長く続いていたといえる。しかし、2016年末新大統領が着任して以来、ビジネス環境に大きな影響を与える改革が多岐にわたって実施されている。特に、2017年9月の外為規制や輸出入規制の緩和では、ウズベキスタン市場の開放が期待されている。マーケットが実際にどこまで開放されるかは今後明らかになるが、ウズベキスタン企業を販売店(ディストリビューター)に指名して、ウズベキスタン市場に進出することを検討する日本企業もあるかと考えられる。そこで、本稿は、ウズベキスタン市場に輸出するにあたり、販売店契約(Distributorship Agreement)を中心に留意すべきウズベキスタン法や関連制度の基本事項を説明する。
本稿で、販売店(Distributor・ディストリビューター)とは自己の勘定とリスクで、再販を目的として商品を購入する企業を、代理店(Agent・エージェント)とは、自己の勘定とリスクで活動することはなく、売主と第三者の売買に関し、売主の代理人となる企業を指すものとする。したがって、販売店契約では、日本企業が商品の売主となり、ウズベキスタン企業がその商品の買主となるが、代理店契約では、日本企業とウズベキスタン企業の間に売買の関係はなく、売買関係は日本企業と第三者の間で発生する。本稿は前者の販売店契約を検討するものである。
調査レポート
ウクライナの対ロシア・ガス戦争の顛末
―2009〜2018年―
北海学園大学非常勤講師
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター共同研究員
藤森信吉
2018年2月、ストックホルム商業会議所仲裁裁判所は、ロシアのガスプロム社に対し、輸送契約違反に伴う補償金46.3億ドルをナフトガス・ウクライナ社へ支払う裁定を下した。2017年12月にも、ストックホルム仲裁は、売買契約に関してウクライナ側の主張を認める裁定を下しており、ガス契約をめぐる係争は、ウクライナ側の「歴史的2連勝」で終わった。2009年1月に両国営企業間で調印されたガス売買/輸送契約は、当初から対立を孕みつつ、ウクライナ危機後に双方が仲裁に上訴する程の深刻な対立に至り、そして本裁定によって事実上、契約期間の満了を待たずして終了することになった。本稿では、2009年ガス契約の係争点を整理するとともに、今後の両国ガス関係に与える影響を検討したい。
調査レポート
ウクライナ軍需産業の概要と動向
高知大学 人文学部
塩原俊彦
2017年10月10〜13日、ウクライナの首都キエフで第14回「武器・安全保障2017」が開催された。興味深いのは、このなかでもっとも多い168の展示を行ったのが国家コンツェルン・ウクルアバロンプロム(以下、UOP)だったことである。UOP傘下の46社が展示を行った。展示提供企業は425社(13ヵ国の36社を含む)にのぼったが、そのなかでもっとも異彩を放っていたのがこのUOPである。本稿では、ウクライナの国防産業をめぐる概況についで、UOP、核兵器輸送手段である大陸間弾道ミサイルを製造するマカロフ記念南部機械製作工場・生産合同(ユジマシ)、大型輸送機で知られる国家企業・アントノフの3社を紹介したい。
特別寄稿
常に進化し続けるアルメニア
―日本企業への進出の呼びかけ―
駐日アルメニア共和国特命全権大使
G.ポゴシャン
アルメニア共和国は三権分立に基づく憲法と諸法との一致によって統治される独立・民主国家である。大統領が国家の長であり、立法府は一院制のアルメニア国民議会、内閣は国民議会により選出された首相、副首相、大臣たちにより構成される。
2017年1月時点で、アルメニアの人口は298万6,100人で、主に民族的アルメニア人(98.1%)から成る。また、住民の圧倒的多数はキリスト教徒であるアルメニア使徒教会信徒である。
現代のアルメニア共和国は1991年9月21日の独立以来、政治・経済的に大きく変貌した。
イベント・レポート
ウズベキスタン投資プレゼンテーション
―経済改革の新展開―
2018年3月12日、東京のホテル・ニューオータニにて、ファジロフ・ウズベキスタン新大使着任を記念して「ウズベキスタン投資プレゼンテーション―経済改革の新展開―」(主催:ロシアNIS貿易会、在日本ウズベキスタン大使館)が開催されました。 『漸進主義』を標榜し、経済の市場化・自由化とは一線を画す独自の経済政策で知られてきたウズベキスタンでは現在、2016年末に就任したミルジヨエフ大統領のもとで、外貨交換自由化をはじめとする経済政策の大転換が進められています。対外政策も従来に比して開放路線に向かっており、2018年2月10日より日本を含む7カ国の国民に対し短期査証が免除されました。本イベントでは、新大使に加え、アサドフ・ウズベキスタン外務第一副大臣、また投資国家委員会をはじめとする政府機関等の代表の方々から、急速に変化しつつある同国の経済状況および政策について、特に日本との貿易振興、投資促進という観点から報告していただきました。以下、ウズベキスタン投資プレゼンテーションの概要についてご報告致します。(大内悠)
データバンク
2017年の日本の対NIS諸国貿易統計
恒例により、日本財務省発表の貿易統計にもとづいて、2017年の日本とNIS諸国との貿易に関し、データをとりまとめて紹介する。日本とロシアの貿易については、すでに5月号に掲載済みである。なお、日本とNISとの貿易に加え、モンゴルとの貿易データも取り上げてる。
ウクライナ情報交差点
NISの労働移民問題とウクライナ
NIS諸国(旧ソ連の新興独立諸国)は、レミッタンス、すなわち出稼ぎ等による国外からの個人送金に依存している場合が多い。一方、ウクライナのレミッタンス受入状況に着目すると、このほどウクライナ中央銀行が個人送金統計の方法論を修正し、新しい方法論にもとづいた2015〜2017年の統計を発表したことが注目される。(服部倫卓)
中央アジア情報バザール
デジタル化を目指すカザフスタン
欧州、中国、シンガポール、韓国、ロシアなど世界的な潮流である「経済のデジタル化」が中央アジアでも重要なキーワードとなりつつある。例えば、カザフスタンでは2017年1月に行われた大統領教書演説に基づき、同年12月に国家プログラム「デジタル・カザフスタン」が発表された。(中馬瑞貴)
エネルギー産業の話題
2017年のカザフスタンの石油ガス産業
今回は、『石油ガス垂直統合』誌の各号に掲載された情報をベースに、カザフスタンの石油分野の現状をご紹介します。その他、あまり注目されることのない同国のガス分野の小史とその現状についても言及させていただきます。(坂口泉)
DVDカフェ
ホロドモールを学ぶ歴史ドキュメンタリー
今回はNIS特集に合わせ、ウクライナのホロドモールの問題を扱ったDVDを取り上げてみたい。ウクライナの首都キエフにはホロドモール博物館というものがあり、その売店で買ってきた「穀物のギロチン」という作品がそれである。(服部倫卓)
INSIDE RUSSIA
メドヴェージェフ首相の果たしてきた役割
本稿は、プーチン大統領が5月7日に就任式を行った、その翌日というタイミングに書いている。就任式終了後、プーチン大統領が新たな任期の政策指針を示した大統領令を発表したこと、メドヴェージェフ氏を再度首相に指名したことは把握しているが、現時点でそれらの情報を消化して論評することは困難である。今回は、メドヴェージェフ首相/内閣の業績・役割につき、簡単にまとめるに留める。(服部倫卓)
ロジスティクス・ナビ
ロシア極東港湾の動向2017
ロシア極東港湾はロシアとアジア太平洋諸国との貿易のゲートウェーであり、日本にとっても対ロ輸入品の大部分が利用する身近な存在です。2017年実績と最近の動向を解説します。(辻久子)
自動車産業時評
2025年までのロシアの自動車産業発展戦略
ロシア連邦政府は、2018年4月28日付の政府指令で、「2025年までのロシア連邦自動車産業発展戦略」を承認した。戦略の付属文書として、自動車の生産・貿易・販売等に関する数値目標が掲載されている。ロシア政府が自国の自動車産業につきどのような青写真を描いているかを知る有益な資料なので、表にまとめて紹介する。(服部倫卓)
デジタルITラボ
ロシアのフリマアプリ事情
ロシアに駐在または、日ロビジネスに関わっている方であれば、一度はアビトというサービスを耳にしたことがあるのではないか。着なくなった服や、使わなくなった家具などの不用品や、購入したものの開封していない新古品などの個人間売買を仲介するオンラインサービスである。ロシア・CIS地域では、名実ともに最大のCtoC(個人間取引)プラットフォームである。日本でもフリマアプリのメルカリが勢いを伸ばしている。今回は、不況下でも力強く成長を続けてきたロシアのCtoCコマースに焦点を当ててみたいと思う。(牧野寛)
ロシアメディア最新事情
ロシアのバラエティ番組出演体験談
ロシアに住みはじめてから、日本人だからという理由でテレビに出たことが何回かあります。正月番組でお金が貯まるおまじないについて(あれば私が知りたいですが)語ったこともあれば、衆院選直後には安倍首相について市民はどう思っているのかなど、色々なジャンルの依頼が来ました。駐在員や留学生の方々も同じ理由でテレビ出演した方を何人か知っていますが、おおむね共通して言えることは、一般ロシア人の中では中国と韓国と日本が一緒くたになっており、ロシア人の謎の要求(多くは間違ったイメージの日本)に「勘弁してくれよ」と思ったのではないでしょうか。
最近、知人のテレビ関係者に頼まれ、「24時間で間に合おう」という番組に出ることになりました。(徳山あすか)
蹴球よもやま話
ワールドカップ・ロシア大会の経済効果
いよいよFIFAワールドカップ・ロシア大会の開幕が近付いてきた。今回は同大会のロシアへの経済効果に注目してみたい。(服部倫卓)
駐在員のロシア語
ロシアでの買い物の仕方
ソ連時代の買い物はストレスの元であった。いつも機嫌の良いあなたが店から出てくる頃に憤慨していたとしても何の不思議はない。愛想笑いと丁寧な応対に慣れている日本人が当時のモスクワの店に入った時の感じは、カルチャーショックそのものだった。(新井滋)
記者の「取写選択」
マルクス生誕200年
今年5月5日、共産主義理論の創始者カール・マルクスは生誕200年を迎えた。「労働者の祖国」ではなくなって久しいロシアの地でマルクスが語られることは少なくなり、かつて「マルクス大通り」と呼ばれたモスクワの目抜き通りをにらむ彼の像は、欧米資本の大きなホテルに見下ろされて肩身が狭そうだ。(小熊宏尚)