ロシアNIS調査月報
2019年11月号
特集◆東方経済フォーラムと
ロシアの東部開発
 
特集◆東方経済フォーラムとロシアの東部開発
イベント・レポート
第5回東方経済フォーラム概要
イベント・レポート
第5回東方経済フォーラム全体会合記録
イベント・レポート
第5回EEFでの日ロラウンドテーブル
―海と陸の大動脈がもたらす新たな極東開発―
調査レポート
ロシア石油ガス化学分野の新潮流
―極東・シベリアの動きを中心に―
イベント・レポート
クラスノヤルスク地方プレゼンテーション
地域クローズアップ
転換期を迎えたハバロフスク地方
ロジスティクス・ナビ
環日本海定期フェリーの歩み
ロシア極東羅針盤
極東発電子ビザ制度が広がる
ロシアメディア最新事情
フォーラムの文化プログラムは意外と楽しい!
資料
東方経済フォーラムで署名された大型投資案件
資料
ロシアメディアによる第5回EEF関連報道

調査レポート
ロシアにおけるフィンテックの動向
―ズベルバンクを中心にして―
ミニ・レポート
ベラルーシにおける中国主導のインフラ更新
―リスクヘッジの光と影―
エネルギー産業の話題
ロシアの代表的油種Uralsをめぐる異変
自動車産業時評
2019年上半期のロシア商用車市場
産業・技術トレンド
賑わっていたモスクワの航空ショー
中央アジア情報バザール
民主主義を模索するキルギス
デジタルITラボ
市民権を得るロシアのパーソナルモビリティ
ロシアと日本・
出会いの風景
これが私の日露通訳の流儀
ロシア音楽の世界
神秘主義のスクリャービン
駐在員のロシア語
支払いは難しい
業界トピックス
2019年8−9月の動き
通関統計
2019年1〜8月の輸出入通関実績
おいしい生活
アブハジアの黒いヒンカリに舌鼓
記者の「取写選択」
ゾルゲの目


イベント・レポート
第5回東方経済フォーラム概要

 2019年9月4日〜6日(一部のイベントは3日から)、ロシア極東のウラジオストクにおいて第5回東方経済フォーラムが開催された。現在、ロシアでは、先進社会経済発展区(TOR)やウラジオストク自由港、あるいは極東ヘクタールなど、極東・北極圏発展省を中心とするロシア政府が極東開発政策を積極的に進めているが、東方経済フォーラムは、そうした極東政策やそれに関連するプロジェクトを広く紹介し、外国やロシア国内からの投資誘致を促進することを目的としている。
 第4回フォーラム後、ロシア極東では、2018年11月にブリヤート共和国とザバイカル地方が極東連邦管区に編入され、翌12月には極東連邦管区の首府がウラジオストクへ移転、また2019年2月には極東発展省の管掌地域に北極圏が加わり、省名も「極東・北極圏開発省」へ改称された。第5回フォーラムは、ロシア極東におけるこうした環境変化の下で開催された。
 本稿では、第5回東方経済フォーラムの開催概要を紹介する。(中居孝文)


イベント・レポート
第5回東方経済フォーラム全体会合記録

 第5回東方経済フォーラム2日目である9月5日17時過ぎ、全体会合が開始された。今回は、昨年同様に国営放送「ロシア1」アナウンサー・ブリリョフ氏が司会、安倍総理、プーチン大統領に加え、初参加のモディ・インド首相、また、バトトルガ・モンゴル大統領及びマハティール・マレーシア首相が登壇、プーチン大統領、モディ首相、バトトルガ大統領、安倍総理、マハティール首相の順で演説が行われた。
 例年、全体会合では表題としてテーマが提示されるが、今回初めて、その提示がなされなかった。ただし、日本や米国が「インド太平洋戦略」を打ち出す中、モディ首相を今次フォーラムの主賓に迎えたことに象徴的なように、各人演説後の議論はその多くが安全保障問題に割かれたことに特徴があったと言える。
 以下では、今回全体会合での安倍総理、プーチン大統領の演説を掲載し、質疑応答のうち日ロ関係にかかわる部分を紹介する。(長谷直哉)


イベント・レポート
第5回EEFでの日ロラウンドテーブル
―海と陸の大動脈がもたらす新たな極東開発―

 東方経済フォーラムの2日目に当たる9月5日(木)の午前、円卓会議場「モルスコイ」において日ロラウンドテーブル「海と陸の大動脈がもたらす新たな極東開発」が開催された。本会議はフォーラム開催初年度以来毎年実施されており、今年で5回目となる。
 今回は、世耕弘成経済産業大臣兼ロシア経済協力分野担当大臣(当時)、片山さつき内閣府特命担当大臣(当時)、オレシキン経済発展大臣、ヤクシェフ建設・住宅公営事業大臣をはじめ、日本側からは約190名の企業・政府機関関係者が参加、ロシア側を合わせて約300名が一堂に会して極東地域における日ロビジネスの現状や課題についての報告・議論を行った。本稿では、日ロ双方の報告者の発言要旨を紹介する。(中居孝文・森彩実)


調査レポート
ロシア石油ガス化学分野の新潮流
―極東・シベリアの動きを中心に―

ロシアNIS経済研究所 嘱託研究員
坂口泉

 輸入代替の促進、さらには、原材料輸出から高付加価値製品輸出へのシフトを標榜するロシアにとって非常に重要な意味を持つ石油ガス化学分野では今、多くの大規模プロジェクトが検討されている。地域別に見て最も注目度が高いのは極東地方で、アムール・ガス化学コンプレクス建設プロジェクト、東部石油化学会社建設プロジェクト、複数のメタノール工場建設プロジェクトなどが話題となっている。極東以外の地域に目を転じれば、シベリア、欧州部などでも複数の大規模プロジェクトが浮上しているが、全般的にポリエチレン、ポリプロピレン、メタノールを生産対象とするプロジェクトへの偏重が目立ち、仮にそれらがすべて実現されることになれば供給過多状況が生じるのは目に見えている。また、原料基盤がはっきりしないプロジェクトも多い。換言すれば、意欲だけが先行しその実現性に疑問符が付くプロジェクトも少なくない。
 本稿では、合成樹脂部門を中心にロシアの石油ガス化学分野の現状をご紹介した後に、ロシア東部(極東とシベリア)で現在動き始めている新プロジェクトを取り上げ、その実現性や問題点についての考察を試みる。


イベント・レポート
クラスノヤルスク地方プレゼンテーション

 2019年9月20日、ロシアNIS貿易会では、ロシア・東シベリアのクラスノヤルスク地方からウス知事をトップとする代表団(同行した企業関係者を含めて12名)が訪日したのを機に、東京都内にて「クラスノヤルスク地方経済・投資プレゼンテーション」を開催した。同プレゼンテーションには、日ロ双方合わせて約60名が参加し、プレゼンテーション終了後には、今回の訪日代表団に参加したクラスノヤルスク州企業と日本企業の間で14件の個別面談(ビジネスマッチング)も行われた。以下では、プレゼンテーションの概要を紹介することにしたい。(中居孝文)


地域クローズアップ
転換期を迎えたハバロフスク地方

 大荒れのロシア統一地方選挙から早1年。2019年の選挙は前年に比べると穏やかに進んだ。とはいえ、構成主体の議会選挙では統一ロシアが議席を減らしたところも散見され、決して政権の安定が証明されたわけではなかった(詳細は『ロシアNIS経済速報』2019年9月25日号No.1804)。中でも2018年の選挙で野党知事が誕生したハバロフスク地方では、2019年の同地方議会選挙でも知事の出身母体である自由民主党が圧勝、主要2大都市の市議会選挙でも同党が多数派を獲得し、大躍進した。
 統一ロシア以外の首長がトップを務める地域は他にもある。しかし、今回のハバロフスク地方ほど、統一ロシアの影響力が衰退した地域は珍しい。波乱の知事選挙から1年。自由民主党出身知事の下でハバロフスク地方ではどのような変化が起きてきたのだろうか。(中馬瑞貴)


ロジスティクス・ナビ
環日本海定期フェリーの歩み

 鳥取県・島根県にまたがる境港と韓国経由でウラジオストクを結ぶDBSクルーズフェリー航路が、開設から10周年を迎えました。日ロを結ぶ唯一の定期フェリー航路の取り組みを紹介します。(辻久子)


ロシア極東羅針盤
極東発電子ビザ制度が広がる

 2019年10月、ロシアの古都、サンクトペテルブルグ市とレニングラード州を対象に、ウェブサイト上での手続きで、ビザ(査証)が取得できる電子ビザ制度がスタートした。簡単な手続きでビザが取得できるようになることで、外国から訪れる人がさらに増えると期待されている。
 電子ビザの導入は2017年8月の極東地域、今年7月のカリーニングラード州に次いで、3ヵ所目になる。プーチン政権は、電子ビザ制度が外国人観光客を呼び込む有効なツールとなると判断。この制度を全国に広げることを検討する。極東地域で始まった政策が全国に広がりつつある。 (齋藤大輔)


ロシアメディア最新事情
フォーラムの文化プログラムは意外と楽しい!

 3年連続で東方経済フォーラムの取材に行ってきました。ロシアの経済フォーラムではいつも、メインプログラムと同時並行で、様々なスポーツや文化プログラムが実施されています。例えばサンクトペテルブルグのフォーラムでは、2016年から開会イベントとして、イサク聖堂やエルミタージュ美術館など名所旧跡をめぐるミニマラソンが行われています。後日、会社の電光掲示板で知ったのですが、なんと私の同僚のイタリア人記者も走っていました。こちらは取材の準備で頭がいっぱいになっているのに、なんて余裕があるのかとびっくりしました。今回のウラジオストクでは、日本と関係のあるイベントがいくつも行われたので、ご紹介します。(徳山あすか)


資料
東方経済フォーラムで署名された大型投資案件

 東方経済フォーラムに限らず、フォーラムの花形と言えば、投資案件の署名であろう。同フォーラムの枠内で2015〜2018年に総額8.7兆ルーブルの投資契約が調印されたということである。従来の最高記録は2018年であり、総額3兆1,080億ルーブルに上る220件の調印があった。そして、今回の第5回東方経済フォーラムで、額の大きかった9つの投資案件は、以下のとおりとなっている。


資料
ロシアメディアによる第5回EEF関連報道

 このコーナーでは、第5回東方経済フォーラムの枠内で開催された日露ビジネスラウンドテーブル関連のロシアメディアによる報道を翻訳し、その内容を紹介する。


調査レポート
ロシアにおけるフィンテックの動向
―ズベルバンクを中心にして―

高知大学 人文学部
塩原俊彦

 金融サービス分野で利用される最新技術を意味するフィンテック(Fintech)は既存分野へのフィンテック企業の参入や銀行のフィンテック活用を促し、競争激化を通じた顧客への利便性の向上や経営資源利用の効率化につながる。具体的には人工知能(AI)、Internet of Things(IoT)、ブロックチェーン、5Gなどの最新技術の金融分野での活用が課題となっている。全世界で引き起こされているこうした変革がロシアにおいてどのように生じているかを検討し、その問題点を探ることが本稿の課題である。そこでここでは、「国営銀行」であるズベルバンクがフィンテックにどう対応しようとしているかを考察してみたい。


ミニ・レポート
ベラルーシにおける中国主導のインフラ更新
―リスクヘッジの光と影―

 ベラルーシでは、第二次世界大戦後に機械、化学、繊維、食品加工といった各種の工業が発達し、その原材料や完成品を運搬するための道路や鉄道、発電所や送電網といった基幹インフラも整備が進められた。こうしたインフラは、21世紀に入って次々と更新の時期を迎えているものの、ベラルーシ一国では必要な資金や技術を賄うことができていない。そのため、ベラルーシ政府は外国から技術や資本を導入しようと取り組んでいるものの、米国や欧州連合(EU)諸国による対ベラルーシ制裁も影響して、日米欧の先進技術やファイナンスによる設備更新が大きく進むことはなかった。
 他方で、ベラルーシと中国は、1992年の国交樹立以来、緊密な関係を維持しており、特に2000年代以降は、中国の融資によるベラルーシ国内の各種インフラの整備が活発に行われてきている。習近平体制に入って以降、両国関係は急速に深まっており、2015年には中国からベラルーシに対する総額70億ドルの融資ラインが開かれた。ベラルーシにおいて中国が関係する事業は、建設・不動産、運輸・交通、エネルギー、通信、各種工業における設備更新や生産技術の移転等、実に多岐にわたっている。本稿では、その一部にスポットを当て、ベラルーシが中国とともに進めるインフラ関連事業の光と影について見ていく。 (友繁弥寿志)


エネルギー産業の話題
ロシアの代表的油種Uralsをめぐる異変

 Uralsというのはロシアの主要な輸出用の油種名でありますが、最近になりその周辺で異変が生じています。Uralsは重質高硫黄の部類に属する石油で、これまでは、マーカー原油である軽質低硫黄の北海ブレントよりもバレル1〜2ドル安い価格で取引されるのが普通となっていました。ところが、2019年の2月ごろから北海ブレントの価格を上回るという現象が度々観察されています。ただ、2020年からは状況が一転し、IMO(国際海事機関)の船舶用燃料の硫黄分濃度規制の強化による否定的影響がUralsに及ぶのではないかとの声も一部に出ています。今回は、Uralsの周辺で生じているそれらの異変について説明します。(坂口泉)


自動車産業時評
2019年上半期のロシア商用車市場

 本稿では2019年上半期のロシアの商用車(トラック、バス)の生産、販売、輸入に関するデータをご紹介します。また、タクシー車両をめぐる状況についてもご紹介します。(坂口泉)


産業・技術トレンド
賑わっていたモスクワの航空ショー

 新型旅客機MC-21の材料調達に米国の輸出許可が出なくなったことなど、旅客機までが制裁の影響を受けるようになった。これまで、様々な事情がある日本は別として、欧米の企業はそれなりにロシアの民間航空機のビジネスができていた。しかし、昨年、新型旅客機MC-21のサプライヤーが材料調達困難になって以降、これまでのように商売ができるかについて不透明感が増している。そのような中、2年に1度のMAKS(モスクワ航空宇宙サロン:平たく言うとモスクワ航空ショー)が開かれた。上記の状況ではあるが、次の新型旅客機CR929のサプライヤー選定が行われている状況であり、欧米企業もロシアの航空産業とのビジネスをあきらめていない。また、中国が大々的に参加していた。結果的には、MAKSは例年通り賑わっていた。(渡邊光太郎)


中央アジア情報バザール
民主主義を模索するキルギス

 2019年8月8日、アルマズベク・アタムバエフ・キルギス前大統領が拘束・逮捕された。本稿を執筆している2019年10月初頭時点で拘留が続いている。2017年11月の任期満了に伴い、ソオロンバイ・ジェエンベコフ現大統領が就任し、キルギス史上初となる平和裏な権限移行を実現したアタムバエフであったが、話はそう単純ではなかった。この2年間で新旧大統領の対立が激化し、今回の流血を伴う大混乱へと発展したのだ。1990年代は「民主化の優等生」と呼ばれ、中央アジアで初となる議院内閣制を採用したキルギスであるが、周辺国に比べて政情不安定な状況が続いている。民主主義を模索するキルギスはどこへ向かおうとしているのか。(中馬瑞貴)


デジタルITラボ
市民権を得るロシアのパーソナルモビリティ

 2019年7月、米国で電動キックボードのシェアリングサービスを提供する業界2位のライム(Lime)が日本市場参入を発表し、業界1位のバード(Bird)、は、福岡市と実証実験を行うことを発表した。米ウーバーが参入を試みた時と同様に、今後、日本における様々な規制が参入障壁として立ちはだかることになる。一方で、日本は、都市部は人口密度が高く、交通機関の混雑率も高い。CO2を排出しない電動キックボードは、環境に配慮した新たな交通手段として注目を浴びている。
 バイクシェアリングや、数年前のセグウェイ(現在は中国シャオミのグループ会社ナインボットに買収されている)など、近年、パーソナルモビリティ(1人乗りのコンパクトな移動支援機器)はデバイス、ビジネスモデルを変え、様々に提案されてきた。今回は、ロシアにおけるパーソナルモビリティの現状と、電動キックボードシェアリングの普及について、考えてみたいと思う。(牧野寛)


ロシアと日本・出会いの風景
これが私の日露通訳の流儀

 通訳または翻訳する人のことをロシア語に訳すとпереводчик(ペレボードティク)だ。さらに英語ではそれが、周知のとおり、TranslatorもしくはInterpreterとなる。その違いについてだが、前者はどちらかというと翻訳者であって後者は口頭で会話を通訳する人のことだと理解している。一方、Interpreterと同ルーツのInterpretationという単語をロシア語ではИнтерпретация, трактовкаになるが、それを日本語に戻すと「解釈」という意味だ。それがポイントだと思う。通訳者は他人の話を単に伝えるのではなく、相手が正確に理解できるために他人の言葉を解釈するのだと思う。
 日ロ関係は、ロシア語で考えて話しているロシア人と日本語で考えて話している日本人によって構築されているものだ。両方ともとても難しい言語だと知られている。日本語でしゃべっている私は、「日本語は難しいでしょ」と、よく日本人の皆さんに励まされている、というか同情していただいている。確かにそうだ。ただ、ロシア人の私にとってはロシア語も大変難しい言語だ。それに加えて、日本人もロシア人も英語があまり得意ではない。英語の不得意同士は相互理解を達成するために通訳を必要とし、日ロ関係にとっては他の二国間関係よりも通訳が重要だ。 (D.ヴォロンツォフ)


ロシア音楽の世界
神秘主義のスクリャービン

 作曲家スクリャービンはロシア暦1871年12月25日生まれ。さて、ロシア暦とは何ぞや?というところから始めよう。帝政ロシアでは、今の暦(コヨミ)とは違う「ユリウス暦」が使われていたので、この12月25日は今の暦:グレゴリウス暦では、翌年の1月6日が誕生日ということになる。なんだ、クリスマスの生まれかと思った方はロシア通である。もともとロシア正教のクリスマスは12月25日ではなく、年明けた1月7日であるからだ。
 ともあれ、スクリャービンは、ロシア版サンタクロースである、「ジェドマローズ」(厳寒じいちゃん)、その孫娘と言われる「スニェグーラチカ」(雪娘)のお祭りの際中に生まれたということだ。そのことが影響して、後年、彼の作風が神秘主義に向い、自分は救世主であるかのように気取っていたのであろうか? (ヒロ・ミヒャエル小倉)


駐在員のロシア語
支払いは難しい

 ロシアであろうがどこであろうが、生きている限り、日常生活でも仕事上でも、「支払い」がつきまとう。ロシア語には「支払う」という動詞がいくつもあり、学習者にとっては混乱の種となる。もっとも、頭が混乱するほど違いがあることに気づくことが肝要だ。(新井滋)


おいしい生活
アブハジアの黒いヒンカリに舌鼓

 ロシア市民にとって、ジョージアから半独立状態にあるアブハジアという存在が、非常に身近なものになっていると感じる。先日ロシアに出張した際には、当会モスクワ所長がアブハジア料理店に案内してくれた。(服部倫卓)


記者の「取写選択」
ゾルゲの目

 第2次大戦中の東京でドイツ人記者を装い、ソ連のために諜報活動をしたリヒャルト・ゾルゲ(1895-1944)。彼ほど愛されたスパイがいるだろうか。女性にもてただけではない。処刑された後は日本人「妻」の尽力で手厚く葬られ、多磨霊園の墓には日露独3言語で名が刻まれた。「ソ連邦英雄」としてモスクワと出身地アゼルバイジャン・バクーに像や碑が立ち、ロシアや日本、フランスで映画やテレビドラマになった。(小熊宏尚)